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ポロンと果実酒の話

4月18日 晴れ

本日のBGM The Natural Four

昨日焼いてたポロンが出来上がりました。
ワラジロ釉がきれいに溶けて、青みがかった白になっています。

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んがしかし!注ぎ口のところが釉薬で埋まっていやがる!
ちゃんと注意したのに!
これではこいつのレーゾンデートルが揺らいでしまう!

という時には、このまま洗いにくい花瓶としての道を歩ませるのも一興ですが、
口の部分をグラインダーで削って穴を通します。
陶芸家の隠れた必須アイテム グラインダー!
しかし私は前に金属用グラインダーで指がえぐれたことがあるので
とても苦手です!すげーうるさいし。


今回はゆっくり削れて、断面もきれいになる
80目の研磨ペーパーのグラインダーで口の発掘作業を行います。
ゆっくり削れる分粉塵も細かくなるのでメガネとマスクを。
工作員の気分を味わえますね。

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1cmほど削ると口が空きました。
1cmも流れ込んでるってことは完全に釉薬のかけ過ぎでしたね。
次回気をつけてね。
まあでもこのシャープな断面は引き締め効果になって
このやり方もありなんではないかしらん。
ガラスのやつも確かこんな感じで穴を通しますし。


ではポロンでワインを注いでみましょう。
ワインがなかったので去年か一昨年に作った
クワの実とヤマモモの果実酒を使います。
どっちも庚申窯になってる果物で、
ホワイトリカーにつけたものですね。
発酵させて作ったわけではありませんのでドントコールザポリース。

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これはカシスリキュールの瓶に
まだ少し中身が入ってたけど構わず果実酒を加えて
そのままずっと放置していたもので、
どんなもんかと思い飲んでみたら
それぞれしっかりなじんでて
多分美味しいと言える仕上がりになってました。
甘いからあんまり飲めないけど、色がいいよね。

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ポロンって本来は口に直接受けてヒャッホーイってなるものだけど、
グラスに注いでもちゃんと味が変わります。
変わるというか開放されたような感じで、
緊張してたけどポロンさんのおかげで体が軽くなりました さあこれが僕の本当の実力です 余すところなく堪能しやがってください そーれそれそれ、って感じですね。ワインが。

でもホントのところはどうなんでしょ。
空気に触れるから味わいがよくなるのか、
パフォーマンス的に高揚する部分もあるのか、
でもパフォーマンスで美味しくなるならそれは使わない手はないぞい。
てことでポロンは何人かで飲む時に楽しい器だと思います。
パーティーなんかで使われてみてはいかがでしょうか。

おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

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