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選ばれない人が選ばれる為に

私の大学では設計課題で作品のプレゼンができるのは8〜10人だけだった。200人弱の内の10人なので倍率としてはとても高い。選ばれる人は徐々に固定されて、大多数の選ばれない人は自信を無くす。先輩との繋がりがありエスキースしてもらえる人は選ばれる側になりやすく、繋がりのない人はどうすれば良いのかわからない。
ましてコンペは更に高いレベルが要求される。

私もプレゼンできない側だった。先輩との繋がりもなかった。
この記事はそんな同類に向けて書く。何かのヒントになれば嬉しい。

転換点

私がはじめてプレゼンできたのは2年生の最期の課題だった。
その設計が転換点となった事を自分でも感じた。その作品について長々書く事に意味はないので、先に結論を書く。

それは、一点を尖らせることである。当たり前の様に思うかもしれないが、他の作品と比べてただ一点でも飛び抜けていれば目に止まる。
始まりは当たり前の事でもいい。尖らせ続ければ大概の事柄は意外な場所に着地する。意外な結果とならなくても、それはそれでクラシカルな普遍の美しさとなる。

抽象的になりすぎているので、ここからは転換点なった私の作品(fig.1)を具体例にあげて説明を補強する。
その作品では、ひたすら敷地を調べた。つまり、設計の土台となる当たり前の事柄をひたすらに尖らせた。すると、敷地の魅力となりうる可能性を見つけ、そこら設計することで敷地に収まらずに周辺地域を豊かにするような建築ができた。
その伝播を誘う設計が周りとの差を生み、敷地というパラメータで飛び抜けた。

fig.1 プレゼンシート(ブラッシュアップ版)

先に述べたように、尖らせる対象は何でもいい。私のように敷地でもいいし、家族構成、プログラム、構造、構法、空間の質、物質、形態…。
あなたの得意な部分があればそこを尖らせ、なければその課題のユニークな所を、それもなければフィクション(課題)に対して唯一リアリティを有する敷地を尖らせていく。
1つを伸ばせばそれに引っ張られて、その他も伸びる事も多い。

終わりに

最後に私が一番主張したいことを述べる。
あなたの作品には必ずあなたが良いと思った物が含まれている。必ず魅力がある。

それが審査者に届いていない理由は主に2つある。
1つは上位互換がいる。これは何か1つを尖らせていけば問題無い。例え圧倒的にセンスも能力も上の人がいても尖らせていくうちに異なるフィールドの作品となり、比べられるようものから外れる。
2つ目は伝え方が良くない。これはコンペのような短い時間で評価されるものに大きく関係してくる。この観点は作品自体の問題からは外れる。強引な言い方をしてしまえば設計センスの問題ではない。(伝え方についての説明は長くなるので割愛)→追記、伝え方に関して以下の記事を書いた。

選ばれる事が全てと言いたいわけではないが、選ばれないよりも選ばれた方が単純に嬉しい。
選ばれなかったことを気にする必要はないと言う人もいるけれど、きちんと気にしてほしい。直視してきちんと凹める人は、尖らせていくだけの熱意と素質がある。
あなたのフィールドを開拓し続けてほしい。諦めないで面白いものを見せてほしい。


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