デザインスクール卒業プロジェクト: Identify Design Theme (CIID Week1)
こんにちは。約2ヶ月Noteの更新が滞っていましたが、ついに卒業プロジェクトとなる”Final Project”が開始されたので、今後はその進捗をシェアしていけたらと考えています。これまでCIIDの授業では、多くの国籍・バックグラウンドを持った人と協働してプロジェクトを組成し、お互いの強みを生かし、弱みを保管し合う形式をとってきましたが、今回は完全に個人によるプロジェクトになります。
プロジェクト終了後には実際のインタラクションデザイナーとの質疑応答も控えており、これまで学んできたことを体得できているか、一人前のデザイナーになっているかを問われるため、全員が必死になって取り組みます。
今後進捗に応じて複数回に分けて、記事を書きたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。
Final Project Schedule
CIIDのFinal Projectは、テーマの選定から最終的なプロダクト/サービス開発までを約2ヶ月間行う事になっています。これまでのプロジェクトが最長で3週間であったことを考えると、より実際のプロジェクトに近い状況と言えます。選ぶテーマやプロセスは完全に個人に任されており、自分が関心を抱いている領域やスキル会得に集中できる期間であると言えます。
Week1: Kick-off
Week2-3: Design Research / Challenge
Week4: Explore Design Direction (Ideation)
Week5: Concept Development / Prototyping
Week6-7: Prototyping
Week8: Documentation
Week9: Final Exams / Exhibition
今回の記事では、Week1で自分が取ったプロセスについて解説していきたいと思います。
Goal of Final Project
初週は、リサーチをするトピックを選ぶことを最終的なゴールとしていたのですが、それ以上に自分は、この先の自分の将来・キャリアを考えてどんなスキルや知識を伸ばしたいか、明確にしました。
【Goal of Final Project】
- Final project should be an opportunity to clarify the relationship/differences between design & business process, figuring out common stuck points
- Final project should explore service design methodology, considering I’m going to be a service designer in the future
- Final project should be a starting point of my cinematographer career by finding creative way of storytelling beyond just images, videos & technical shooting/editing skills
- Final project should be aligned with emerging social/design trends in Japan, modeling Costa Rica as a pioneer country in terms of some aspects
自分の場合は、CIIDを卒業した後に「サービスデザイナー」または「フォトグラファー・ビデオグラファー」になることを視野に入れているので、それを踏まえています。したがってハードウェアをいくつも使いこなして、プロトタイプを作る事に時間をかけるよりも、コンセプトとストーリーテリングに時間を割きたいと考えています。
Area of Focus & Statement of Intent
気になるトピックですが、スタートした時点では、日本の田舎暮らしの魅力に着目し、以下のようにしていました。
———
【Theme】
Beyond city life in Japan - Regenerate Japanese rural area -
【動機】
自分は大学に入学してからずっと東京で生活をしており、勤務先も丸の内でCIIDに入学する前は、典型的な都市生活を送っていました。生活に困ることなどなく、毎日仕事で忙しかったわけですが、会社以外の人間関係が疎になっていたり、自分だけの趣味がなかったこともあり、日常生活(特に休日)に違和感を感じていました。そんな中、心機一転、CIIDへの入学を決め、仕事も退職する事になり、コスタリカに渡航する前の2ヶ月間は実家の神奈川県小田原市で暮らしていました。
世の中が広いことを知り始めた、中学生・高校生の時には、小田原なんてつまらない、自分の場所ではないと考えていた故郷は、不思議な事に都市生活を長く続けてきた自分にとって、非常に新鮮に映ったことを覚えています。のどかな田園風景も、その田園の中を走る小田急線も、富士山の横に見える夕日も、廃れた商店街の中にある団子屋さんも「再発見」したように感じられ、そればかりか、心理的な「余白」ができたことで、Noteを書き始めたり、写真撮影を始めるようになったりと、自己表現の領域にも踏み出していきました。
このように日本の田舎・故郷という概念は、言語化しにくいけど人生を豊かにする上で何か重要なものを持っているなと考えたのが、きっかけです。地方創生をしたいわけではないのですが、日本の田舎暮らしをもっと流行させることができないか、言語化できない田舎暮らしの魅力をデザインに反映することはできないか、とおぼろげながら考えていました。
———
そして田舎暮らしのデスクトップリサーチを行う中で、Biotopeの佐宗さんとVUILDの秋吉さんが連載している記事に出会いました。
ポストコロナの価値観から、今後の経済のあり方、教育のあり方、さらには住まいの考え方まで幅広く掲載されている記事ですが、この記事で気になった点をまとめると以下の通りです。
【Mindset Shifting】
■ From “Outside-in” to “Inside-out” mindset:
During the lockdown due to the COVID-19, people have started to reflect themselves and think about “what they truly want to do”, rather than caring about “what other people value for work” and “what they should do”. People have been tired of typical city life in urban area.
■ From “High Key” to “Low-key” entertainment:
People started “self expression (e.g. cooking, DIY, art, Youtube)”, “connect with nature (e.g. brunch at parks, countryside life)” and “community engagement (e.g. helping between neighborhoods, skill share)”, rather than working in office, going to nightclubs and shopping in malls. Those 3 aspects could be done in countrysides.
■ From “Urban” to “Rural”:
Given these situation, some knowledge workers in Japan have started to move on to rural areas for their living and creative works because Japanese countrysides have all three aspects - “self-expression”, “connect with nature” and “community engagement” - and good for their creative work. They can feel the pleasure of living. But most of time, they do multi-location living now.
パンデミックの影響も相まって、これまで密かに広まり始めていた「地方移住」が加速しているとの事で、自分の興味は「どんな人が田舎・故郷暮らしに憧れているか」「田舎・故郷で何がしたいのか」「なぜ田舎・故郷で自分がしたいことができると思うか」という点に移っていきました。
さらに別の記事ですが、Yahoo Japan CSOの安宅和人さんが「開疎化がもたらす未来」という題名で、同じような潮流を説いています。
以上のことから、第二週以降のリサーチでは、日本の田舎暮らしに興味を持つ様々なユーザーに、以下の観点でインタビューすることにしました。
【Statement of Intent】
- To understand their life value & emerging behavior before/after the COVID-19
- To understand city lifestyle and its gains & pains with changes in their motivation towards city life
- To understand their image/motivation towards countryside lifestyle
Align with Social Agenda
今回はライフスタイルの変化のように、人間視点の大きな潮流だけでなく、政府やテクノロジーの進展といった文脈で、どの程度このトピックが意義をなしているかを検証しました。主に4つの観点から考えています。
特に重要と考えているのは二つ目の”Solving Social Security Fee Issue without Spending money”で、デザインの力を活用してお金を使わずにどのように地方創生・地方移住促進といった問題を解決するかです。人を地方・田舎に移すことだけが答えとは考えていませんが、ある程度人を移すことは世の中の潮流から外れていないと思います。問題は「どんなデザインを施せば、人が心地よく田舎暮らしを開始できるか」だと当時は考えていました。
Need for regional revitalization:
In order to maintain Japanese society, we need to get out of “over-concentration in Tokyo” and realize “rural society”. The above mindset/lifestyle shifting could be the trigger to make this social agenda come true in the future.
Solving Social Security Fee Issue without Spending money:
Social security fee (pension, nursing…etc) has been increasing in Japan, and it will collapse Japanese society. Japanese society has to invent a new way of social security without spending money.
Need for P2P connection:
People in city area have been losing P2P connection in their busy life, feeling loneliness, ending up with lonely death sometime. life in countrysides ensure community engagement and trust between people.
Digital Transformation:
Everything has been becoming in digital, now people can work anywhere/anytime and don’t need to care about where they work from. This trend is going to be long-term and support “decentralized society (rural society)”.
Adopt Costa Rican Context
現在コスタリカでデザインを学んでいることもあり、コスタリカの田舎暮らしから日本に応用できることはないかと考えていたので、リサーチの段階ではコスタリカの田舎に出向いて、現地調査することも当時はおぼろげながら考えていました。
CIIDには「サービスデザイン」というコースがあるのですが、その際はSanta Teresaというビーチエリアで現地調査を行ったのですが、日本の田舎よりはるかに田舎で、独特の雰囲気や文化がありました。自然を大切にし、共生しながら暮らしている現地人の生活には、日本人も見習うべきことがあるはずです。
サービスデザインの記事にSanta Teresaの様子をまとめているので、よろしければご覧ください。
今回の記事ではここで終えたいと思います。次回はWeek2-3で実施したリサーチの内容と結果について、解説していきたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?