Learn Better➖頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ(1)
同じ授業を受けているのになぜ差が生じるのか?
より良く学ぶとはどういうことか?
そのために指導者には何ができるのか?
本書は「どうすれば最も上手に学べるか」を明らかにしてくれる。
控えめに言って、最高にオモロイ。
今までなんとなく、「良さそう」と思って実践してきたことや、マネしたいな、と思っている様々な先生方の取り組みが、科学的にも証明された、やはり紛れもなく「良い」方法なんだと知ることができた。
価値を見いだす
スキルを習得する上で、モチベーションは最初の一歩である。
意味があると思えないことを学ぶのは難しい。また、意味は理解の第一歩でもある。専門知識に自分との繋がりを作るとき、私たちはその意味を理解し始める。
こんな取り組みがある。
統計学に関心を持ってもらうために、ある教授は学生たちに次のようなお題を出した。
「自分の生活で統計学を使うシーンを想像できますか?」
「看護師、営業マン、管理職という職業に就いて統計学を使う自分を想像できますか?」
学生たちはこのお題に対し、ノート1-2ページほどの短いエッセイを書いたのだが、効果は絶大。
自分の生活と統計学の関わりを意識することで、学生の勉強へのモチベが大幅に上昇。
成績がC平均B平均へと上がった学生もいたという。
統計学が自分の将来の職業、趣味、いつか築く家庭にとってなぜ大事か?を説明する行為によって学習のレベルが上がったのである。
これは使える!
中高生にも以下についてまとめさせても面白いかも。
「自分の生活にとっての英語の価値とは?」
「どんな場面で将来、英語が大切になる?」
(英語でなくて、"Listening"等の特定の技能でも良いかも。)
自分との関連性
価値があるという感覚を創り出す方法はたくさんある。
報酬、目新しさ、背景情報、自発的モチベーション等。
だが、ある対象について学ぶ意欲を持つには、その対象と自分に関連性があると思わなければならない。
自らに問うのである。
・この学ぶ対象は私にとってどう価値があるのか?
・どうすればもっと自分に関連性を持たせることができるか?
・この知識を自分の生活にどう利用できるか?
情報そのものに価値がある(ここ大事だよー)というだけでは不十分。むしろ逆効果である。
脅されている、過剰に管理されている、と感じる危険性があるからだ。
そうではなく、活動の意味は自分で見つける必要がある。
以前こんな記事を書いた。
「情報そのものに価値があるというだけでは不十分」というのはまさに感じていたこと。
例えば、英単語に価値を持たせるには、
自分が使いそうな場面に当てはめて、その単語を使って、オリジナル英文を作ることが効果的では?
と感じた。
実際、僕はLINEに自分だけのトークルームを使って、実生活に当てはめた例文をアップしているのだが、これがかなり記憶に効く。
選択の余地
(課せられた)知識の習得に意味を自分で見出す、という作業をやってもらうためには、学習者にある程度の自由(選ぶ余地)が必要である。
こんな研究結果がある。
高校生のある集団には宿題に選択の幅を与え、別の集団には与えなかったところ、
自主性を認められた学生の方がモチベーションが高く、学習の成果もはるかに高かった。
この箇所を読んで思い出したのが、江藤先生が出演されていたyoutube動画。
32:06〜「生徒自身に選ばせる」実践についてお話しされている。
インプットが繋がるわ〜。
ちなみに34:09〜も感動もの。授業がもつ力に勇気が湧く。
帰属意識
帰属意識もモチベーションの一種となる。
どこにも属していない、と感じている学生のモチベーションは低いし、学業も振るわない。
これは想像に難くない。
(「心理的安全性」ってやっぱり大事。これも学ばないと)
帰属意識が育まれていることが前提だが、自分が属する集団に対して誓ったことを人は守ろうとする。
そのため、公に(友達に)目標を宣言すると努力を続ける確率が高くなり、結果として学習効果が高くなることも知られている。
「知的努力には伝染性がある」のである。
「生産活動」としての学習
次の質問に答えてみて欲しい。
答えはC。
A、B、Dにあまり効果がないのは、それが「生産活動」ではないからだ。
知識を「創造」していないのである。
では「生産活動」にあたる具体的なアクションとは?
自分自身に問題を出す
自分に説明する(ある概念を自分自身に説明するとき、私たちは頭を活動させており、やはりよりネットワーク化された形で知識の習得ができることが研究で示されている)
内容を自分なりに要約する
理解したことを図や絵として表現する
これは納得の嵐だった。
以前勤めていた塾で、毎回の授業終わりに「EXCHANGEシート」というものを生徒に配り、その日の授業でおもしろい!と思ったことや、これは覚えておきたい!と思ったことを書かせる、という取り組みをしていた。
簡単そうに見えるが、初めはみんなうまく書けない。
「従属接続詞はいっぱいあって難しいと思いました」のような感想レベルのものが量産される。
しかし、中には上手にポイントを突いたまとめ方をする生徒もいて、それを良い例として生徒に共有。それを元にまた良い例が生まれて共有…という流れを1学期間繰り返すと、全体の要約レベルはかなり改善された。
今の塾では、そういった取り組みはやっておらず(というか、やりたくてもできない)学期の終わりや、講習の最終日に似たようなアンケートがあるのだが、まあ、内容が浅い。
以前の塾では、生徒に「生産活動」をさせることができていたのだなあと嬉しくなった。
掛川西高校の吉川先生はGoogle formでテストを生徒に作らせる、という取り組みをされている。これもまさに「創造」だ。
優秀な教育者とは
・頭を働かせる「活動」としての学習に学生を深く関与させる。
・学生が学習に意味を見出す手助けをし、自主性と自分に関連性があるという感覚を与える。)
・モチベーションと感情面の支援を与える。
学生は有能な教育者を鋭く見極めている、との研究結果も出ている。
教師の履歴書や経験年数よりも、学生が教師を評価したアンケートの方が将来の学習成果を正確に予測する手がかりになったという。
その先生は学生を鍛えてくれるか?
説明が明快か?
その先生の授業から学んだことは多いか?
支援については?
気にかけてもらえたと感じたか?
教材を自分に関連性があるものにしてくれているか?
つまづいている学生をどう手助けしてくれたか?
このアンケートを自分でも作ってしまうのはどうだろう?
この項目で生徒に毎学期評価してもらうのも有り?
これでまだ第1章(笑)
(2)に続く。
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