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一つずつ

ふるやのもりさんから飼っているダンゴムシの名前をつけて良いと言われたので、お言葉に甘えて命名させていただきたいと思います。

愛知県で有名な団子から拝借して【みたらし】、もしくは肉団子からイメージした【ミート君】なんてどうでしょうか。

どちらも食べ物なのは決して僕が食いしん坊だからではありません。

こんにちは、コッシーです。


さて、先日書いたこの記事に対して皆さんから本当に貴重なご意見をいただきました。

詳しくは記事を読んでいただきたいのですが、簡潔に説明しますと降格人事を言い渡した先輩(Yさん)から「パワハラだ!」と言われてめちゃくちゃ腹が立ったけど、今までお世話になったし僕がなんとかしなくちゃいけないかなと思ったっていうお話です。#簡潔過ぎる

皆さまからいただいたコメントを拝見すると、僕が過剰に手助けするよりもYさんに自分自身で立ち直らせる方が良いのでは?というご意見でした。#間違ってたらごめんね

客観的に考えると本当に皆さんのおっしゃる通りで、僕らは友達でもありませんし会社は学校ではありません。社員一人ひとりが自分の職務を全うするために自分が努力しないといけません。

僕が何でもかんでも手助けしていたらそれこそYさんは立ち直れなくなってしまうかもしれません。

この記事を書いた時、おそらく仲が良かった先輩から責められたことが相当ショックで少し冷静さを欠いていたんだと思います。そんな事にも気付けていませんでした。

こういう時に当たり障りのない意見じゃなくて、しっかりと指摘してくれるノー友の皆さんは本当に最高です。いつもありがとうございます。#福祉四天王万歳


というわけで少し考えを改めまして、僕が頑張ってYさんを復活させるのではなく、やっぱりYさん自身に頑張ってもらう方向で考えていきたいと思います。

いくら僕が頑張ってYさんを引っ張っていってもYさん自身にその気がないのならのれんに腕押し、馬の耳に念仏、猫に小判、犬も歩けば棒に当たるです。#最後のは違う

もしYさんにこの会社で今後頑張っていく覚悟や気持ちがないのなら、辞めるのも仕方ないのかもしれません。やる気なくダラダラと続けていくのはうちの会社にとってもYさんにとっても良い事ではない気がします。

とりあえずYさんが今どう思っているのか、この先頑張りたい気持ちがあるのかを確認しました。


「もちろん、頑張って仕事をしたい気持ちはあるよ。でもまた精神的に不安定になってまた会社を休むことになったら申し訳なくて…」


いや責任者外れたのに役職手当を下げられることに駄々をこねる方がよっぽど迷惑をかけてるぞという言葉が喉から出かかりましたが、そこはグッと堪えました。

復帰後Yさんはデイサービスから入居施設に異動になりました。今は環境が変わったばかりで不安が大きく強い気持ちを持てないのかもしれません。

こういう時は先々の事を深く考えるよりも新しい環境に慣れる事が大切かもしれません。

「あんまり先の事を考えすぎても何も行動できなくなっちゃうので、とりあえず目の前の仕事を頑張っていきましょう。一つずつ丁寧に仕事をこなして環境に慣れてくると自信も持てるかもしれませんよ。」


そうYさんに伝えると、幾分か明るい表情になり「自分なりに頑張ってみるよ」と前向きな言葉を聞けました。

きっとYさんも慌ただしく変化する環境の中で自分がどうすれば良いのか分からなくなっていたのでしょう。

”目の前の仕事を一つずつ”

僕のこの言葉に靄がかかっていた視界が開けたのかもしれません。


「異動したばかりですから、まずは入居者さんに覚えてもらうことが大事かもしれませんね。」

「そうだね。とりあえず利用者と積極的に関わっていくよ。利用者とコミュニケーションを取るのは俺の得意分野だしね」

Yさんはそう言って得意そうに笑いました。


それからYさんは自分の言った言葉通り入居者と積極的に関わっていきました。もともとうちの入居者は心優しい人達ばかりです。新人のYさんを拒絶することなく温かく迎え入れてくれました。

しかし、入居者の中には気難しい方もいます。入居者のⅠさんは認知症の方で機嫌の波が本当に激しい人です。ご機嫌がすこぶる悪い時はこちらが何を言っても「もういい!」と聞く耳を全く持ちません。

そんな時はしばらくそっとしておいて気持ちが落ち着いた頃声掛けをするようにしています。


ある日の夕食時、Ⅰさんのご機嫌がめちゃくちゃ悪い日がありました。食事にも手をつけずにプリプリと怒っています。僕らの声掛けにも例のごとく「もういい!うるさい!」と耳を貸してくれません。

僕らは落ち着くまでしばらくそっとしておくつもりでしたが、得意気な顔をしたYさんが「俺が言ってこうようか?」と言いました。

過去にデイサービスの利用者で気性が荒い方やこちらの言う事を聞いてくれない方たちと渡り合ってきたらしく、こういう人の対応に自信があると言います。

「俺に任せてくれないか」と自信たっぷりに目をキラキラと輝かせて言うYさんでしたが、悪い予感しかしません。


「僕らも過去にⅠさんに対していろいろ対応してきましたが、Ⅰさんがああなったらそっとしておくのが1番だと思いますよ」

「いや!俺は今まで何人もそういう人に受け入れてもらってきたから大丈夫だと思う!頼む!俺にやらせてくれ」


Ⅰさんに怒鳴られて謝っているYさんの姿しか思い描けませんが、あまりのYさんの熱意に根負けしてⅠさんの対応をYさんに任せてみました。

Yさんは軽快な足取りでⅠさんの元に向かうと明るい声で声を掛けました。


「Ⅰさんどうした?ご飯食べないの?」

「もういい!」

「温かいうちに食べないとまずなっちゃうよ!食べようよ!」

「もういいって!うるさい!」


あんなに自信たっぷりに言うもんだから何か秘策があるかと思いきや普通に声をかけており、いよいよ想定内の未来が近づいているように思えます。


「そんな事言わないでさ!ご飯食べよ!さぁ!さぁ!」


Ⅰさんにどれだけ邪険扱われてもYさんはめげずに声をかけ続けます。これはもしかしたら奇跡が起きるかもしれない、Yさんの粘りが奇跡を起こすかもしれないと期待したその時でした。


「うるさいって言ってるでしょ!!!」

Ⅰさんは怒鳴り声と一緒にみそ汁をYさんにぶっかけました!

「う、うわぁ!(゚Д゚;)」

Yさんの情けない声が食堂に響き渡り、Yさんの挑戦はみそ汁に染まったシャツと共に儚く散ったのでした。


いくら入居者とのコミュニケーションが得意だと言ってもやはり信頼関係は一つずつ築いていくのだと、Yさんが身をもって教えてくれました。

これに懲りずYさんが一つずつ頑張ってくれることを期待しています。


現場からは以上です。それではまた。

コッシー

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