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美容室のサスティナブルは、ゲストに自分の髪質を愛させること。

美容室のサスティナブルは、ゲストが自分の髪を愛し続けられる提案をすること。持続可能な社会にするにはコンプレックスがない状態が一番好ましい。

SDGsの掲げる目標17あるうちの4つが具体的に取り組めるなぁと考えています。

12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう

ぼくは12が重要で、それができれば残りの3つは自然と改善していくと思っています。

ヘアスタイルをどうつくり、それをどうつかってもらえるかが大切です。


コンプレックス商品の弊害

髪の悩み。その人にずっとつきまとう解決しきらないもの。くせや白髪、薄毛、多毛など悩みが多いです。

これは昔から解決されず、毎年数えきれないほどの新商品が生まれます。その度に古いものは廃盤になったりセール品に。

解決されないからと新しいものを買うと自宅にある古いものは捨てられる。洗面所に使い切らないスタイリング剤がかさばっている人も多いのではないでしょうか。

当然、成分が変わったりより効果が高いものが出ているけれど、現場目線で悩みレベルが下がったとは感じにくいです。美容師になって17年、同じ悩みを聞き続けています。

コンプレックス商品は解決できないから売れ続けるのではないでしょうか。次こそは!と期待を持たせて。本当に自宅で何とかなるのならこれだけ新商品は生まれません。


悩みを生み出すもの

髪はサラサラがいい。白髪はあると美しく無い。くせよりストレートがきれい。それらのような髪の正解が決められているため、悩みが生み出されます。

そこに当てはまる人は悩みは少ないだろうけど、そうでない人は近づくために色々なものを使う。でも、正解が決まっていなければどうだろう。

髪は顔のパーツのように生まれ持ったもの。性格と同じく個性です。性格は変わらないから性格ですから、髪質も根本は変わりません。

だから、自分の髪質はいいと思ってもらえたらコンプレックス商品に手を出す回数はかなり減ると思う。だって困ってないわけだから。美容室のメニューも必要以上にしなくて良くなれば資源もエネルギーも削減できる。

誰かが作った正解を理想とせず、自分の持っているものでどう素敵になれるか。美容師はその中でどんなヘアデザインを作れるか。

その髪質で気にいる髪型になれば、悩みは長所に変わる。だってその髪質だからできるヘアスタイルなわけだから。


気分のいい髪型が与えるもの

髪質をいかしたデザインは再現性がとても高いです。毎日のセットが簡単になるからドライヤーの時間も減るしスタイリング剤も少量で済みます。

さらに髪型はその人をポジティブにします。気分良くいられれば誰かのために行動ができる。それがもっと環境に優しい生活をしようにつながるはず。

悩みが大きい時に周りのためにやれる余裕は無いと思う。正解が決まった世界において、当てはまらない人たちは常に肯定感を削がれている。その髪じゃいけないよと。

でも人の数だけ好みや考えがある。あの髪もいいけどこれもいいよねと幅を広げることが健全な人を増やすのではないかなぁ。

それを気づかせるのは作る側の美容師の仕事。節電や環境に優しい薬剤を使うなども大切だけど、悩みを長所に変えるデザインを提案することが第一だと思います。

でないと、持続可能な社会を作る前に個人が持続可能でいられません。

まず自分が健全で気持ちに余裕があり、誰かのために優しくできる余白があること。これがあって初めて目標に向かっていける気がします。

自分の髪を気に入り愛し続けられる人は、社会に対しても愛を持ち優しくいられるはずです。

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