12. 学園村とは/ Que es Pueblo academico?
ここで僕の卒業設計のテーマ「学園村」について説明したいと思う。
端的にいうと、自給自足の農学校だ。
南米では今でも貧富の差が大きく、地方では学校に通うことも難しい子供、若者がいる。
学園村では、国籍・宗教・文化に関係なく、誰もが通うことができる。
半日は農場や施設で働き、その賃金を残りの半日の学費に回すことができる。
家庭が貧しくても、学びたい気持ちさえあれば誰でも受け入れている。
農学校といっても、ただ農業や畜産を教えるのではなく、
この学園村では、「錦鯉の養殖」をメインの産業として教えている。
ビジネスとしても南米市場向けに流通を行うことを計画している。
なぜ、錦鯉なのか?
僕が生まれ育ったのは新潟県で、大学は同じく新潟の長岡市だった。
長岡からほど近い小千谷市(旧山古志村)は、錦木発祥の地として知られている。
恥ずかしながら、このパラグアイで錦鯉の養殖を行うというのは、
Y先生のアイデアだった。当時は、「え、なんで錦鯉」と思っていた。
後々考えてみると、何事もインパクトが重要なわけで、
それは、海外が対象地なら「ザ・ジャパン」な要素である必要があったわけだ。
これがもし、「パラグアイで魚沼コシヒカリの稲作を学校で教えます。」だったら、
全然インパクトがない。
Y先生はよく突拍子もないことを言うなあと思っていたが、それらにはどれも根拠があり、結果的に学生たちを昇華させていったんだと思う。
卒研制作当時は、友人の伝手で実際に錦鯉の養殖農家さんに取材に行き、
錦鯉センターなる場所にも行き錦鯉のことについても勉強した。
パラグアイの対象地のイグアス移住地の関係者にも現地の土壌や気候などの情報を教えてもらった。
結果的に、現地でも錦鯉養殖が行える可能性が十分に高いことがわかった。
イグアス移住地には大きな湖があるのだが、
そこでは以前食用の鯉の養殖計画があったので、それは大きな裏付けになった。
敷地に選んだのは、イグアス移住地の日本人会が運営する採石場。
パラグアイは内陸国で、山が少ない。
最高峰でも高さ800mほどだ。
そのため、採石場は山を削るのではなく、地下を掘って採掘を行う。
イグアスの採石場はそんなすり鉢上のユニークな形をしていた。
採石場は数十年すれば、採石が取れなくなり、その後の使い道を検討しているとの話も聞いたので、採石場に湖から水を流し込み、大きな養殖池にすることを考えた。
建築はシンプルな長方形の平面計画で採石場の端と端を繋ぐような、橋のようなプランを考えた。今考えるとありえないが、水上建築にも関わらず、ほぼ全てを木材(イペ)で建てようと計画した。
木材は高価なため、とても現実的ではないデザインだったとパラグアイに来てから反省している。
正直、この学園村の計画が実現するための活動は行なっていないし、
今までそのような話に持って行ったこともない。
だが、いつか実現させたいと思っている。
少し趣旨は違うが、今まで僕の大学の後輩は教授がパラグアイに来てくれた。
合計8名ほど。
また、今うちの職場ではらくスタッフは皆僕よりも若い。
そう考えると、学びと経験の場と時間を提供することは、
少しはできたのかなと思う。
学舎とまでは言えないけど。
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