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企画書・提案書作成のポイント

1.はじめに

これまで、企画系の仕事を7年近くやってきて、まだまだ修行中の身ですが、一旦自分の思考を整理するうえで企画書・提案書作成のポイントをまとめてみます。

企画書・提案書とひとくくりにしても、新規事業だったり、社内制度だったり、事業計画書だったり、助成金・補助金などの申請書、賞への応募申請、営業企画書、クラウドファウンディングなど、色々な種類がありますが、それぞれ共通する部分がある気がしています。

2.企画書・提案書の構成

企画書・提案書の構成で良く言われるのが、以下の要素です。用途に応じて順番や重要度は変わってきますが、だいたいこのあたりではないでしょうか。

①結論・概要
②背景・課題洗い出し
③企画提案の目的・企画のミッション・実施すべき理由
④現状分析(ここでは環境分析、競合分析、自社(自己)分析、など様々な分析フレームワークがありますね。)
⑤具体的な施策とその選定根拠・成功する理由
⑥効果の予測・KPI設定
⑦投資(回収)計画
⑧実施体制・組織体制
⑨スケジュール
⑩重大なリスクの整理

3.ポイント1 結論・概要の簡潔さ&わかりやすさ

よく言われていることですが、まず、ほとんどの企画書・提案書の冒頭に記載される結論・概要が、簡潔にわかりやすいことである、というのは基本と言えます。

言うのは簡単ですが、例えば聞く人が知らない単語や言い回しを使っているなど、よく注意しないとちゃんと伝えることに失敗する可能性があります。

4.ポイント2 課題の納得感・決済者との課題の重要性の共有

このポイント2と次のポイント3は非常に重要で、出来るならば本提案をする前に決済者とのすり合わせや決済者の意向の情報収集が出来るとベストです。ここがずれると企画が全く刺さらずズレたものになってしまいます。

まず、この企画提案が扱う課題が本当に重大な課題なのか、しっかりとした根拠と共に示す必要があります。そして、しっかりと決裁者にその課題が重要であると認識してもらう必要があります。

既に組織や決済者がまとめた資料で自ら重大な課題だと提示している部分を引用できれば一番簡単ですが、それ以外にもこの課題が組織・決裁者の目的の障害になる、というロジックなども考えられるかと思います。

もし、決済者が提示した課題を重要なものでない、思っていたら少し大変です。重要性を理解してもらうために、本提案前に様々な方法で働きかけるか、企画の方向性自体を見直す必要があります。

5.ポイント3 決済者・組織の目的と提案の目的の整合性

企画提案が決済者や組織の目的達成のために重要であり、企画実施と決裁者・組織の目的達成の整合性がとれていることは必須です。

決裁者・組織が何を目指しているのか(助成金等の場合は政策の目的や審査基準になります。)のリサーチや整理をしっかりと行った上で、企画提案の目的をそれに沿う形にすることが重要です。

6.ポイント4 現状分析の論理構成と根拠の信頼性

課題・目的からいきなり具体的施策に入ってしまう企画がたまにありますが、それだと聞いている人が、「なんでその方法を選んだの?」、「本当にその方法でいいの?」、と感じて納得できないまま提案を聞くことになってしまいます。

「現状が、目的とする姿に達しない原因」について、漏れなく説得力のある分析が必要です。

また、具体的施策を立案する上での制約条件や自社(自己)の優位性も整理が必要です。

その上で具体的施策を聞くと、「なるほど」と思ってもらいやすくなります。

7.ポイント5 具体的施策のわかりやすさ・効果及び実行可能性の信頼性

具体的施策を説明する段階になると、専門用語などが多くなってくる場合がありますが、提案を聞く人がその用語がわかっていないと「結局何するかよくわからない」という事態に陥ります。

この具体的施策を説明する際には相手がどこまで前提条件を知っているのか、留意しながら単語の選択や補足説明を入れます。

また、この施策が効果を生み出し、実行可能であると信頼できる根拠を提示する必要があります。そのためには他の類似事例や調査結果等のデータを多方面から集めることが大事です。

企画の種類によっては、効果の検証方法も盛り込むことが必要な場合があります。

8.ポイント6 投資計画・回収計画の信頼性

施策を実施するために必要な経費の見積もりが本当に適正か、投資回収が信頼できる計画なのか、は企画提案の実行可能性に大きく影響します。

経費の見積もりは必要な項目を積み上げていき算出する方法と、過去の実績から見積単価を弾く方法の2つの方法を比較しながら、どの金額が適正なのかを検討することがよいのではないかと思います。

投資回収をするような企画でなければ不要ですが、事業計画等投資回収をする企画の場合、どのように回収するのかの計画が必要です。ただ単に、売上が伸びて回収するではなく、売上が伸びるロジックや根拠をKPIと絡めて説明できることが大事です。

9.ポイント7 信頼性のある実施体制・組織体制

企画を実施するのは人です。企画だけでは何も起きません。

この提案内容を実現できる人がいるか、その人が本企画で力を発揮できる体制を調整できているか、単発で終わってしまわないように組織的な取り組みに落とし込む調整ができているか、についてクリアできている必要があります。

10.ポイント8 実行可能なスケジュール

企画内容を実行するための現実的なスケジュールとして計画できているか、は重要です。

これも投資計画と似ていますが、過去の実績や必要な作業の積み上げで検討していく必要があります。

11.ポイント9 管理可能な範囲でのリスク・見落としの無いリスクの網羅

どんな企画にもリスクはあります。一番まずいのは重大なリスクを見落とすことです。あらかじめリスクがわかっていれば、それが重大なリスクであっても企画の実施を小規模化して様子をみる、などリスク回避するための選択肢がでてきます。

決裁者に対し、しっかりとリスクを把握してもらうことが大事です。

12.ポイント10 決裁者以外のキーパーソンの見解

これは企画書・提案書の中身とは外れますが、組織の中には提案の関連分野のキーパーソンがいる場合が多々あります。

決裁者の信頼を得ている人であったり、決裁者が慎重に対応する必要があると考えている人など、キーパーソンである理由は様々ですが、事前にキーパーソンに対し提案について根回しをして了承を得ておかないと、決済者が判断できない、ということが結構あります。

提案前にキーパーソンへの根回しをしておくことは重要です。

13.ポイント11 深さと広さ・粘り強くあっさりと

企画が一発で通ることはまれで、多くは差し戻されたり、追加で調査が必要になったりします。

企画で大事なのは差し戻されても何回も深堀してチャレンジする粘り強さだと思います。しかし、一方で同じ企画に固執しすぎるのも良くないと感じています。時にはあっさりと方針転換する視野の広さも必要です。矛盾することを書いていますが、この2つのバランスが大事だと思います。

14.さいごに

以上、企画書・提案書作成のポイントをまとめてみました。さらに経験を積み、より良い企画書・提案書作成ができるように精進したいと思います。

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