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CIID Week 28-30: コスタリカでビジネスを作ってみた ~ Service Design ~

こんにちは。約3週間ぶりの投稿となりますが、実はこの3週間ずっとService Designという一つのクラスを実施していました。Industry Projectという実際の企業をクライアントとしたプロジェクト前の最後のコースということで、デザインの側面だけではなくビジネスの側面が入った印象的なコースとなりました。多くの生徒は普段ビジネスマンが行っているようなビジネスモデル・サービスモデル構築といったことに苦戦しているようで、ビジネスとデザインの溝は大きいのだなと改めて感じたコースでもあります。

個人的には、ビジネスモデル・サービスモデル構築といったことの他に、タスク全体のマネジメント、デザイン及びビジネスリサーチの設計、インサイトやビジネスチャンスの取りまとめなど、プロジェクトを円滑に回していく上で必要なことは全てビジネスデザイナーの仕事に成り得ると気づくことができました。逆に多くのデザイナーは上記を苦手としているようでした。

3週間のコースの総まとめとなるため、今回の記事は少し長くなります。結果だけを見たいという方は、こちらのコンセプトビデオをご覧ください。2日という短い期間でしたが、撮影と編集は自分が行いました。

Service Design Lecture

1. Good Service

まず最初に良いサービスとは何か、ということからこのコースは始まりました。なんとなくこれまでの記事でも、「プロダクト」と「サービス」という二つの言葉を使い分けてきたのですが、しっくりときた定義があったので、ここで紹介します。

“Services are not only the base of the economy but also the base of social relationships and interactions.”

要するに、サービスを介して人や社会が相互につながり合うということで、サービスという言葉を使った時点で多くのステークホルダーを意識する必要があることになります。例えば、Uberというサービスは、ドライバー、ユーザーに何らかのメリットをもたらすだけではなく、タクシードライバーや政府などといった多くのステークホルダーを巻き込んだサービスになっています。Uberのアプリ(プロダクト)という意味では、ドライバーとユーザー間のインタラクションでしかないのですが、サービスは他に多くのステークホルダーを巻き込むため、主なユーザーだけでなく全ステークホルダーへの影響を考えてサービスをデザインする必要があります。

似たようなサービスにUber Eatsがありますが、多くの人たちにとって便利なサービスである一方で、”Cheap Labor”を生んでいるという問題も孕んでいます。少なくともコスタリカでは、一回の配達で得られる給料は3ドル程度で非常に限られており、Uber Eatsの配達員として働いている人は貧困を余儀なくされている傾向にあります。確かに雇用を確保しているという点では素晴らしいのかもしれませんが、多くの安い労働力を前提としたサービスに思えてなりません。(Uber Eatsのサービスモデルを否定しているわけではありません)

何が良いサービスなのかを白黒で決めることはできませんが、サービスをデザインするには、より多くのステークホルダーを視野に入れて多くの人にとってメリットがあるようにデザインすることが重要だと思いました。

2. Persona

多くのステークホルダーを考える必要はあっても、ビジネスモデル・サービスモデルを成立させる上で、メインユーザーは絞っておく必要があります。そこでペルソナを考える必要が出てくる、というわけです。プロジェクトでペルソナを作る理由は主に以下にあると考えています。

■ デザインリサーチ結果を取りまとめる
デザインリサーチでは単純な数字の情報ではなく、定性的な情報を取り扱うため、リサーチ後は多くの情報で溢れかえることが多く、インサイトを考える前にまずはリサーチ結果を誰もが見やすい形で取りまとめておく必要があります。その際にペルソナというフォーマットは良い媒体になるというわけです。

上記はサービスデザインの際のツールをまとめたウェブサイトで、ペルソナのフレームワークも存在したので、こちらに掲載しておきます。またペルソナには以下のような情報が最低限必要とされています。

・Behavior
・Objectives / Needs
・Motivations
・Pain Points

ペルソナはデザインの方向性を大きく左右するため、デザインの種と成り得る”Motivations”と”Pain Points”の二つの項目はしっかりと定義しておく必要があります。またペルソナは単純に1人のユーザーを表しているわけではなく、リサーチに基づいてグルーピングした結果であるため、複数のペルソナが出来上がることが通常です。

■ チーム・クライアントとユーザーイメージを共有する
リサーチをしたデザイナーはユーザーと多くの会話をしたので、何となくペルソナの像が見えているのかもしれませんが、第三者がそれを聞いた場合、全く意味がわからないこともしばしばです。「そんな人この世に存在するの?」「人はそれぞれ違うからこんなの作っても無意味では?」と思われてしまったら終わりなので、少なくとも先述した”Motivations”と”Pain Points”は明確にしておく必要があります。

またペルソナをわかりやすい一言で表現することも重要です。例えば、”Remote Worker”のように一般的な用語で表すのではなく、”Social Entrepreneur”のように”Remote Worker”の中でも何を目的としている人なのか一眼で分かるようにしておくことで、混乱を避けることができます。

3. Ecosystem Map

先述しましたが、サービスデザインではメインユーザーの他に多くのステークホルダーを考える必要があるため、エコシステムマップを作ることは有意義とされています。これはサービスを成立させる上で、どこの課題に着目しているのか、どの関係性を助長するのか、それぞれのステークホルダーがどのように関係しあっているのか理解するために必要であり、欠かせないものです。

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またエコシステムマップを作成することで、新たなサービスを導入した結果、見えない関係性や思わぬステークホルダーへの影響も考えることができます。この点については、実際のプロジェクトで発生した論点に即して後述します。

4. Customer Journey

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カスタマージャーニーはデザイナーであれば誰もが作成したことがありそうなアウトプットですが、今回のコースでも作成するように指示されていました。カスタマージャーニーマップは、ユーザーとインタビューをすれば誰でも描けるようなものだと考えていましたが、良し悪しを左右するのは、結局わかりやすく明確にユーザーの課題やニーズを描けているか否かだと感じました。インタビューした結果を全て描いていては第三者(クライアント)が見た時に、困惑するのは目に見えていますし、シンプルに描いた時にそれでもユーザーのストーリーが伝わってくるかが肝心だと思います。

5. Value Proposition

要するにサービスの提供価値のことですが、通常これを読めばどのサービスかを連想できる程度にシンプルになっている必要があります。

【例】
Airbnb exists to create a world where anyone can belong anywhere, providing healthy travel that is local, authentic, diverse, inclusive and sustainable.

いきなり提供価値を書き下すのは難しいので、以下のフォーマットからスタートすると分かりやすいです。

We help (x) do (y) by doing (z).

X: User Segment / Persona
Y: What your user segment trying to do or experience
Z: What your service does to help them achieve

Step1: Research Planning

ここから実際のプロジェクトのプロセスについて解説していきます。今回のテーマはコスタリカの観光産業にまつわるものになりました。

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馴染みがない国なので言われてもピンとこないかもしれませんが、コスタリカは中南米でよく知られている観光大国であり、人口300万人に対して500万人ほどの観光客を抱えています。観光の売りはエコツーリズムやバイオダイバーシティで、アメリカや欧州の諸国からの観光客が大半を占めています。現時点でGDPの8%程度が観光産業に依存しており、観光無くしては国民の多くが職を失ってしまうとされています。

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そんな中で発生したコロナウイルスの感染拡大で、コスタリカは現在大きなダメージを受けています。現在は制限付きで国境を解放しているものの、例年に比べて観光客は激減しており、個人経営のホテルやレストランを筆頭として閉業を余儀なくされている状況です。

今回のプロジェクトのテーマは、コロナウイルス収束後に新たに台頭する観光産業を考えるというもので、サステナブルな観光モデルを考えることが目的でした。

Reimagine tourism for the future: How might tourism become more resilient and life-centered while simultaneously expanding the economic growth of Costa Rica?

1-1: Initial Problem Statement
まずはコスタリカの観光産業を知る目的で10人のSMEにインタビューしました。CIIDの講師がSMEを集めたのですが、なかなかのメンバーでコスタリカ政府の観光局に勤めている人やホテルの経営者、旅行写真家、ウミガメ保全NGO等多岐に渡っており、様々な角度から直面している課題を知ることができました。

個別にインタビューする中で注目したのは、現在コスタリカ政府内でDigital Nomad(ノマドワーカー)を奨励する議論が発生しており、数年以内に何らかの政策を打ち出すということです。単純に観光客を呼んで消費してもらうのではなく、長期間居住してもらうことでより持続的なビジネスモデルを築くことが目的だと考えられます。

チームとしては、観光の定義を変え得ると判断し、この時点でプロジェクトのテーマを以下のように言い換えています。

How might we frame wellness and responsible travel in Costa Rica as a holistic service offering for transformative respite and remote work?

1-2: Research Planning

第一週の週末にフィールドリサーチする予定だったのですが、いく前にリサーチの計画をしました。

Research Focus
Our focus is on the growing corporate and individual wellness industry, its current shortfalls and the opportunities for transformative respite and remote work in Costa Rica. We want to connect with the tourism sub-sector that is catering to this niche and to find a single case study further exploration.

Research Goals
- To understand sustainable and responsible tourism in Costa Rica specifically
- To understand how Costa Rica caters to sustainable and responsible corporate respite and remote working
- To connect with the sub-sector that is catering to this niche, to explore this ecosystem and their connections to community
- To understand unique experiences Costa Rica and/ or specific business offer to this segment and how this ecosystem adds value
- To understand the term ‘digital nomadism’. To establish if there is a market for a more social and environmentally-minded segment.

Research Method
リサーチを行う場所は、サンタテレサ(Santa Teresa)と呼ばれるコスタリカで有名なビーチで、多くのノマドワーカーが居住するホステル・ホテルにしました。

またリサーチの形式は、以下の通りです。

In-depth Interview: ノマドワーカーのライフスタイル・モチベーション・課題を把握するために実施する60分程度のインタビュー

Intercept Interview: 大まかにと状況やコンテクストを把握するためにホテル・ホステルに滞在している人とランダムに話す10分程度のインタビュー

Self Immersion / Observation: ローカルのエコシステムを把握するために実施するフィールドリサーチ。主に写真撮影や地元民に話しかけることで状況を把握する

Step2: Research / Observation

2-1: In-depth Interview

今回は合計で9人のノマドワーカーとホテル・ホステルのオーナーや従業員にインタビューを実施しました。

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インタビューというよりは会話をしたイメージなのですが、会話する中で以下にポイントを置いていました。

■ ノマドワーカー
【インタビュー相手を知る】
・現在の仕事(ノマドワーク)のモチベーションは何か
・現在の仕事(ノマドワーク)で困っている事は何か
・一日の過ごし方(ライフスタイル)

【地元との関係性を探る】
・仕事をする中で地元民や地元のコミュニティと関わりはどの程度存在するか・一緒に仕事をしたことがあるか
・地元のビジネスについてどの程度知っているか・どの程度貢献したいと感じるか(モチベーションは何か)

【コスタリカの特異性を探る】
・サンタテレサを滞在先として選んだ理由は何か
・コスタリカのDigital Nomadismについてどんな印象を抱くか
・コスタリカのどんな側面が印象に残っているか

■ ローカルビジネス
【ビジネスの状況を知る】
・サンタテレサのDigital Nomadism
・どのようにマーケティング活動を行っているか
・どのように”Sense of Belonging”を確保しているか
・どのようなゲストが多いか
・最近困っている事は何か

【サステナブルビジネスの状況を知る】
・サンタテレサにどのようなサステナブル系NGOが存在するか
・自分でサステナビリティ系の取組をしたことがあるか
・ローカルビジネスとゲストを繋ぐ活動・傾向は存在するか

【地元のコミュニティを理解する】
・地元で有名なコミュニティは何か
・ゲストはどのように人間関係を構築していくか

2-2: Self Immersion / Observation
これは実際にサンタテレサを散策してみて、実際にどんなコミュニティが存在するのか、ショップやホテル同士の関係性はどのようなものか等、地元のダイナミクスを理解することが目的です。

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Step3: Synthesis

3-1: Insight

インサイトはリサーチした結果に基づいて、どんな傾向が見られるのか、アイディアの種となりそうなものを可視化したものです。インサイトはよく”What you know + What you observed”のような形で表現されますが、正しくその通りというわけです。

■ Local Business

サステナビリティビジネスとノマドワーカーの関係: ローカルビジネス(ホテル・レストラン・NGO等)は、地元のサステナビリティに関する課題を解決したいと考えている一方で、労働力不足やスキル不足に苦しんでいるようでした。今回調査したサンタテレサでは、ビーチということもあり水をきれいに保つことを心がけている人が多く、あるホステルではシャワーで使用した水をきれいにして海に返すことを考えていたようでしたが、何から着手して良いか分からずに結局ゲストへの注意喚起に留まっているようでした。ここにスキルのあるノマドワーカーを派遣すれば、ビジネスが生まれそうだなと考えました。

コミュニティとノマドワーカーからの貢献: サンタテレサでは、ホテルやホステルを中心として、小さなコミュニティが組成されており、生きるために必要な資源が安価で取引されていました。またそこにはノマドワーカーが多数おり、驚いたことに彼らの一部はほとんど無償でローカルビジネスに、ウェブサイト制作や映像制作などといった形で貢献をしているようでした。

■ Digital Nomad Persona

ノマドワーカーとは一言で言っても、そこには多くのタイプが存在しました。今回はリサーチ結果に基づき、3つのカテゴリに絞って話を進めていきます。

【Traveller/Backpackers】
タイやカンボジアなどの東南アジアにある。ホステルに滞在した人はご存知かもしれませんが、そこには多くのバックパッカーが存在します。彼らのライフスタイルの多くは、「他旅行者や文化との交流」や「Stay Chillの精神」に基づいており、気楽に楽しそうに暮らしている人が多いです。そんな人が多いからこそサンタテレサでは、コミュニティができやすいのだろうなと考えていましたが、Problem Statementから外れてしまいそうなので、今回は対象外としました。

【Professional Online Freelancer】
自分の専門やスキルを確立しており、既に自分のビジネスやクライアントを抱えているような”できる系”のノマドワーカーも存在します。バックパッカーが比較的若年層であることとは対照的に、このセグメントは20代の後半から40歳程度であることが多かったです。彼らのモチベーションは、「ビーチやジャングルのような自然と関われる美しい場所で働きたい」「自分が信じるビジネスやNGOに自分の力を捧げたい」という二つに分けることができました。ただ二つ目については、自分の時間を捧げたいと思うものの、自分のビジネスで忙しく週末のボランティアや募金のような形に留まってしまっているようでした。

【Social Entrepreneur】
このセグメントとの出会いが個人的には一番面白かったのですが、サステナビリティの取組やNGOと関わることで、自分のスキルや知見を広げたい、自分の取組の影響度を知りたいと考えている人も存在し、まさに社会企業家のような人たちもいました。ただ既に自分でビジネスを持っているというよりは、大学生や社会人2~3年目といった「自分の将来に向けて今様々な経験を積みたい」と考えている人が多かったです。

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■ Ecosystem Map

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高度なコミュニティ社会: 先述したとおりインタビューをするだけでなく、実際のサンタテレサの街を観察した結果、各ステークホルダーが相互に関係しあっており、互いの課題を補いあっているような傾向が見られました。先述したホテルやホステルを媒介したコミュニティだけでなく、その先には地域全体としての薄いコミュニティのようなものが存在していたようです。

3-2: Final Problem Statement

上記のインサイトに基づいて、Problem Statementを以下のように言い換えることにしました。

【旧】
How might we frame wellness and responsible travel in Costa Rica as a holistic service offering for transformative respite and remote work?

【新】
How might we create a platform (online/ offline) to connect professional online workers and social entrepreneurs with local businesses in Costa Rica to enhance business and community resilience?

リサーチ前は、”holistic service offering for transformative respite and remote work”が非常に曖昧だったのですが、リサーチ後は「ローカルビジネスとノマドワーカーを繋ぐ」ことと「Professional online workers and social entrepreneurs」にフォーカスすることで、より明確になっていると思います。またこのサービス導入後にローカルビジネスやサステナビリティが拡大することも目指しています。

Step4: Co-creation

今回はインサイトに基づいて導出した新たなProblem Statementに対して、自分たちだけでアイディエーションを行うのではなく、実際のユーザーになるノマドワーカーにもアイディエーションを行ってもらいました。

4-1: Co-creation Tool

1時間のセッションを3名のノマドワーカーと行ったのですが、その中では3つのツールを使いました。

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【Fake News】
「コスタリカがノマドワーカーの優待受入を始めました」という偽のニュースを知った時に、ノマドワーカーがどう感じるのかを確認するためのツールです。コスタリカという国そのものに対する印象やどの程度興味を抱くのか、それはなぜかということを深掘りするために利用します。セッションの趣旨を説明せずともこちらの意図をユーザーに理解させることができるので、セッションの序盤に使うと非常に有意義です。

【Sacrificial Concept】
予めこちらでいくつかのコンセプトを用意しておき、それに基づいてディスカッションすることで、コンセプトの良い点や悪い点、足りていない点を聞き出すことを目的とします。用意するコンセプトは完璧なものである必要はなく、6コマ程度のストーリーボードを用意しただけです。

【Journey Map Co-creation】
実際にコスタリカに来てローカルビジネスに自分が携わるとした時に、どんなプロセスを辿るのかをユーザーと一緒に描きます。使うメディアやチャネル、課題と感じる点が異なるので広範にユーザーを理解したい時に便利です。

4-2: Finding / Insight

【Customer Journey】

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簡略化していますが、要点をまとめたカスタマージャーニーマップがこちらです。今回のプロジェクトでは単純にプロダクトを作るだけではなく、サービス全体像を設計することを求められていたので、このカスタマージャーニーマップはビデオプロトタイピングする際に非常に重要になります。

【Insight】
多くのインサイトがありましたが、自分たちの考えていた「ローカルビジネスとノマドワーカーを繋ぐ」という構想は的を得ていそうでした。主なインサイトとしては…

1. 貢献したいが時間がない”Professional Online Worker”に対しては、募金などといった間接的な形でローカルビジネスへの貢献を可能とさせることが必要。またビジネスだけではなく、コスタリカ特有のライフスタイル(Stay Chill)を体験させることも重要

2. 自分のスキルや知見、可能性を広げたい若い”Social Entrepreneur”向けには、密接なローカルビジネスとの協働体験が欠かせない。また活動終了後には、どの程度そのローカルビジネスが向上したか確認することが可能な仕組みに需要がある

3. いきなりローカルビジネスやコミュニティに馴染むことは非常に難しいのでコスタリカやその地域の事情をよく知った人の先導が必要になる
⇨ リサーチの結果、コスタリカの観光にはツアーガイドが基本的に存在し、彼らが積極的に地域を案内していることから、はじめにノマドワーカーとツアーガイドのマッチングを行う”Local Buddy制度”を導入することになりました

Step5: Final Concept

5-1: Final Concept & Value Proposition

最終的に完成したコンセプトのValue Propositionはこちらです。

Intercambio: We connect skilled professionals working in a foreign country with local businesses that aim to make a difference.

今回重要としているステークホルダは、「ローカルビジネス」「ノマドワーカー」「ツアーガイド(Local Buddy)」の3者で、ノマドワーカーをメインユーザーとしながらも、3者にメリットがあるサービスを考えました。

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ノマドワーカーの視点: ローカルビジネスへの貢献を通して、ビジネススキル(サステナブルビジネス)を身に着けることが可能。またスキルだけではなく、自分の与えたインパクトを即座に把握することが可能

ローカルビジネスの視点: 新たな労働力やスキルを確保することで、留まっていた自分のビジネス運営を加速することが可能

ツアーガイドの視点: 雨季などのローシーズンに新たな収入源を確保することができると同時に、多くのビジネスやコミュニティと繋がることができる

5-2: Storyboarding

プロジェクトの最終段階として、作成したカスタマージャーニーに沿って、より詳細にノマドワーカーにどんなタッチポイント・メディアが必要かを議論しました。作り込むプロトタイピングもこの時点で決めました。

【Scene1: Onboarding】
ノマドワーカーはInstagramやLinkedinの広告を経由して、Intercambioというサービスの存在を知る。広告を経由してサービスのウェブサイト(ポータル)に入り、コスタリカで自分が実現したいことを入力する。最後に行きたいエリアと繋がりたいLocal Buddyを選択し、コスタリカに出発する

【Scene2: Travel & Greeting】
コスタリカの首都サンホセに到着すると同時に、Local Buddyと会う。Local Buddyはコスタリカの生活事情を案内するだけでなく、サンホセに居住している他のノマドワーカーとの交流も促す役目も持っており、新たなノマドワーカーが異国に来ても不安を感じさせないようになっている

【Scene3: Settle in Local】
サンホセを出発した後、ノマドワーカーは自分が希望していたエリアに赴き、生活基盤を整える。既にそのエリアのコミュニティやビジネスにはノマドワーカーがやってくる旨は周知されており、支障なくコミュニケーションすることができる。ノマドワーカーはコミュニティの会議に参加し、ローカルビジネスの課題やニーズを把握し、自身が関わりたいと思うローカルビジネスをこの時点で把握する

【Scene4: Community Engagement】
関わるローカルビジネスを決めた後は、1年程度ビジネスオーナーと協働する。この時ノマドワーカーが実施したことやそれによる変化はLocal Buddyや地元民に記録されている

またノマドワーカーが自分の都合で忙しくなってしまった場合は、働くという形ではなく募金という形でもローカルビジネスに貢献することが可能

【Scene5: Evaluating & Sharing】
最後にポータルにこれまでのノマドワーカーの貢献が記録され、どの程度ローカルビジネスが向上したか確認することができる。またそれをSNSにシェアすることで、他のノマドワーカーがコスタリカに来る動機づけをすることも可能。その後は自分の国に帰ることも可能だが、残りたければそのまま滞在を続けて、自分のビジネスを築くことやローカルビジネスに貢献し続けることもできる

5-3: Digital Prototyping

【Intercambio Portal: Onboarding】

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【Intercambio Portal: Onboarding & Donation】

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【Intercambio Portal: Evaluating & Sharing】

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Step6: Video Prototyping

6-1: Shooting & Editing

最終的に作成したコンセプトビデオはこちらです。サービスオーナー、ノマドワーカーのナレーションで始まり、最後はKey Stakeholderの声で締めくくっています。

6-2: Future Consideration

■ サービスモデルを検証する
今回ノマドワーカーについては多くのインサイトを得ることができたと思う一方で、Key Stakeholderであるローカルビジネスやツアーガイドについてはその課題やモチベーションを明確にしきれていないと考えています。サービスを成立させる上で最低限この3者は必要なので、Co-Creationなどを通じて課題やモチベーションを明確にしつつ、サービスコンセプトを強化する必要があると考えています。

■ ローカルビジネスを特定する
ローカルビジネスとノマドワーカーを繋ぐというコンセプトは面白いと思うのですが、コスタリカ特有のローカルビジネスを特定しない限り、このサービスをコスタリカで実施する意味はあまりないと思います。ただ自分が知るだけでもウミガメやマングローブ保全といったユニークなビジネスが存在するので可能性は確かに存在すると考えています。また具体的なビジネスを特定することでサービスの提供価値がより明確になるはずです。

■ 親子関係など「見えにくい関係性」を意識する
仮に25~26歳程度の日本のノマドワーカーがコスタリカに来てビジネスに携わったとして、その親はどう思うのでしょうか。これは自分の話ですが、自分の親は自分の将来を案じていることが多く、何度も電話をかけてくることが多いです。

このようにユーザーだけにフォーカスしてサービスを構築すると見えないところで悪影響を受けてしまう人が存在するので、エコシステムマップを精緻に作り出すことは重要だと思います。

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今回のコースでは、ビジネスモデルやIT構築などこれまで自分がやってきたようなことには触れていませんでしたが、デザイナーとビジネスマンが考えていることを同時に考えることができた良いコースだったと考えています。将来はサービスデザイナーもありなのではないか、と思い始めました。

町田

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