【年末吉例】私選版純正・応用サイエンス10大ニュース(2021年)

2021年も、あと半日を切りました。
コロナ禍、そして相次ぐ災害にが日々のニュース報道を占める一年でしたね。
しかし、その中でも、新しく始まる知らせ、未来の鼓動のようなニュースもあります。

ということで、自称サイエンスライター はやしけいじ責任編集による
私選純正・応用サイエンス10大ニュースをお届けします。

これは、今年一年、世に溢れたサイエンス関連の報道の中から、
・学術的なインパクト(学)
・社会的なインパクト(社)、
・話題としての将来性や発展性(将)
・報道記事の面白さ、わかりやすさ(記)
の4つの尺度で評価し、皆さまにより深く記憶に留めてもらいたい、と願っての企画です。
なお、この表彰は、【単に名誉だけ】です。特に副賞も表彰状もないのは、例年通り。
ご了承下さい。

まず、特別表彰から。
【殊勲賞】
米探査機、太陽に初到達(学4 社1 将3 記3 計11)
太陽の大気に触れた・通過した大冒険。その時のデータは、今後数ヶ月かけて地球へ送信されてくるのを待ちましょう。

【敢闘賞】
富士通、化学構造式で検索できる特許検索サービス発売 「5日かかった検索業務を1日で」(学2 社3 将5 記2 計12)
これが、サイエンスのニュースか、疑問なのですが、効果がテキメンでインパクトに、審査員(わたし)負けました。


【技能賞】
火星ヘリ、歴史的初飛行に成功 NASAの「インジェニュイティ」学3 社2 将5 記2 計12)
NASAから2件目。個人的に得も言えぬ感動がありました。

【ベスト記事賞】
いまの日本で「科学的にものを考えて生きていく」とはどういうことか(学1 社4 将2 記5 計12)
記事、いや論説です。科学という舞台で何を重視し考えるか、自問自答してしまう記事です。

【スクープ賞】
土石流“起点”土砂頻繁に運び込まれていた(学2 社3 将4 記2 計11)
熱海市の土石流災害の、発生2日後のスクープ。
建設残土を盛土に使い特にケアしていないという闇、その残土に産廃が混ぜられているという闇、さらにその土地が転売を重ねられている、闇……。


【本表彰】
次世代半導体素材「窒化ガリウム」は社会をどう変えるか(学3 社3 将4 記4 計14)
ちょっと前までは、青(紫)色の光のレーザーとして、DVDプレーヤで使われるかな、と思ってた窒化ガリウム。大電力用の電子デバイスへ展開が始まっている様子を伝えた記事。技術適用のロードマップが示されています。参考になります。

実は無視できない「国内外来種」問題 エリアによってはナマズも対象?(学3 社4 将3 記4 計14)
無秩序なものや大規模な放流や移植に、ようやく法規制がかかりつつありますが、守るべき『生物多様性』とはなにかが、なお議論が流動的です。更に踏み込み、『遺伝子の異なるものは移植しないように』、『調べ切れていないので、淡水魚については水系が異なるところへ持っていかないように』
と、専門家のコンセンサスも出つつあります。
なかなか、一般の方の目に触れにくい議論のため、貴重な記事です。

ウッドショック禍、日本の林業が「国産材増産」に踏み切れない理由(学2 社4 将4 記4 計14)
値ごろになってきたので、国産木材への回帰の動きがある、林業用の人工林もふんだんにある(課題山積とはいいつつも)。
なのに、増産できない日本の林業の苦境。

「世界の模範に」 日本科学未来館、全盲の浅川智恵子・新館長が抱負(学2 社4 将4 記4 計14)
サイエンスコミュニケーションの活動やユニバーサルデザインの採用に熱心な科学未来館へ、相応しい館長が着任しました。その後も、館内のコミュニケーションツールの社会実験をされる等、この路線が文化として定着していくでしょう。

「電気だけで飛ぶ宇宙ロケット」を開発中の79歳の物理学者(学3 社2 将5 記3 計13)
ロケットは後ろからガスなどを吹き出した反動を使ってきました。そのためには噴射剤と呼ばれる燃料・あるいはガスが必要で、それが長距離飛ばすのにネックでした。
噴射剤要らずのロケットをつくる試みです。

京大が霊長類研究所を事実上「解体」へ 世界的な拠点、研究資金不正の舞台(学2 社4 将4 記3 計13)
規模でも研究範囲でも、最大級の生態学の研究拠点。どのように再編されるか、来年以降に不安が残るニュース。
https://newspicks.com/news/6268864

ヒトのiPS細胞から胚盤胞 新たな生命つくる可能性も(学4 社4 将3 記2 計13)
ヒトの個体が発生する過程を、観察ではなく実験で確かめられる寸前まで来た研究。

フェーン現象、実はほとんど雨なしだった(学5 社4 将2 記2 計13)
去年8月に、浜松で最高気温41.1℃を記録したおり、山おろしの吹くような地形でもないのに、なぜフェーン現象が起きるのか、と疑問を持った向きも多いと思います。その根底にあった常識を覆した調査結果です。
義務教育の教科書の一部が書き換わる点で、インパクトが大きいですよね、ね!

純度高い水素取り出す大規模実験に成功「光触媒」の働き活用(学2 社3 将5 記3 計13)
一年にわたるフィールド実証試験で、光と水だけから、水素ガスを作り蓄えることができた。
この先、目論見通り、人工光合成まで進めるか、期待したい技術です。

英男性に3Dプリント義眼を装着する処置、世界初 病院発表(学3 社3 将4 記2 計12)
いわばレンズなので形が微妙な上に、材質も限られる用途。精密に作れる上、彩色もできる。人への実装着までこれてよかった。

いかがだったでしょうか。
厳しい現実も突きつけられつつも、ええ夢見られそうな知らせも見つけていただけたことと思います。
そして、下は、ノミネートしてたニュース、
あなただけのオタカラを探して見てください。

東洋紡、国際認証も取り消し(学2 社5 将3 記1 計11)

「とろみ飲料」自動調理器が介護施設で担う使命(学1 社4 将3 記3 計11)

南鳥島EEZでのレアメタル採掘、商業化へ…28年末までに技術確立(学3 社3 将1 記2 計11)

ガラスとゲルは弾性体としての振る舞いが異なる、東大が確認(学4 社1 将2 記3 計10)

筋肉を鍛える最適手段を予測する数学モデルを開発(学2 社3 将3 記2 計10)

隕石に炭酸水が入ってた 発見の教授「もし飲んだら…」(学4 社1 将3 記2 計10)

地球の水の半分は太陽が源?イトカワから大量の水を発見!(学3 社1 将4 記2 計10)

「風で走る車が風よりも速く走ることができるか」について物理学者とYouTuberが100万円を賭けて勝負
(学2 社1 将3 記2 計8)

(※なお、地元贔屓で、ノミネートしたものの、
並み居る強豪に歯が立たなかった…個人的に好きなタイプのニュースなのだけどな……)
信号機倒壊の原因は “犬の尿” 県警科捜研調査 三重 鈴鹿(学2 社3 将1 記2 計8)

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