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私の物語

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「私の物語」より、今日の一句㉔

「私の物語」より、今日の一句㉔

こんにちは。この連載も、今日を含めて残り3日となりました。
なんだか名残惜しいです。

句集「妬心」を出版した頃で、さらに思い出したことがありました。
その書評を、辻井喬さんに、角川の「俳句」に書いていただきました。「飛ぶ前の吐息」というタイトルだったと思います。

辻井喬/堤清二さんとは、週刊朝日の人間データバンクという4ページの人物インタビューで出会いました。当時、セゾングループのトップを引退

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「私の物語」より、今日の一句㉓

「私の物語」より、今日の一句㉓

こんにちは。
この投稿も、残り4日となりました。いまだに、バッジを獲得とか、マガジンの設定とか、よくわからないまま続けています。

さて、今日の一句

秋時雨返さぬままの男傘

句に合わせた左時枝さんの絵はバンクシアです。

一昨日の投稿で、処女句集「妬心」が出たあたりのことを書きました。書いていたら、いろいろ思い出したことがありました。
この句集は角川書店から出ています。当時の「俳句」の編集長は

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「私の物語」より、今日の一句㉒

「私の物語」より、今日の一句㉒

こんばんは。

今日、3月4日は、私の父の誕生日。去年まではお祝いすることができました。血圧が高かったので、直木賞作家・高橋治さんおすすめの千葉のいわしのごま漬けを送るのが習慣でした。お礼の留守電メッセージが、いまもスマホに残っています。

今年はもう送れません。
昨年4月13日、84歳で死去。おいしいものを食べるのが好きだったので、お正月に開高丼で知られる「こばせ」推薦のところから越前がにを送っ

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「私の物語」より、今日の一句㉑

「私の物語」より、今日の一句㉑

こんにちは、今日はひな祭り。「私の物語」も残り少なくなりました。

では、今日の一句から。

抱かれて畳に広がる夜寒かな

この句は私の処女句集「妬心」(角川書店刊)に入っています。「妬心」が出版された当初はそれほど反響はなかったのですが、その年の終わりの「俳句年鑑」の巻頭言に、草間時彦さんが今年印象に残った二人の句集として「妬心」を取り上げてくださいました。注目した句として、抱かれて・・の句をあ

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「私の物語」より、今日の一句⑳

「私の物語」より、今日の一句⑳

こんにちは。
昨日で、20日間連続投稿だそうで、ここまで続けられる人はめったにいませんよ! と、noteさんにほめていただきました。そうですか? バッジを獲得とか、ほめてくれるのはnoteさんだけのような気がしますが、私のひがみでせうか・・

さて、今日の一句です。

七五三遠目にパンを買ひにけり

クラインブルーに展示中の俳句です。この句は、大体の方が意味はわかるといわれます。わからないといわれ

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「私の物語」より、今日の一句⑲

「私の物語」より、今日の一句⑲

こんばんは。三月になりました。
三月の異名に夢見月というのがあったと思います。なんとなく三月に似つかわしいですね。
先週、クラインブルーの近くの、神保町のさくら通りを歩いていたら、早くも桜が咲いているのに気づきました。それも、この通りの入り口と出口に二本ずつ。計四本だけです。ソメイヨシノより濃い桃色で、花が下を向いて咲いていました。おかめ桜というのだそうです。なぜそのような名前なのかはわかりません

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「私の物語」より、今日の一句⑱

「私の物語」より、今日の一句⑱

おはようございます。いよいよ二月尽となりました。
クラインブルー展、行く予定だったけど、やはり見合わせる・・という連絡が私のところにも入っています。そんな中、「私の物語」のパートナー、女優の左時枝さんが来てくださいました。
まず、入口にずらっと?並んだ私の本にビックリされたよう。知り合ってから出版した本は献本していますが、それまでの本はご存じなかったんですね。
同様に、この前別のところで、小栗康平

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「私の物語」より、今日の一句⑯

「私の物語」より、今日の一句⑯

こんにちは、イベントの中止が相次いでいますね。クラインブルー展も、行く予定だったという人たちからキャンセルが出ています。そうかと思うと、当然中止と思っていたイベントが、開催しますといわれて慌てたり・・。わかりませんね。

さて、今日の一句

煙草消す男に帰心小夜時雨

煙草を吸う人は少なくなりましたが、この情景、心情は読み取れるのではないでしょうか。指先でワイシャツの袖口をそっとずらして時計を見る

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「私の物語」より、今日の一句⑮

「私の物語」より、今日の一句⑮

こんばんは、ニュースから目が離せない毎日になりましたね。
昨日、お昼に入った飲食店では、お客さんの数にさほど変化はないと聞きましたが、夜行ったお店ではさすがに出入りもまばらでした。

さて、今日の一句

短夜に触れられぬままの紅おとす

この句もわりと取り上げられた句ではないかと思います。小説などでそういう場面はあっても、俳句としてまだ詠まれていない題材だと、どこかで書いていただきました。

3月

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「私の物語」より、今日の一句⑭

「私の物語」より、今日の一句⑭

こんにちは、連休も終わり、今週で2月も終わりですね。
そういえば、

くちびるにくちびる残り二月尽

というわたしの句がありました。若い頃の句で、字余りに気づかず「くちびる残りて」として朝日俳壇に投稿しました。それでも金子兜太先生がとってくださいました。朝日俳壇初投稿は、すでにアップした、「私の物語」巻頭の、「春の雨どちらともなく時計はづす」で、加藤楸邨選。朝日俳壇は簡単なのかと思ったら、そうでも

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「私の物語」より、今日の一句⑬

「私の物語」より、今日の一句⑬

こんにちは、投稿14日目となりました。また、元のタイトルに戻してみました。いかがでしょうか?

さて、今日の一句

靴を履く背中見ている寒さかな

女優・左時枝さんとの句画帖「私の物語」の中で、いちばん好きという声が多かった句です。今開催中の俳句の展示の案内状にも印刷されています。案内状を受け取った方から、「切ない御句」という感想もいただきました。
読む人によって、いろんな情景が想像できるのでしょ

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11 引き止める術なく杏煮てをりぬ

11 引き止める術なく杏煮てをりぬ

こんばんは、谷口桂子です。
「私の物語」より、今日の一句、タイトルに入れてみました。どうでしょう? いまだに、私の投稿が読まれているのかどうかわかりません。

俳句の展示、前半の二週間が終了しました。先日、来ていただいた方から、白いいちごをいただきました。私は口にするのは初めて。味わうというより、鑑賞用のような美しさ。
以前、ギフト用に青いバラを探したことがありました。ある花屋さんで見つけましたが

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「私の物語」より、今日の一句⑨

「私の物語」より、今日の一句⑨

こんばんは、谷口桂子です。note投稿10日目です。よく続いていると、noteさんはほめてくれるのではないかと思います・笑い

さて、タイトルにもなっている「私の物語」ですが、これは本としても出版されています。私の俳句と、女優・左時枝さんの油絵で、2010年知玄舎刊。帯の推薦文は、左さんが映画監督の大林宣彦さん、私の俳句はさわやか福祉財団会長で弁護士の堀田力先生。
そもそもこの本ができたのは、堀田

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「私の物語」より、今日の一句⑧

「私の物語」より、今日の一句⑧

こんばんは、今日は二十四節気の雨水ですね。立春から、早いもので半月経ちました。
9日連続の投稿はほめていただけるのですが←noteさんより、反応については、いまだに心細い限りです。

さて、今日の一句

西日中パンの軽さをひとり抱く

詩人の高田敏子さんの「日々」という詩に、次のような一節があります。

みんな時の向こうに流れ去ったのだ
パン一斤の軽さをかかえて
夕日の赤さに見とれている

これを

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