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1115 業界や領域によって、取引期間の長さは変わる

帝国データバンクが出しているこんな調査を見ました。

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引用:http://www.tdb.co.jp/trivia/index.html

要は業界によって、企業間取引の平均継続期間が全然違う、というデータで、例えば、

・電気・ガス・水道・熱供給業…頻繁に契約先の変更を検討しづらいため、取引期間が長くなる傾向
・官公庁…都度の入札で決めるため公務は取引期間が短くなる傾向

があるようです。

顧客満足度や顧客への提供価値の多寡がどうであれ、そもそもの業界構造によって取引の継続期間が大きな影響を受けるのが面白いなと思いました。

このデータは、自社がどんな領域のビジネスに参入するか、自社サービスの継続期間をどれぐらいで見込むか(=LTVをどれぐらいで見込むか)の判断に大いに影響を及ぼします。

LTV(Life Time Value)=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間

例えば、当社が属しているマーケティング業界にも、構造上、継続期間が長くなりやすい領域がいくつか存在します。

例えば、Webサイトを作成・運用する際に使うCMS(Content Management System)は、Webサイトのリニューアルは数年に1回で、途中で他社サービスに乗せ換える難易度が高いので、途中解約はほとんどなく、継続期間は最低でも3~4年となります。※前職でCMSを提供していた実体験ベース

また、数千、数万ページあるような大規模サイトの運用受託は、途中で業者を変えるコストが高いですし、大規模サイトの運用受託をこなせるプレーヤーも少ないため、継続期間は5年~10年と長くなります。実際に、前職では大手企業の製品サイトの運用受託をやっていましたが、継続期間が10年以上ある取引が複数存在していました。

逆に、当社が属しているマーケティング業界で、構造上、継続期間が短くなりやすい領域も存在します。

例えば、リスティング広告やFacebook広告のような運用型広告の受託は、業界全体で平均した時に取引の継続期間は1~2年ぐらいになるのではないでしょうか?

広告運用は、CMSと違って、他社サービス(=他の広告代理店)に乗り換えるのが比較的容易ですし、広告代理サービスを提供する企業は世の中に多数存在するため、私が知る限りにおいては、1年や2年で他の代理店にリプレイスする行動が比較的普通に発生しています。

他にも、広告クリエイティブの作成や紙やFAX DMのデザイン作成も

・知り合いの制作会社
・知り合いのフリーランス
・クラウドソーシング
・広告代理店
・DM発送会社

など、簡単に他のプレーヤーに依頼できてしまうため、平均取引期間は短くなるでしょう。

以前、マイケル・ポーターが提唱する「5Force」にある新規参入者、代替品、競合他社、買い手の交渉力、売り手の交渉力によって、取引の「解約」の起きやすさが変わる、というツイートをしたのですが、ものすごいざっくりの話として、平均取引期間が長い構造のビジネスであれば、「薄利多売」で良いですが、平均取引期間が短い構造のビジネスであれば、「多利多売」
か「多利少売」でないと、LTVが低くなり、強いビジネスを構築するのが難しいでしょう。
※平均取引期間が短くなりやすい広告運用の業界では、超大手の月額数千万円、数億円の広告運用を請け負っている「多利少売」の会社がビジネスを拡大している傾向があります

もちろん、プロダクトの性能やサービスのクオリティ、カスタマーサクセスの取り組みは大前提として大切ですが、構造上の問題として、業界・領域によって取引期間の長さは影響を受ける、という話でした。

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