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思春期日記② 「現実」

ある方と映画を観に行った翌日、その方とお茶をしていると、昨日観た映画の感想を聞かれた。
「僕はそもそも創作物に感情移入することがあまりないんです。」
するとその方はぼそっと言った。

『古書くんがうちに来た経緯とすごく似てるなと思ったけど…』

その映画には、主人公が都会を見たいと、もがくシーンがある。これが、僕が田舎から上京してきて課外活動を始めた経緯と似ているのではと言うのである。

確かにな、と僕は思った。
僕が住んでいる場所は埼玉の端の方で、未だに村八分もあり、閉鎖的な空間だ。越した当初はずっと他所者扱いされていた。学校ではいじめにも遭い肩身の狭い思いをしていた。今でこそそんなことは無くなったが、決して生活しやすい環境とは言えない。そこで、家を出て都内で様々な活動を行うようになったのだ。

にもかかわらず、僕はこの方から言われるまで、微塵もそんなことを考えていなかった、主人公と自分を重ねていなかったのである。これが何故なのか、僕は初心を忘れてしまったのか、創作物だとしか捉えずに観ていたのか、全くわからない。
でも、一つだけ言える。まだ自分はもがいている。自分のあるべき姿や求められている姿、周りが見ている僕と自分の考えている僕とのギャップに。
まだ、自分という人間を理解できるのも、自分を俯瞰することができるようになるのも、遠い先のようである。

(この話は事実に基づき脚色を加えております。)
(今回もイラストお借りしました🙇‍♂️
ペンギン可愛い☺️)

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