見出し画像

頑張れニッポン!

金メダルをかじって周りをドン引きさせた河村市長が、メダルを噛んだ理由を「金メダルに対して憧れがあったから」と言っておりましたが、他の愛知県人は金メダルに憧れがあるからって決して噛んだりしない事を県民代表してお伝えさせていただきます。

こんにちは、コッシーです。


さて、開幕前にいろいろとすったもんだありましたオリンピックですが、いざ開幕してみるとやっぱり面白いですね。

元々スポーツ全般好きなのでこういう国同士の真剣勝負というのは観ているこちらも手に汗握るわけで、純粋に楽しいなと思えます。

うちの入居者たちの中にもオリンピックの話題をされてる方が多く、普段は食事が終わるとそそくさと居室に戻る方も残ってオリンピック談議に参加したりしています。

今は昔と比べると新しい競技が増えて、入居者の多くはルールなどが全く分からない種目もあると思いますが、それでも自分たちの孫やひ孫世代の若者が必死で闘っている姿や、勝ったり負けたりして涙を流している姿に心を打たれて感動している様子で、感情の起伏があるのはとても良い事だなぁと思っています。


入居者が嬉しそうに話をしているとやっぱり僕ら支援者も嬉しくなるわけで、山のように溜まっている仕事をそっちのけで入居者達とオリンピック談議に花を咲かせたりしています。#だから休日が無くなるんだぞ

ただ前述したように入居者達は新しい競技を覚えたり、昔の競技でも忘れたりしてしまうため固有名詞がなかなか出て来ない場合があります。

「あれあれ!あの板みたいなのに乗って滑るヤツ!」とか「プロレス?じゃないな…あの組んで投げたりする競技」などなんとなく雰囲気を伝えてくれるため、「スケートボードだね」「レスリングだね」と言ったように助け船を出す事もあります。

しかし入居者の中でとてもしっかりした方がおりまして、僕らよりも先に競技名や選手名などを答える事が出来る方がおります。

これまで何度か僕の過去記事に登場した事があるUさんという男性の方です。Uさんは新聞の俳句コンテストで優勝するほどの実力で、要介護者とは思えないほどしっかりした方です。

周囲に対しても非常に礼儀正しく接する方で正に『老紳士』という言葉がとても似合う素晴らしい方です。

そんなUさんもオリンピックには興味があるみたいで毎日夜遅くまでテレビを観てながら応援しているようでした。

博学のUさんらしく、競技のことや選手のことをしっかりと調べており、僕らにもいろんな情報を教えてくれたりしていました。


先日も食後にみんなで残ってオリンピックの話をしていました。僕とUさんを含めて5人ほどでテーブルを囲んで談笑していました。

例のごとく、ある入居者が競技の名前がなかなか出て来ず四苦八苦していました。

「えーと、あれよあれ。こないだメダル取った、マラソンじゃなくて長い距離を歩くみたいに進むあれよ。ここまで出かかってるのに!」

自分の喉元を指しながらもどかしそうに話していましたが、おそらく競歩のことを言っているとすぐにピンときました。

ただ思い出せそうだし、僕が言わなくてもきっとUさんが的確に答えてくれるだろうと信じて僕からは何も言いませんでした。

すると、その入居者が「思い出した!」と晴れた顔して得意気に言いました。

「キュホウよ!キョホウ!すごかったわね!二人もメダル取って!!」

惜しい、非常に惜しい。

もう一文字入れ替わっていれば正解でした。残念ながら答えは『巨峰(キョホウ)』ではありません。

少し興奮気味に話す入居者に対して、優しくUさんが指摘してくれます。

「惜しいですね。でも残念ながら『キョホウ』は果物ですからね。そんなに美味しい競技じゃありません」

決して入居者を傷つけずユーモアも交えて指摘できるUさんは本当に紳士です。しかしその後のUさんの発言に僕は自分の耳を疑いました。


「その競技は『キョニュウ』ですね」


一瞬、僕の耳がおかしくなったのかと思いました。でもUさんは確かに競歩ではなく巨乳と言いました。しかし僕の聞き間違いかもしれません。あの老紳士のUさんがまさか巨乳なんてパワーワードを言うはずがありません。

もう1人いたスタッフに目配せしました。するとスタッフの目が(今、巨乳って言いましたよね)と語っておりました。


…間違いない、Uさん巨乳って言っちゃったよ…


これは由々しき事態です。あの紳士で礼儀正しいUさんが巨乳と発言してしまったのですから。仮に間違いを指摘されてしまったとしたら、恥ずかしい事この上ない仕打ちだと思います。

しかし、もしかすると気付いたのは僕らスタッフだけかもしれません。このままスルーすればこの発言は無かった事に出来るかもしれません。

スタッフにアイコンタクトで(指摘しちゃダメだ)と伝えました。スタッフは僕の意図を汲み取り首を小さく縦に振ります。


「そう!競歩ですよね!!競歩はかなり長い距離を進むので大変ですよね!競歩は!!」


僕が必要以上に競歩を主張したせいか、その入居者は特に疑問を持つことはありませんでした。

ホッと胸をなでおろしましたが、でも僕とスタッフは気付いていました。


Uさんの耳が真っ赤になっていたのを。


その後Uさんは会話も少なくなり、そそくさとお部屋へ戻られました。

大丈夫です、Uさん。僕も小学生の時に『巨峰』を『巨乳』と言い間違えて恥をかいた事があります。決してUさんだけではありません。#あるあるだと言って欲しい


そんな巨乳好きの僕やUさん、そして多くの入居者が毎日オリンピックの日本代表を応援しています。

国民の希望や期待、そして選手皆さん自身の夢が叶うことを祈っています。

頑張れニッポン!!!


それではまた。

コッシー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?