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映画「君が君で君だ」感想まとめ

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映画「君が君で君だ」にまつわるnoteまとめ! 〜この愛は純情か、それとも異常か〜 「尾崎豊」「ブラピ」「坂本龍馬」になりきり10年。君のことが大好きだから、君の好きな男にな…
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#映画

愛はどこで学ぶのでしょう

自分が感じている気持ちが“愛”なのかって、どうやって判断するんだろう。そもそも“愛”はどこで学ぶんだろう? 大好きな女の子の好きな男になりきり、自分の名前すら捨て去った10年間。 彼女のあとをつけて、こっそり写真を撮る。彼女と同じ時間に同じ食べものを食べる。向かい合うアパートの一室に身を潜め、決して、彼女にその存在をバレることもなく暮らしてきた。(『君が君で君だ』公式サイトより) 映画『君が君で君だ』を観て、愛ってなんだっけ?と迷走していたいつかの自分を思い出してしまった

映画『君が君で君だ』〜ピュアでイッちゃってる私たちの物語

七夕の日に公開された新作映画「君が君で君だ」を見てきた。 新進気鋭の映画監督、松居大悟さんの最新作であり、 ”言葉の匠”コピーライター阿部広太郎さんがプロデューサーとして関わっているということで「たぶんなんかコレ・・・一筋縄でいかないやつでしょ」と思った。もちろんプラスの意味で。そしてその期待は大当たり。 結果、2回も見てしまうこととなった。 初めて見た後の率直な感想は ①なんかすごい味わい深いけど何味なのかわからん!(ちょっとパニック) ②池松壮亮に向井理、そして高杉

異常と純情が混ざり合う、その先にある感情。

人は、あっけなく恋に落ちる生き物だと思う。 恋人に振られ、拒絶され、人生のどん底に陥ってしまったとき。友人と憂さ晴らしをするために街に繰り出したけれど、どうにも気持ちは晴れない。 だけど、新たな恋は、いつもより受け入れやすくなっている。 目の前にいる異性から向けられた笑顔や優しさを、迷い込んだ暗闇の中の、眩しく輝く光としてとらえ、そこに向かって突き進もうとする。 これこそが、まさに、あっけなく恋に落ちた状態だと思う。 そして、その様子を隣で見ていた友人もいつの間にか

世界には二種類の映画が存在する。

ひとつは、答えを教えてくれる映画。もうひとつは、問いを投げかけられる映画。敬愛する先輩から教えてもらったその言葉。わーっと心の中で驚いてしまった。これまで観てきた幾つもの映画が頭に浮かんで、うんうんと強く頷いた。 すぐに思い出したのは中学生の頃。家族で観に行った映画「アルマゲドン」。もうね、ひと言「すげえ!」。とにかくすごかった。物語という名のジェットコースターに乗って、ドツドツドツと少しずつ速度を上げてピークに達したあたりで落下し、即座に急上昇、振り回されながらも恍惚のク

自分の愛は最強だって信じたい

私は元F1レーサーのミハエル・シューマッハが大好きだ。 98年最終戦鈴鹿、ミカ・ハッキネンと争っていたワールドチャンピオンがここで勝てば決まる。 予選トップ、ポールポジションで迎えたスタート。 しかし、まさかのエンスト。 再スタート最後尾になってしまった。 でも彼は諦めていなかった。 赤いマシンは最後尾から鬼気迫るオーバーテイクを積み重ねてゆく。 シルバーのマクラーレン、見えた! もう少し、もう少しで掴めそう! その瞬間、タイヤがぱちんとはち切れた。 力なくマシンを止め、し

狂っていて、とても気持ちが悪くて、だけどほんのちょっぴりだけ羨ましい。

本日封切りとなった松井大悟監督の映画、「君が君で君だ」。 一般公開に先駆けて、先日、試写会にお誘いいただきました。 本当は、鑑賞熱が失われないうちに感想を書こうと思っていたのです……が。 どうまとめたらいいのか…と整理が追いつかず困り果てたまま、今日まで来てしまいました。 そう、とても感想に困る映画だったんです。 実際に上映後の館内の様子は、混迷やら興奮やら、言葉にならない複雑な感情やらが入り交じった、えも言われぬ空気に支配されていた……ように感じます。 ひとまず、見終わ

10年後なにしてると思う?

と、10年前の自分に聞いたら…なんて答えるだろうなあ。たぶんちょっと困った顔をして「えーっと、うーん…どうでしょうねえ」とか言いながらごまかしてそう。万が一ですよ。ちゃんと答えていたとしてもきっとハズしてる。だって平成最後の夏、2018年。コピーライターになって、その後、映画のプロデューサーをしてる未来なんて当てられっこいから。ぜったい。 人生は、伏線だ。人生には伏線であふれていて、それを回収していくと面白くなる。そんなことを思いながら日々過ごしている。アメフトをずっとやっ

映画「君が君で君だ」を見た。アイの愛が、隘で哀だった。

「恋と愛の違いってなんだろう?」 もし男子中学生がこう書いてるのなら微笑ましいものがあるが、あいにくこの文の書き手はアラフォーのおっさんである。それでも、いい歳して、たまにそんなことを考える。 両者の違いはいろいろ定義できるだろうが、まずは「何らかの成就を求めるのが恋で、求めないのが愛」と言えそうだ。たとえ、いま片思いであったとしても、多くの恋は「成就」というゴールを視野に入れている。相手からのリアクションを一切求めず、ただずっと思い、見守るというのなら、それは愛に近いだ

『君が君で君だ』を観て/誰にでもなれる時代で、僕が“僕”として君を好きだと言える勇気

『君が君で君だ』観ました! 個人的にはかなり刺さるところがあったのでざっくり感想をば。。 自分の好きな人や好きなものと対峙する時に 自分を殺してそれにすべてを捧げることは 一見、美しいことのように見えるけれども 結局「逃げ」でしかないんだなと。 「好きだ」という気持ちを言いわけにして コンプレックスや劣等感、羞恥心から逃げて 自分を守ろうとしているだけだから。 劇中の「尾崎」や「ブラピ」や「坂本龍馬」の行動は たしかに “異常”で狂っているのに、 彼らのことを軽蔑できな