トレーディングで要求される能力(後編)
本記事は、前後編に分割された記事の後編です。
前編をまだ読んでいない方は、前編の記事を先に読むことをオススメします。
前編の記事では、「トレーディングは知的活動である」と定義し、成果を出すためには以下の能力が特に重要である、というコータローの持論を展開しました。
また、「高い規律性」についても前編記事の中で先行して解説しました。
本記事では、「レジリエンス」以下の各事項について、個別に解説していきたいと思います。
どうぞお付き合いのほどお願いいたします。
■レジリエンス(適応・生存能力)
「レジリエンス」は、困難な問題や危機的な状況、ストレスフルな環境に遭遇しても、すぐに立ち直り、うまく適応することができる能力です。
柔軟性、しなやかさ、弾力性とも訳されることが多いそうです。
まさに、相場という不確実性が高く、リアルタイムで状況が変化するものを相手に勝負をして生き残り続けるには、環境への適応能力が必要なのです。
相場を動かす前提となる”世界経済”の状況は、刻一刻と変化します。
また、トレード手法や関連するテクノロジーも日進月歩ですよね。もっと短期目線で見ても、相場の状況(トレンド、ボラティリティ等)は常に流動的です。
必要であれば、数分前までの自分の意見・戦略をすぐに捨て去り、相場付きの変化に対応して新たなアプローチを行う姿勢・態度が、優れたトレーダーにが持つ「生存能力」だと思います。
こうした特性を別の言葉で表現すると、「君子豹変」する能力と言えるかもしれません。
君子豹変できない人は、はっきり言って相場には向いていないです。
そういう人は、いつまでも上昇相場が続くと信じて(願って)ガチホして、損失を膨らませてしまうといった類の失敗を繰り返すでしょう。
相場の様子が変わったら、速やかに自分の意見やポジションの変更を検討しなければならないのです。
できれば、事前に「こうなったらこうする」といったシナリオを決めておければよりベターですね。
「徹底した現実主義」だからこそ、状況が変わったことや、自分が間違っていることが分かった時は、速やかに意見修正を行うのです。
常に「自分が間違っている可能性」を頭の片隅に入れて、価格の変化には敬意を払い、変化する現実に柔軟に対応できる人が、トレーダーとして生き残れるのだと思います。
■統計・確率思考
トレーディングの成果や、手法の優位性は、あくまで”数字”で説明されるべきです。
ビジネスとしてトレーディングに取り組むのであれば、自分の活動の計画や成果を数字で説明できることは基本中の基本です。
また、トレーディングの世界では「絶対に勝てる」だとか、「勝率100%」だとかはあり得ません。
短期での売買は、ランダムウォークするチャートの動きに対して資金を投じる行為ですから、一定の割合で損失を出すことは前提となります。
よって、個々の売買の勝ち負けは、確率的な出来事と認識する必要があるのです。
「絶対にここから上がるからロングだ!」
ではなくて、
「上がる可能性は●●%くらい、ヨコヨコで推移する可能性は●●%、下がる可能性は最も低く考えて良さそうだが、排除はしないでおこう。」
といった具合に考えられるようになると、エントリータイミングや建玉数のほか、エントリー後に思わしくない動きとなった場合の対応も事前にイメージしておけるようになると思います。
勝率・損益比において優位性がある戦略を一定期間実行し、勝ったり負けたりしながら利益をコツコツと積み重ねる、それがトレーディングの本質なのです。
トレーダーには、個々の売買を確率的にとらえ、戦略の計画や成果を統計的に把握する姿勢が求められます。
■セルフマネジメント能力
トレーディングで勝てるようになるには、やるべきことが山ほどあります。
基礎知識の勉強、経済情報のインプット、手法の検証、取引結果の記録と反省、資金管理、メンタル管理、健康管理、時間管理 etc…
これらのTO DOを全て一人でこなし、トレードの意思決定を繰り返していく必要があるわけです。
僕は会社員をしながらの「兼業投資家スタイル」を推奨していますが、本業の仕事をしながら、時間をしっかり確保して上記の事柄をこなさなければならないので、それなりの自己管理能力がどうしても求められます。
僕はそれらに加えて、こうした情報コンテンツ制作も行っていますwww
生暖かい目で見守ってくれている妻には感謝してもしきれないです。
節約、摂生、貯金、家事、整理整頓、家計簿、育児、体調管理などの「生活の基本」をしっかりできる人は、トレーディングにも向いていると思いますよ。
逆に、浪費癖、飽き性、暴飲暴食だったり、時間管理・体調管理・整理整頓などができない人は、トレーディングでも成果を出しにくいでしょう。
(自戒を込めて😌)
■思考速度・キャパシティ
日経先物をはじめとした金融商品は、ファンダメンタルズの様々な情報を織り込んで価格を形成します。
また、世界経済の動向以外にも、大口投資家の様々な需給・事情によっても価格を動かされます。
トレーディングにおいては、世の中に溢れる様々な政治・経済情報に加え、過去チャートの情報も含めてインプットし、重要度の評価を行った上で価格形成への影響を考慮し、売買の意思決定を行う必要があります。
相場の価格形成に影響を与えそうな情報をまとめて脳みそにインプットしつつ、チャート分析も踏まえて「買うか、売るか、何もしないか」を決めるという作業は、慣れないうちは脳みそがパンクしそうになるかと思います。
このような、同時にたくさんの情報を処理する作業を上手にこなすには、思考の処理速度とキャパシティが大きい方が有利です。
PCに例えると「CPU性能」と「メモリ容量」でしょうか。
別記事でも紹介しようと思いますが、僕はビジネススクールに通うことで、こうした能力が鍛えられました。
日頃から何かしらの意思決定を行う際に、「なるべく多くの選択肢を洗い出す」だとか、「選択肢ごとのメリデメ」等を洗い出すような作業を徹底してやるようにしていくと、こうした能力は自然に鍛えられると思います。
ちなみに、以下の傾向がある人は、思考キャパシティが小さいが故に、思考プロセスをスキップしたがるタイプの可能性があるので取扱注意かもですw
自分が当てはまることのないよう、日々精進したいものです。。
■知的体力
トレーディングの意思決定は、主に「買う」「売る」「何もしない」の3つです。(加えるなら「何枚」もですが。)たった3つの選択肢しかないのですが、たくさんの情報をインプットし、優先度をつける作業を経る必要があるのです。
そして、こうした作業を延々黙々とこなしていくことが求められます。
日々こうした取り組みを継続するためには、「考え抜くスタミナ」が必要になると思います。僕はこれを「知的体力」と呼んでいます。
ただ単に、「長考・長時間作業ができる」というのではなく、「その対象への強い興味・関心・執着に裏打ちされ、執拗に考え抜く」というニュアンスです。
強いオタク気質という表現の方がわかりやすいでしょうか。
株に興味のない人は、どれだけ本人が優秀でも、どれだけリソースを費やしでも、高いバリューを生み出す意思決定はできないです。
株・金融商品に強い関心を持ち、数字が大好きで、身銭を切って経験値を積んだような人が、強い執着心で考え抜くからこそ、長期にわたり高いバリューを生み出しうる意思決定ができるのだと思います。(まぁでも、一定の割合で損しますがwww)
■タフネス
トレーダーという職業は、主に知的作業が中心ですが、心身のタフネスはそれなりに要求されると思います。
トレーディングで成果を出そうと思った場合、たくさんのタスクをこなす必要があります。(知識のインプット、膨大な検証作業、日々の情報収集、リアルタイムでのチャート分析、トレード成果の記録・検証 etc…)
特に本業の会社員をやりながらこうした作業を積み重ねるにあたり、露骨に”体力がありません”というのでは少々心許ないでしょう。
またフィジカル面以上に、メンタル面のタフネスが要求されると思います。
トレーディングは、常に打ちのめされる経験の連続です。自信のあるエントリーがあっさり損切り、大きな含み益が数分後の暴落で一瞬でマイナスに、連続負け 等々・・・
成果が実感できるようになるまで、長期間こうした経験に耐える必要があるのです。
収益化できる保証が無い状態で、こうした理不尽にも感じる失敗の体験に耐え、挫折せず努力を続けるには、心理的なタフネスが求められるのです。
また、より重要なのは「自分にルールを守らせる」強い精神力です。
トレーディングにある程度慣れてくると、過剰に欲望が強くなる時期が出てきます。
負けが込んでいる時期は、過剰に恐怖心が強くなります。
こうした感情に振り回されてルールを曲げ始めると、トレーディングの成績が低下する危険性が飛躍的に高まります。
そうした精神が揺さぶられやすい状況に置かれても、「自分で検証し優位性を確認したルール」を守る、鋼の精神力が必要なのです。(自分が守りやすいルールづくりなどの努力も並行して必要です。)
なんか最後の方はちょっと、タフネスの趣旨から外れてきた気がしますが、まぁ雑談なのでw
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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