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粘土作りとのぼり旗の話

4月22日 晴れ

本日のBGM 鈴木茂

さて今日は粘土づくり。
まあ今日はというか
春から秋にかけては
ほとんど毎日粘土は作っています。

庚申窯では粘土を手作りしてて、
今までは私が作っていて、
その前は祖父が作っていましたが、
今年から「自分の使う粘土は自分で作るべし」
という法案が私の強行採決により可決され、
父は父で、私は私で粘土を作っています。

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こちら↑は一旦水に溶かした粘土を
網目で濾してゴミを取り除いてるところです。
私がメインで使ってる粘土の一つで、
薄作り用にきめ細かくて、ちょっと黄色っぽい
白色に焼き上がる粘土です。

網目は80目で、祖父の時からの濾し網をそのまま使っています。
もっと細かい、150目の粘土なども作ったことがありますが、
滑らかさと、使い勝手や強度を鑑みて
今のところ80目に落ち着いています。
150はかなり滑らかで手触りいいんですけど、
乾かすときにめちゃ割れるんですよね。
粘土の質かしら。
それに合う粘土が手に入ったら
作るかもしれませんね。

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網目を通した粘土は滑らかになって、
タルの中に沈んだドロドロの部分を
すくい上げて、布にあげて水抜きします。
布にあげた状態で1~2週間ほど置いとくと
こんな感じ↓で水が抜けて
粘土っぽくなります。

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これ↑に使う布は化学繊維の方が良くて、
綿とかでできたオーガニックなやつだと
長時間水と泥にさらされるので
微生物やカビに分解されて
すぐに破れてしまいます。
ちなみにこの布たち、元は
「陶器まつり」とか「窯開き」
とか書かれた のぼり旗で、
旗としての機能を果たせなくなった
人たちを再雇用しています。
めちゃ丈夫。アイラブターポリン!


水が抜けた粘土は布でぐるっと巻いて
瓦の上でさらに水抜きします。
ここも1週間〜2週間くらいですかね。

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粘土作りはこの後ももう少し作業がありますが
今日の分はここまで。
粘土作りに時間がかかるのは
ほとんど乾き待ちですね。


庚申窯にはそれなりに原土があるので、
粘土を自分で作ると粘土代はタダになりますが、
そんなに高いもんでもないので、
粘土を業者から買って器を作ってる方が
たぶん安上がり、というか絶対そうで、
粘土作ってる時間でお皿作った方が
金銭的には効率が良いです。

まあでも粘土作り自体は好きな作業なので、
たぶん今後もこのスタイルでいくと思います。

なんで粘土作りが好きなのかと考えてみると、
粘土を作るという行為には
形を作るときみたいな迷いがなく、
昨日から今日に着実に進む成果があるからでしょうか。
そういう、やったことの実感が伴う行為というのは
精神的に充実するそうです。
物作りのバランスで考えると
粘土を作る方が効率がいいかもしれませんね。

おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

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