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MMT(現代貨幣理論)はカルト的と考えるわけ

最近、一部の小規模野党がMMTを根拠に、消費税減税などを主張していますね。
経済評論家の中にも、MMTの枠組みに基づき、大規模な財政支出を主張する人が多くいます。

一見して、所謂リフレ派の主張に似ている部分があり、国際標準の経済理論と誤認しそうになるのですが、、、
僕は、今のところMMTには否定的です。
(なおMMTに対する研究を十分行っていないことは認めますが、その必要性を感じられない、という主旨で「否定的」です。)

理由は明快で、

①数理モデルが不完全
②主張の内容に重大な欠陥がある

です。


「①数理モデルが不完全」について

経済現象は、全て定量的に測定可能です。
なので、経済学理論や経済政策の成果については、すべて数理モデル(数式)とその解の値によって説明されなければなりません。
(もちろん、個々の経済現象の測定可否や測定精度の問題は、現実にありますが。)

つまり経済学に関する理論には、物理学や化学と同様に、その現象を説明する数学的なモデルがセットでなければなりません。

また、経済政策を語るなら、定量的な条件付けが必須となります。
「消費税を下げるべき」は政策ではありません。
「消費税を●%下げれば、需給ギャップが●%となり、GDP成長率やインフレ率は●%~●%となる。」という議論でなければならないのです。

そして、MMTには数理モデルがほとんど存在しません。
(参考論文は本記事の最下部に記載)



「②主張の内容に重大な欠陥がある」について

MMTの主な主張の一つに、
「徴税権のある国では貨幣増発(国債の中央銀行引き受け)をいくら行ってもインフレにならない」
というものがあります。

これは重大な誤りであり、現在の日本の経済状況をみれば、緩和的経済政策を大規模に行えば、いずれはインフレになることが証明されています。

確かに日本は随分長いことゼロ金利や財政ファイナンスを行ってきたにもかかわらず中々インフレになりませんでしたが、、、
これは緩和的経済政策を行うかたわら、消費税増税という緊縮的経済政策をを断続的に行ったことにより、アクセルとブレーキを同時踏みするような状態をつくりだしてきたからです。

国際標準の経済理論(日本ではリフレ派と呼ばれる)では、上記のような財政ファイナンスは「目標インフレ率達成までは可能」という上限付きで認められるものです。
「無尽蔵にお金を刷れる」というのは、まったく異なる理論体系です。


ちなみに話は変わりますが、僕は情報発信を行う上で、「カルト的なもの」を見分けることを非常に重要視しています。
他人をだまして利益を得ようとする人々に協力するわけにはいかないからです。

僕が設定している、「カルト的なもの」の要件は以下の通りです。

①主張内容が検証・反証できない
②主張内容が、過去・歴史の検証結果を矛盾する、定量・統計・論理面で誤っていることが多い。
③定性的・感情的な主張で人々を熱狂させようとする。
④自分の主張を信じさせることで、何かしらの利益獲得を目指している。

上記の要件にいくつも当てはまったら、かなり警戒して話を聞くようにします。

特に、①に該当したらもう1発退場です。
反証不可能な理屈を言ってくる人とは、科学的議論ができません。
そいういうのは神学論の世界にお任せし、定量的に検証できる事象については科学的な議論をやるべきなのです。

僕の調べた限りでは、MMTは①②該当しています。
また、論者によっては③④の目的でMMTを語る場合があります。
というわけで、MMTはアウト😇



「カルト的なもの」は、何も宗教に限ったものではありません。
政治・経済・歴史等、ありとあらゆる分野で「理論的」な皮を被って釣り針を垂らしています。

政治面では、米国大統領選挙の時には「DS(ディープステート)」がかなり流行りましたね。
あれも、又聞きの証言以外に根拠とされるものが無いため、僕は「カルト的」認定しています。

カルトは、陰謀論との親和性が非常に高いです。
そして陰謀論は、社会問題により鬱屈した人々の不満の吐け口・受け皿として機能し、特定界隈で熱狂的な盛り上がりを見せることが多々あります。
そうして盛り上がった特定界隈の中から、”自らの正義”を実現するために過激な行動も辞さない人々が出てくるのです。

日本でも、こうして成長したカルト集団が反社会的行動を起こした事例が多々あります。

現代社会では情報があふれていますが、人間の思考原理は中世の頃から対して進歩していません。
世代が変われば、何度でも同じ過ちを起こすのです。

現代社会においては、様々な分野で「情報戦」が高度になっています。
ニュースや著名人の発言を鵜呑みにせず、自分の頭で精査・分析する能力が、これまで以上に求められています。

逆に言えば、こうした「高度な知的能力」を高めれば、変な思想にハマることもないですし、マーケットにおいて優位に立てるということです😃


「MMT(現代貨幣理論)はどこが間違っているのか?」國枝繁樹著
公益財団法人日本証券経済研究所 証券レビュー 第61巻第4号 
https://www.jsri.or.jp/publish/review/pdf/6104/02.pdf


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