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「はじめに」を全文公開!書籍『#それ勝手な決めつけかもよ?だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』

こんにちは、コピーライターの阿部広太郎です。新刊『それ勝手な決めつけかもよ?(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の発売【5/28(金)】を記念し、『「はじめに」という名の「招待状」』の内容を全文公開してお届けいたします。

【解釈は自由への翼】
ままならない日々がつづきます。どうすることもできない現実にうなだれることもあります。その中で思ったのは、今こそ「ものごとの捉え方が問われている」ということでした。「解釈」の仕方を工夫することで、少しずつでも、世界の見え方が変わるかもしれない。それは、コピーライターになってから僕自身ずっと考えつづけてきたことでもあり、なんとしても「解釈」について届けたい一心で、書き上げました。ここに、はじまりの熱を込めた「招待状」を全文掲載します。もし興味を持っていただけましたら、ぜひ手にとっていただけましたらうれしいです。

それ、勝手な決めつけかもよ?_帯あり

事実というものは存在しない。
存在するのは解釈だけである。
―――ニーチェ

コロナ禍で何度、
この言葉をかみしめただろう。
そして、自問自答した。

目の前に現れた厳しすぎる現実。
これは、事実じゃないのか?

悔しいこと、苦しいこと、切ないこと。
どうしてこうなるんだって下を向いた。
スマホでSNSに目を向けてみれば、
追いきれないほどの情報が迫ってくる。
スクロールしつづけて、ふと虚しくなる。

今は、正解のない時代と言われている。
だけど、だれかが見つけた正解に、
飲み込まれそうな自分がいた。

胸のつかえがおりたのは、
オンライン講義のおかげだった。
ステイホームの日々、
コピーライターとして
自宅からいくつもの講義に登壇し、
全国各地の参加者に語りかけた。

伝えているのは、物事の見方、捉え方。
考え、見つけ、言葉にして分かち合う。
それは広告づくりの取り組み方、そのものだ。
距離を超えて、教室にいるかのように熱を込めて。
そしたら想像以上に、受け取ってもらえた。

「気持ちが楽になりました」
「心がふっと軽くなりました」
「肩の荷が下りて救われました」

ありがたすぎる言葉に胸が熱くなり、
そして遅ればせながら気づいた。
自分のしてきたことはまさに、
ニーチェの言っている「解釈」なんだ。

もうこのままだと厳しいだなんて、
勝手に決めつけていたのは僕じゃないか。
だれかの言葉に振り回されなくていい。
だれかの正解を鵜呑みにしなくていい。

目の前にある現実をどう捉えるか?
それは僕が、あなたが、
決めることができる。

勝手に自分を諦めない。
勝手に自分を決めつけない。
勝手に自分をみくびらない。

心に漠然とした閉塞感を抱くのは、
解釈が足りないだけかもしれない。
積極的に解釈してみる。
目の前に立ちはだかる壁にも、
見晴らしのいい窓があるかもしれない。

今のあなたのままでいい。
無理に変わろうとしなくていい。
代わりに時代が変わってくれるから。
心がざわついた時こそ解釈の出番だ。
解釈を変えれば、可能性が見えてくる。
より良い方へと僕たちを運んでくれる。

取り返したい過去を、向かいたい未来を、
自分の現在を中心にして解釈することで、
納得できる日々をたぐり寄せることができる。
今が一番だと自分を肯定することができる。
そう、すべては解釈次第。

僕は、ニーチェにこうアンサーする。

解釈は自分を肯定する翼。
だれかの正解にしばられず、
不安も心配事もやわらかく受け止め、
少しずつでも、自分らしく生きていく。
過去の後悔も、未来の不安も、
自分の正解に変えられる。

自由への翼を、一人でも多くの人に広げていきたい。
羽ばたく練習を、あなたと一緒にしていきたい。

これが僕の使命だ。
だからこそ、

一通の「招待状」をあなたに渡したい。

※※※

「はじめに」という名の「招待状」

※※※

僕の感じた痛みは、僕だけのものだったはずがない

今からするのは、僕が「解釈」の大切さに気づくまでの話だ。

2020年4月7日。

緊急事態宣言、発出。

ニュースを知らせる通知がスマホに出る。

タップして、すぐに読んで、もう一度頭から読み直して、うつむいた。
というより、どうしようもない現実に、うなだれた。

連日、その繰り返しだった。その一週間前、一つの決断をしていた。

コピーライターの僕は、2015年から自ら学びの場を立ち上げ、主宰している。その名は、「企画でメシを食っていく」(通称:企画メシ)。テレビ、音楽、映画、編集、お笑いなど、あらゆる業界の最前線で活躍するゲスト講師の方をお招きし、企画する力を育む連続講座だ。

参加者は選考を経て決まる。学生から社会人まで30名と少人数。
横浜みなとみらいのシェアスペース「BUKATSUDO」に集い、講師から熱のこもった話を聞き、語り合い、それぞれの現場に持ち帰る。

一人でも多くの意欲に満ちた方たちと一緒に企画をしたいと思い、2018年からは、「言葉」にスポットを当てた連続講座「言葉の企画」もスタートしていた。

2020年の開講も「さあ、いよいよ!」というタイミングだった。
この学びの場の一番の魅力は、それぞれが電車を乗り継ぎ、リアルな場に集合し、温度のある時間を過ごすこと。

けれど今、この状況で何十人もが一箇所に集まることは厳しかった。
間違いなく密だ。その密なことこそが魅力だったのだ。
どう考えても開催を見送るしかない。

ブッキングも無事に済んだゲスト講師のみなさんに、力を貸していただく感謝を伝え、後は告知に進むだけ……
そんな状況までたどりついていたから余計に悔しかった。

「見送ることにしました」

登壇をお願いしていたお一人おひとりに連絡するのは、心が細くさけていくような痛みがあった。

この痛みは、僕だけのものだったはずがない。
あなたにも身に覚えがあるはずだ。
行きたかったイベントが中止になってしまった。
歓迎会、送別会を飲食店ですることが難しくなった。
予定していた家族の集いを延期せざるを得なくなった。
先々の予定の中止だけじゃない。
先が見えなくなったことで現れた不安。
呼吸が浅くなるような閉塞感。
これからどうなるのか? うまくやっていけるのか?
まったくもってわからない……

もどかしくて苦しくて、得体の知れない感情が心に渦巻いていた。

「今は、何かを創造する時間」ニュートンはそう解釈した

僕自身、不安に飲み込まれかけていた。
くよくよしている自分を認めつつも、何もしないでただ待っているのも嫌だった。
そんな時、自分がいつも講義やワークショップで話していることを思い出した。

HistoryにはStoryがある。
未来に迷った時は、歴史をたどる。そこには、人間が残してきた物語がある。手と足を伸ばしてじたばたするように、これからの手掛かりを何か一つでも見つけたくて、過去に伝染病が流行した時のことを調べた。

目に飛び込んできたのがニュートンの逸話だった。
ビビッと来た。17世紀、ヨーロッパで猛威をふるったペストの渦中に、ニュートンもいた。当時、大学生だったニュートンは、ペストによる大学の「休校期間」を「創造的休暇」と解釈していた。

この考え方を忘れたくない、そしてたくさんの人に知ってほしい。おすそわけをするような気持ちで、Twitterを開いてすぐにツイートした。

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想像以上の出来事が起きた。

スマホの通知が止まらないのだ。万を超える「いいね」がついた。
社会情勢を踏まえてしばらく休校期間にする、というのは大学側の解釈。
それをそのまま受け取って、もちろん休んでいてもいい。それも一つの生き方。

でもニュートンは違った。
「そういうものだから」で片付けなかった。
この休みの時間を、創造するための時間と解釈して、可能性を広げた。
もう一つの生き方をたぐり寄せたのだ。なんと鮮やかな転換だろう。

「創造的休暇」

この言葉があることで、ステイホームの時間を何かに活かせないかと心が晴れてくるから不思議だ。
これまでの当たり前が大きく揺らいでいる今。「こうじゃなきゃいけない」という考えに自分をしばりつけてしまいそうになる今。
みんなが解釈の仕方を欲しているのかもしれない、そんな予感を抱いた。

僕は勝手に決めつけてなかったか?僕はどう解釈したいんだ?


僕はどうだろうか?
どんな解釈をしているだろうか?
緊急事態宣言による自粛ムード。
僕はリアルな場に集まることを延期した。
実際に集まらないと温度のある時間はできないから?
でも本当にそうなんだろうか?
だれが決めたんだろうか? まだやってもいないのに。
勝手に自分が決めつけているんじゃないだろうか?
僕自身はどう解釈をしたいんだ?
ライブやトークイベントなど、周囲が少しずつオンラインで開催するやり方を模索していた時期だった。

どれくらいの負荷がかかるかわからないけど、僕一人がほぼすべての講義を担当する連続講座「言葉の企画」であれば、ある程度の無理と融通がきくし、オンライン講座として開催できたりするだろうか?

だんだん、だんだん、やりたい気持ちがあふれてきた。

でも、ただ「オンライン講座にします」とは言いたくなかった。
自分なりの解釈を加えたかった。
大先輩のニュートンに学ぼう。解釈で可能性を広げたい。

今は直接会えない、だからオンラインに頼る。そうではなくて、オンラインでなら全国各地どこにいても距離を超えて集うことができる。
そして、いつかこの先、事態が収束した時、待ち合わせをする仲間が全国にいる。
そんな未来をつくれるのではないだろうか? 
そう解釈して、こう名付けた。

未来に待ち合わせするための連続講座「言葉の企画2020」

全国から100名の参加者を募り、6月から12月まで、月1回、半年間にわたる連続講座をスタートすることができた。

解釈次第で人の一生は大きく変わる。せっかくなら「積極的解釈」でいこう

ニュートンの逸話をシェアした時に感じた、みんなが解釈の仕方を求めているのかもしれないという予感。

半年間の連続講座、そのゴールテープを切った参加者たちの感想を読んだ時、間違っていなかったと強く思った。

一つひとつの花を集めて完成する花束。
一人ひとりの感想は、それぞれに色を持っていてまさに花束のようだった。
その中から一部を紹介したい。
激動の2020年。
解釈することで、新たな一歩を踏み出した人たちの声だ。

「自分の心や自分という存在を構成するあらゆる感情に名前をつけることは、その感情を前向きに捉えることになり、最終的には幸福に生きる力につながっていく。自分の不安を認めて、自分で言い換えてあげることの大切さを知りました」
「大きく心が動いたら、なぜ好きなのか、なぜ感動したのか、なぜ救われたのか、丁寧にたどるようになったおかげで、自分自身のゆずれない思い、怒りや祈りなどが見えてきました。がんじがらめだった心がほぐれていくような感覚で、私は私のどろどろした部分を見ることができたから、好きにもなれました」
「過去は変えられないから忘れたくなったり後悔したりする、自分をしばるものである……過去はそういうものだとずっと思っていました。しかし阿部さんの『過去は変えられる、今をどう捉えるか次第で』という言葉にすごく救われました」

「言葉の企画」という講座は、プロのコピーライターになる人を増やしたくてはじめた講座ではない。

「伝える」と「伝わる」の違いはもちろん、コピーライターじゃなくても知ってもらいたい言葉術を、学生、社会人関係なく一人でも多くの人に使ってほしい、そうすればきっと日々が変わっていくからという思いが自分を突き動かしてきた。

歴史の教科書に刻まれるであろう2020年を、講座を通して前のめりに過ごして確信に変わった。

僕は広告をつくる際、「物事をどう受け取るか」を積極的に考える。
自分のしてきたこのことこそが「解釈」なんだ。
解釈次第で、人の一生は大きく変わる。
せっかくなら「積極的解釈」でいこう。
今、このことを一人でも多くの人に伝えたいという気持ちに駆り立てられている。

世の中が大きく変わっていく今こそ、自己解釈本としてあなたへ

この本は、自己啓発本というより「自己解釈本」として書いていく。
時間は、過去から未来に向けて一方向に流れていく、というのが世間一般の考え方。
矢印で簡単に表すとこんな感じだ。

過去→現在→未来

かつて僕もこのように捉えていたし、過去の出来事は現在からでは取り返しがつかないと思っていた。そして今、これから未来がどんな風に変化していくのか、たくさんの人が語っている。来たるべき事態に備えるために、どうすれば良いかを考える。

それはもちろんとても大切なことだ。
それでも、僕は思う。
世の中が大きく変わっていく今こそ、真っ先に見つめるべきは「自分」という存在なのではないか。

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まず自分を、次に現在を解釈し直すことで、自分の心がはっきりしてくる。
そして、自分の現在を真ん中にして、過去を、未来を解釈していく。
過去に思いを馳せ、未来に手を伸ばすことで、どれだけ強風に吹かれようとも決して折れない柳のような芯が通る。

過去に投げかけられた言葉はもちろん、先入観や思い込みで自分を決めつけて、未来をがんじがらめにしてしまうことが往々にしてある。

こういうもんだと諦めて、勝手に自分をみくびってしまうことがある。
それが僕はとてつもなく悔しい。

こうじゃなきゃいけないなんて、本当は一つもない。
自分の人生の中心は間違いなく自分なんだと知ることが、人生の主導権を取り戻すことになる。

時間の流れは変えられない。
けれど、今ここにいる自分自身から、過去さえも、未来すらも変えることはできる。
そうすることで、他人に、世界に振り回されない。
あなたの人生の主人公は、あなた自身だ。

「風の時代」を自由に飛ぼう。しなやかにしたたかに生き抜くために

丸5年開催してきた連続講座を通じて延べ500名の参加者と向き合ってきた。
そして、各地の中学校、高等学校、大学でワークショップをしてきたことや、オンライン生放送学習コミュニティ「Schoo」(スクー)で、述べ6000名以上の幅広い世代の方たちと一緒に学ぶ中で見つけてきた解釈の仕方を一つずつ記していく。

あなたにも解釈をしてみてほしいし、あなたの中には解釈する力がある。
この本は練習だ。
羽ばたくための練習をともにし、そこから得られる自由や解放感を共有したい。

就職活動に挑む学生のあなたにも、自分自身を見つめ直そうとする社会人のあなたにも、きっと役に立つと信じている。
あらゆることが急速に変化していく令和という時代は、いくつもの考え方が生まれ、まじわり、ぶつかり、新しい普通が生まれていく。

「風の時代」とも言われている。
かたちのないものが意味を持つようになる。想像力や思考力が問われていく。

そんな時代をどう生きていくか?
これから何が起ころうとも、どんな事態に直面しようとも、すべては解釈次第だ。

自分で自分を肯定し、自分らしく日々を歩んでいくために。
しなやかでしたたかに生き抜くために。
この「はじめに」は、解釈を翼にする生き方への招待状。
望んだ未来に待ち合わせをするために。
最後の1ページまで進んでいこう。

<目次>
「はじめに」という名の「招待状」
第1章 自分篇・自分の知らない自分と出会う
第2章 現在篇・今こそ積極的な受け身を
第3章 過去篇・「今思えば」は魔法の言葉
第4章 未来篇・解釈する先に人は進める
「おわりに」という名の「はじまり」

だれかの正解にしばられない「解釈」の練習を一人でも多くの人に伝えたくて、刊行記念イベントも開催します

【日程】
5/28(金)21:00〜23:00 「勝てるデザイン」前田高志さんと
6/2(水)21:00〜22:00 スクー 著者が解説 人気ビジネス書
6/7(月)19:00〜20:30 いきものがかり・水野良樹さんと
6/9(水)7:30〜9:00 「朝渋」代表・5時こーじさんと
6/10(木)20:00〜21:30 文筆家・田中泰延さんと
6/15(火)20:00〜21:00 スクー 自分の名前を解釈する
6/19(土)19:30〜21:30 ペアドク・読書会

詳細は下記のnoteに↓

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お近くの書店で、Amazonをはじめとするウェブ書店で、あなたに見つけてもらえますように。

出会ってきたみなさんから教わった「解釈」を集結した一冊。紙飛行機が目印です。



ありがとうございます◎ 新刊『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』(ダイヤモンド社)手にとってもらえたら嬉しいです🙏🏻 https://www.amazon.co.jp/dp/4478117683/