2023.04.23日記(?)

職場に行って働いて家に帰るという一連の行為に身体がついていかない。

頭や身体が何にも制限されていない時間が必要だ。
そのためなら、お金は雨風がしのげる程度で……嘘、会いたい人見たい物のために思い立ったらすぐ動けるくらいは欲しい。

心に余裕が欲しい。
生活に遊びが欲しい。
優しくしたいし、優しくされたい。

以下、仕事中に脳内妄想が止まらない話。


モノづくりでは、計画に必ずバッファを設ける。
これはトラブルやその対処、それによって生じ得る遅延リスクを回避するためだ。

『ちゃんと無理な残業が発生したり、協力会社に迷惑をかけないようにしたか?』
その様な意味で「余裕は足りているか」「もっと遊びを持たせて」「逃げが必要」などと言われることがある。
疲労困憊な上に情緒不安定だと、何気ない言葉にも過敏に反応してしまう。
「この小さな小さな部品の方が私より遊びも余裕もある。しかもご丁寧に何かあった時の逃げ道まで用意されている。巣立つまでの間、本当に色んな人に手を貸してもらって、大切にされて……死んでしまえ」
無論、無機物なので生きるも死ぬも無い。
仮に生き物だったとしても、生殺与奪の権利は私の側にあるだろう。
それでも、目の前にある存在が憎たらしい。

ペラペラのフィルムに撫でられただけで捨てられる存在。
塵が1つ乗っただけで捨てられる存在。
最初から捨てられる運命が決まっている存在。
「憎たらしいけど、儚くもあるな」
ポジティブとネガティブの反転が忙しない。

優しくしたつもりでも加減が分からなくて、つい殺めてしまったらごめんなさい。でも悪気はないのよ?それにあなたの方だって、ちょっと虚弱過ぎると思わない?いくら箱入りと言っても、こんな程度で傷つかれたら困ってしまうわ。もっと周りに合わせないと生きていけないわよ?この子はもう10年近い付き合いだけど、何度挫けても立ち上がってきたわ。あなたは傷ついたり砕けてしまったらもうそれでお終い。少しは見習ったらどうかしら?

「ふぅ……あと少し」
集中していると癖で息を止めてしまい、頭がクラクラする。

私の醜い指先に代わって挿げ替えられた、スラリと伸びるもう一つの指先。
それが、憎く儚い存在を抱き寄せる。

「この10年間、どんな時でもずっと側にいてくれた。君のことを一心同体と言っていいかい。これからも、絶対に大切にするからね」
初めて勝ち取った予算での戦利品とは言っても、あまりの愛着にピンセットがドン引きしていそうだ。
心を持たない存在で良かったと言うべきか、この気持ちを理解してくれないことを嘆くべきか。
もし人だったら「うわ重過ぎ……気持ち悪い」なんて、酷く蔑まれたに違いない。
円満の秘訣、それ即ち要らぬことを言わぬことと心得たり。

「……あ」

ごめんなさい、机がちょっとガタついていて手元が狂ったみたい。本当に悪気はないのよ?それにやっぱり、あなただって強くならないといけないわ。自分が折れたとしても、少なくとも周りに迷惑をかけない程度には、ね?

疲労で集中が切れると時々やってしまう。
尖った破片が飛散して周りを巻き込んだ場合なんかは目も当てられない。
「この1つと両隣を合わせて3つ……。もし無事に製品までいったら、一体いくらになっただろう」
ため息を飲み込みながら、げっそりした顔で部屋を後にした。

そのまま優しく抱きしめてくれると思った?安心した瞬間へし折られた時の気分はどう?悪気?そんなまさか。あの子はちょっと色々と不器用だけど、本当に真っ直ぐなのよ?私よりもね。


概ね実話。

最近自分が何の仕事をしているのかわからない。

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