三十路インタビュー Elke: フェミニスト団体のおばちゃま

ハレにフェミニズムの市民団体ってあるの?と聞かれて、いつか散歩中に出くわしたフェミニズム団体の存在を思い出した。
 
今回はそんな散歩の縁がもたらした気まぐれ飛び込み取材を。その団体の扉をたたくと鋭い目線を持つおばちゃまが対応してくれインタビューをさせてくれるか尋ねれば二つ返事で了承してくれる。
 
こういった社会的な職業に就いている人は何より受け入れパワーヒロシ。
 
ということで今回はインタビューを受けてくれたのはElke Prinzさん、このフェミニズム団体 Dorn Rosa (Dornはドイツ語でとげ、そしてRosaは薔薇つまり薔薇のとげ) のボスで年齢不詳ハレ出身のおばちゃまです。


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{フェミニズム(英: feminism)とは、性差別を廃止し、抑圧されていた女性の権利を拡張しようとする思想・運動、性差別に反対し女性の解放を主張する思想・運動などの総称。男女同権運動との関わりが深い。リベラル・フェミニズムやラディカル・フェミニズムなど、フェミニズムの思想は多様であり、一本の思想と考えることはできない。対置概念はマスキュリズム。フェミニズムを主張する人のことをフェミニストと呼ぶ。フェミニズムの起源は18世紀のフランスに遡る。



《簡単な自己紹介をお願いします。 》
Elka Prinzです。ここでは9年前から働いていて今は Dorn Rosaというフェミニズム団体の会長をしている。
 
 

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《どんな経歴を? 》
最初は大学で医学を学んでたんだけど色々考えてやめたて、その後はもう一度大学でエンジニアエコノミーを学んだ。卒業後は東ドイツ時代にあった小さな財閥で、物資を管理したり、チームの指導者として働いていたわ。指導者としての仕事は当時も今も"男"の仕事ね。その後、ドイツ統一があって、私が学んだものは大学卒として認められなくなったの。その後はいろいろな仕事したわ。(後にネットで彼女のことを少し調べたらジャーナリスト、小説家、詩人などの顔も)
 
 
 
《あなたの仕事は何ですか? 》
ここの図書館の整理とワークショップや企画をオーガナイズドすることよ。
私たち主導で毎週定期的に合唱や編み物のワークショップがあって、一ヶ月ごとにこの建物の一室の展示のテーマを変えたりするのよ。
 
 
 
《この仕事のモチベーションは? 》
まずは私が女性だと言うことね。そしてドイツで男性と女性の稼ぎに大きな差が今でもあり、一人親に関しては80パーセント以上が女性なの。そういうことも含めて性別における女性の不利という現実と戦うことね。男女の差については小さい頃からずっと不思議に思っていたの。
 


《このDorn Rosaという団体について教えてください。 》
先ほど話した通りで、様々なワークショップを開いたり勉強会などを開いたりしているわ。 私たちの中心テーマは女性の権利や不利についての差別をなくすことが目標ね。
なぜ女の子はピンクの人形で男の子は青い車をもらうの?という疑問から私たちのテーマは始まるわ。
このDorn Rosa自体は1990年からあって、当時はスコッター
で、ハレの中で引っ越しを重ねて2007年から今の場所にいるわ。 この団体の名前 Dorn Rosaの名前の由来は、バラは女性や美の象徴でそのトゲは刺したり切ったり、攻撃的ではないけど刺さったり引っ掻いたりして傷跡を残すのよ。。。って実は私もその由来は知らないのだけど勝手にそうやって思ってるわ笑

スコッター→誰も住んでいない家のかり暮らし、、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BC

最近した活動では、2月14日にハレの街の市場でみんなで女性の権利平等のために踊ったわ。この企画は "onebillionrising" というもので、世界中と繋がって女性問題に取り組んでいこうというもの。
あとは女性向けにメディアリテラシーつまり情報の知識向上のためのワークショップもやっているわ。インターネットで何が危険なのかなど初歩的なことから、どうやってネットを使うのかyoutubeにアップできるのかなどね、今はIT業界では男性が中心になっていることもあるけど、女性の方が男性よりも上手にネットを使いこなせるかもしれないしね。このワークショップは女性と言っても対象12歳からよ。

 

《世の中のほかの問題に関してはどう見てますか? 》
様々な問題がある社会に対して、一番良くないのはテレビの前で悲しくなって私には何もできないと嘆いてること。それでは何も始まらないからね。だからなんでも始めてみることが重要だと思ってる。今はインターネットでも様々な情報も得られるし、他の成功例や取り組み例を見つけることができる。もしうまくいかないならなぜ自分たちの活動はうまくいくかないのか、どうしたらうまくいくのかを探すのよ。
そのためには自分が自分のテーマに取り組むのと同時に他のテーマを一生懸命やっている人をサポートすることね。そうすればお互いに助け合えるから。そういう意味でも様々な人と一緒に働きかけることじゃないかな。
一人の人が全ての問題を扱うことはできないし私はしないわ。私自身、戦争や原発の問題にも興味はあるけど私ができることはここでする。それと同時に私もその他の運動も応援しているという意を表すことを忘れてはいけないと思っているわ。
誰かが女性問題についての情報が欲しいなら、その為に私たちDorn Rosaはプラットフォームとして存在している。そこから情報を与えたり助言もできるし、誰かを紹介したりもできる。それがお互いを助け合うということ。繰り返しになるけど、できることをする、そしてそれぞれが活動を続けることが大事ね。
 
 
 

《周りの人との協働作業のポイント》
そうね、そのためにはたくさん話さなければならないわ。多くの問題解決は全て話すことによって始まるの。話すことで相手も自分と同じ方向に向くので、それをとおして自分の意見と向き合い見つめ直して、そのことを話し続ければきっと答えは見つかるわ。このプロセスは時間かかるから意識的に時間を取ることは大事ね。
ここではそういう意味での話す場を提供していて、そのためにもワークショップや企画があるわ。男性が来るものもあるし、女性のみが来るのもある。 対話のためにも私たちはハレでもドイツ中でも様々なネットワークを持っていてそれで情報を交換(対話)しているの。そして市議会にも自分たちの代表や話を聞いてくれる人がいる。それによって法律や条例をも変えることが出来る。だから政治に関わることと政治家と一緒に働くことは当然ね。 (ここの予算は緑の党や左翼党その財団の補助を中心に市や国、個人からの補助とワークショップの参加費やら賄っている)
 
 
《避難民に対してもアクションを? 》
女性の避難民のみの建物がすぐ私たちの前にあるの。で時々一緒に話したりする。しかし私たちは女性にのみというイベントはほぼしていなけど、避難民へのサポートやイベントは一緒に企画しているわ。
あとイスラム社会の女性についてね。確かに私たちの立場から見ればかなり問題ね。しかしそれを伝統と言い切るのは違うと思う。ドイツやヨーロッパでも1920年まで女性がズボンをはいてはいけなかったのよ。女性がズボンを履くこと自体が犯罪だったのよ。笑
私たちは一年に一度、様々な宗教の人と情報交換会をしているの。キリスト教のカトリックやプロテスタントはじめとしイスラム教者やユダヤ教の人など。なので少しイスラム教については知っているけど、イスラム教というのはひとくくりに言えないわね。そこにはいろんな歴史が混ざっている。
そして歴史を紐解けばイスラム教圏は進んだ技術を持っていて、その後にヨーロッパの植民地政策の影響があったりし、さらに今のアメリカなどの近代的植民地政策の影響を受けているのね。そういう意味でもこれから彼女たちやその社会も変わっていくと思ってるわ。サウジアラビアでも少しずつ女性が声を上げ始めて権利をつかみ始めているわ。
私は今、時代が変わり始めてると思ってる。現代の女性は海外で勉強することも簡単に出来るし、若者は自分が本当に本当にしたいものをインターネットで探せば見つけることも出来る。それは近代のコミュニケーションツールがもたらしてきたものね。それを通して助けもらえるかもしれないし、自分がなりたい人物モデルも見つけることが出来る。
 
 
 
《ドイツでは女性の権利はいつも良くなっていると思いますか? 》
もちろん!法律に書かれていることなど表向きにも良くなっている。
ただ、書かれているだけのものもあるわね。だって、法律自体が男性社会によって作られたものだからね。その影響は計り知れないのよ。
 
 
 
《あなたの今の目標は? 》
世界を良くする、なんて簡単に言えないわね。笑
女性と男性の差別をなくすことは変わらない目標だけど、具体的には法律や条例でしっかり事細かに明記してもらうことかな。今の法律はやはり具体的ではないし、それは解釈で変わる。だからもっと議会にプレッシャーをかけるわ。 あとはここDorn Rosaへの補助金を増やしたいわ。それでより多くの人がここでイベントが出来るようにしたいわ。そのためにも今も補助金が出るように戦っているわ。補助金の額は低くなっているのが現状だからね。。。
 
 
 
《あなたにとって幸せとは? 》
・どこからきたのか、どの性別なのか、仲間はずれも関係なく全ての人へ同等の権利があること。

・愛すべき子供たちが安全なこと(こどもは自分の子供以外も含むそうです)



この三十路インタビューについて→https://note.mu/kosokosolife/n/n6d359d08e7e0

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