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君が輝くその日まで|第三話

第三話 額からの話

ーーー「うなー!ゆうなー!聞いてんのか、話!」
はっとわれに返ると、あの金八木先生が目の前にいた。
そっか、塾の授業始まってたんだ。
どうしよう、怒られるーーー!
「おまえ、何考えてたんだ?ぼーっとしすぎだ。廊下30分!」
クラスのみんなが私を見た。
視線が怖いよ…
やっぱり廊下か…やりすぎでしょ、怖すぎ、先生。
なんでそんな先生がくびにならないのかなー…変なの
「あれ、優菜じゃん」
額だった。
「何でここにいるの!?額は真剣ゼミナールだったはずじゃ…」
ここは前輪塾(ぜんりんじゅく)という普通の塾だ。
真剣ゼミナールは、受験塾で、すごく有名なところだ。
私の家はそんなにお金がないから、この前輪塾に通っている。
「転塾したんだ、お母さんが真剣ゼミナールで毎回学年一位取らないと、
ずっとそこにはいられませんって。で、こうなったわけ、今は自習中」
いやだよなーとでも言いたそうな顔で額が言った。
「で、何で優菜はいるの?廊下に。授業あるんじゃね?」
「私のクラスの先生って、すごーい厳しくて、その先生の前でボーっとしてたら、廊下30分って言われちゃった!あはは…」
私は苦笑いをした。ほんとは嫌だけど、
また悲しい顔したら、額もあきれるかなと思ったからだ。
「そっか、俺に、話したいことない?なんか悩んでそうだけど」
本心ばれてた。だから、私は正直に言うことにして、私は立ち上がった。
「連のこと、いじめてるんでしょ?」
なるべく言葉を少なくしていった。そんなに額を刺激させたくないから。
「え?」
返事はそれだけだった。そのあとに、額はトイレに行き、
自習室に帰ってしまった。
「やっぱり聞けないかー…」
しょぼんとしていたら、金八木先生がクラスから出てきた。
「もういいぞ、30分たった。」
「はい…」
私は少しだけ、もうちょっと時間が欲しかったと思った。
額と話したかった。
額になんでいじめているのか聞きたかった。
でも、もう話せないかな…引かれちゃったかも…
やってしまった…と反省しながら、私は自分の席に戻った。
「金八木先生って、厳しいよね」
休み時間に、友達が言ってきた。
「うん、でもさぼれるからいいんじゃないかな…」
私は少しワルだ。
だって、金八木先生の授業、つまんないもん。
面白い時もあるけど、一か月に一回ぐらいしかないもん。
「たしかにー!」
笑いながら友達が言った。
うん、とうなづくと私はトイレに行った。
トイレは少しだけ混んでいた。
並んでいる間に私は次あったら何を聞くかを考えた。
少し話題を変えたほうがいいかも。好きな食べ物は?とか?
そうすれば親しくなって、自分から話せるようになるかも。ーーー

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