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人的資本と人的資源

昨日、私は「人的資本経営バー」という交流の場に足を運びました。ここは次世代のリーダーを育成することをテーマにした話が行われました。そこで耳にしたのは、「人的資本」と「人的資源」の区別、そしてそのどちらが現代の経営において求められているかという議論でした。

人的資本と人的資源

「人的資本」とは、単に存在するだけで価値をもたらすアセットです。対照的に、「人的資源」とは使用されることで価値を発揮するリソースとされています。現在の企業が求めるべきは、資源ではなく資本です。アセットとしての人材、つまり自発的に価値を生み出す能力を持つ人材が不可欠です。そのためには、単に指示に従うのではなく、「問いを立てる力」を持つことが求められます。問いを立てる力は、現状に疑問を持ち、新しい可能性を探求する力です。これは、人的資源ではなく、人的資本にとって重要な能力です。

数字や評価に惑わされない心の強さ

話の中で興味深い事例が取り上げられました。ある企業がIPOを控えた時期に新しいCFOを迎え入れ、無事に上場を果たすという重要なミッションを達成しました。しかし、そのCFOは取締役から最低ランクの評価を受けるという矛盾した状況に直面しました。理由は「中長期計画が立てられていない」とされました。このエピソードから私たちは、評価というものが必ずしもミッションの達成と直結しているわけではないこと、また、評価基準自体が常に適切であるとは限らないことを学び取ることができます。これは、どんな評価もあくまで一時的なものであり、過程の一部であるという見方を強調しています。真の成功は、しばしば時間をかけて評価されるべきものです。

教養の力

また、教育に関する興味深い事例が提供されました。ある講演者がリベラルアーツとGPTを組み合わせたワークショップで行った実験について語りました。そのワークショップのテーマは「石田三成になりきり、関ヶ原の戦いをどう勝つか」でした。参加者たちは、答えのない問いに対して、自分なりのロジックで答えを導き出す過程を経験しました。この実験から明らかなのは、教養があれば、技術ツールを活用してより自由で創造的な思考が可能になるということです。教養は、知識の単なる蓄積に留まらず、その活用方法においてその価値が発揮されるのです。

以上、人的資本の重要性、評価に振り回されない心の強さ、そして教養の力について、私が最近感じたことをお伝えしました。これらの考えが、読者の皆さんにとって何らかの示唆になれば幸いです。

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