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『落下の解剖学』考察ネタバレ「偏見から逃げれない」ラストの意味

カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『落下の解剖学』を鑑賞。『関心領域』でも存在感を放っていたザンドラ・ヒュラーの演技が本作でも光る!ネタバレありで考察をしていく。

ネタバレ感想:見る者の偏見を問う

あらすじ→フランスの山の上の民宿で暮らす夫婦とその息子、そして犬。ある日、夫・サミュエルが屋根裏部屋から落下して死亡。息子・ダニエルと母・サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)は嘆き悲しむが、検察はサンドラが殺したと起訴し、裁判に発展…という物語。
(→ラスト結末までの解説はコチラ←)

コンセプト重視の作品で、「サミュエルは自殺なの?殺されたの?というミステリー的な問いを立てた瞬間に罠にハマる、ひっかけ問題のような作品。

不確かな証言が積み重ねられ、母・サンドラの不倫などが暴かれ、さらに弁護士はサンドラの元カレ…「サンドラ、黒だろ!」とつい思ってしまうが、それこそが偏見(バイアス)の正体なのだと突きつけられる。そういった心証でサンドラが殺したか殺していないかを決めることはできないはずなのに、つい白か黒か判断してしまう。人間の心理のピットフォールを露わにした映画で『関心領域』に通じるものがある。
さらにそこから踏み込んで、人間は判断材料が十分でない不確かな中で重要な決断をしなければならないという実用的なメッセージまで提示しているのがすごい。

ラスト考察:ニーチェのパースペクティヴィズム

裁判での怒涛かつ素晴らしい会話劇を経て、サンドラは無罪に。真相はわからずにラストを迎える。
結論からいうと本作は哲学者ニーチェが提唱したパースペクティヴィズムを問いかけているのだろう。
人間の思考の罠を可視化させることに成功している。
ニーチェのパースペクティヴィズム・カメラワークなど細かい考察は次のページで


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