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許容CACと戦略の自由度 1125

今日、某SaaS事業の経営者と話していて、「ACV(Average Customer Value:平均顧客単価)が低いと、許容できるCAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得単価)、CPA(Cost Per Action:コンバージョン獲得単価)が低くなって、やれること少なくなりますね」という話になった。

LTVの高さが、BtoBマーケティングの自由度を決める』でも書いた通り、基本的にはACVが高ければ高いほど、許容できるCPAやCACは高くなる。

例えば、ACVが3,000万円の商材を扱っているのであれば、展示会出展に500万円かけたとしても、1件受注するだけでペイする。つまり、500万円のCACを許容できる。

一方、ACVが24万円しかないと(月額1万円のサービスで継続期間が2年程度だと)、許容できるCACはどんなに多くても8万円程度。営業コストを加味すると、許容できるCPAは1.5万円ぐらいだろう。

そして、BtoBマーケティングにおいて、CPA1.5万円で獲得できる施策がどれぐらいあるかというと

・購買に近いワードでのリスティング広告
・購買に近いワードでのSEO
・FAX DM
・テレアポ
・飛び込み

ぐらいな気がする。仮に、CVに貢献する検索クエリがない場合、CPA1.5万円以下で運用できる施策のうち、

・購買に近いワードでのリスティング広告
・購買に近いワードでのSEO

は使えず、

・FAX DM
・テレアポ
・飛び込み

しか有効な打ち手がなくて、顧客獲得のスピードは、どれぐらいFAXを送れるか、テレアポ、飛び込みできるかに規定されてしまう。

これ以外にBtoBマーケティングでよく行われる

・展示会
・自社カンファレンスの開催
・記事広告の出稿
・Facebook広告の出稿
・比較サイトへの掲載
・郵送DM
・セミナー
・TV CM
・タクシー広告
・THE MODEL型の組織
・MA活用

などは、CPA1.5万円以下では運用できないと思うので、やりたくてもやれないし、もっと言うと、戦略上必要でも選択できない。
※TV CM、タクシー広告、自社カンファレンス等で、あるカテゴリの第一想起を取り、中長期的に指名検索を増やし、CPAを劇的に下げる方法などもあるけど、初期投資金額は数億~数十億円は必要な気がする。

Amazonの翌日配送サービスで配送する度に赤字を出しつつも、それがAmazonプライム会員の解約率低減につながり、「Amazonプライムによって利益を最大化する戦略」的なものがあれば、許容CPAやCACを無視しても良いけど、世の中の90%のビジネスは、そのサービス単体で収支をあわせる必要があるだろう。

これは「平均顧客単価を高くしましょう!」という話ではなく、ACVが低いと、許容CAC、CPAが低くなり、結果として、マーケティング活動の選択肢は少なくなるので、それを加味して、事業戦略を立案する必要があると思った話でした。

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