スポーツデザインの教科書

【スポンサー営業担当必読?】スポーツデザインの教科書

1.はじめに

昨日書いた記事「【地方にチャンス有】スポーツ産業拡大にとって超重要事項であるSDGsと社会的インパクト投資」に関連して、コーポレートファイナンスや、企業のCSRについて調べていたら、スポーツデザインの教科書と呼べる本を発見したのでご紹介します。

2.スポーツデザインとは

スポーツが誰かに使われるようにデザインすることを「スポーツデザイン」と私が勝手に名付けております。

詳しくはこちらの記事を参照ください。

「スポーツの使われ方」を学びあう"スポーツデザイン研究会"作ります。

3.原著は15年前に出版された本

スポーツデザインの教科書と言える本、それはマーケティングの権威であるフィリップ・コトラーの本です。

『社会的責任のマーケティング ―「事業の成功」と「CSR」を両立する―』(著者:フィリップ・コトラー、ナンシー・リー 監訳:恩藏直人 出版:東洋経済新報社 2007年)

原題は"Corporate Social Responsibility: Doing the Most Good for Your Company and Your Cause"(2004年)です。

この本は企業のCSR活動の意義や事例分析がメインとなっています。

ですので、一見「スポーツデザインの教科書」には見えないのですが、最後の第10章だけで「スポーツデザインの教科書」ともいえる内容と感じました。

4.スポーツデザインの教科書と言える第10章

本書の第10章のタイトルは

「企業から資金援助や支援を獲得するための10の提案 ―マーケティング・アプローチを用いる―」

となっており、これまでの企業からの視点で書かれていたものから変わり、社会貢献活動を行う団体からの視点から如何にしてスポンサーを獲得するか、が書かれています。

詳細は本書を読んで頂きたいですが、10の提案のタイトルはそれぞれ以下となっています。

提案①
現在、あなたの属している機関が支援を受けている社会的課題の中で、追加資金を得ることでメリットが期待できるものを、具体的にリストアップしてみよう。

提案②
特定された社会的課題と関連がありそうな企業のリストをつくろう。たとえば、企業のミッション、製品やサービス、顧客、従業員の情熱、事業拠点とする地域、過去に実施した一連の寄付などについてのリストである。

提案③
企業の直接アプローチするか、さもなければ企業のコミュニケーション代理店にアプローチしよう。そうすれば、社会的取り組みへの支援に関係する興味やこれまでの実績について理解を深められる。

提案④
相手先企業のビジネス・ニーズに耳を傾けよう。

提案⑤
あなたの属している機関がサポートしている社会的課題について、現在検討中もしくはすでに従事している取り組みについて、さらに自分たちの強みや保有する資源について、先方企業と情報を共有しよう。そして、先方に対して最もアピールできる取り組みを見つけだすのである。

提案⑥
あなたの属している機関が取り組む社会的課題に最も関心を示している企業に向けて、提案書を作成し、提出しよう。支援を必要としているいくつかの追加的取り組みの中で、相手企業の事業やマーケティング・ニーズと最も一致するものを示すのである。

提案⑦
ともに計画を策定し、ともに実施しよう。

提案⑧
できるかぎり多くの細かな管理業務を担当すると申し出よう。

提案⑨
成果の測定やレポート作成の支援をしよう。

提案⑩
企業が好む方法で、企業貢献に対する認知を高めよう。

これらの提案④~⑦が特にそうなのですが、スポーツデザインの肝と言える部分が言語化されています。

企業が求めている形に自分達の取組をアレンジして提案をデザインする。

これをスポーツに当てはめたプロセスが正にスポーツデザインだと考えています。

また、この考えは企業を対象とするものだけでなく、行政・公共機関、地域などに対しても有効だと思います。

プロスポーツのスポンサーセールス・社会貢献活動はもちろんですが、地域スポーツクラブや教育系スポーツビジネスにも当てはまると思います。

要するにスポーツに関わっている人は皆一度は読んだ方が良いのではないか、と感じました。

5.第9章までも勉強になる

第10章のことを書きましたが、第9章までも企業がどのようにCSRに取り組み、何を考えるべきなのかがまとめてありますので、スポーツ関係者も企業を相手にする際にとても参考になると思います。

ですので、この本を「スポーツデザインの教科書」と定義できると感じました。

6.スポーツデザイン研究会の紹介

スポーツデザインの事例を共有し合う場を「スポーツデザイン研究会」というFacebookグループで作っておりますので、ご興味ある方は是非ご覧になり、趣旨に賛同いただける方は参加して頂けると嬉しいです!

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