また立ち上がるだけ。【負けたら終わりそんなものは存在しない。】
僕らと一緒に戦う町。
女川町。
あれから8年。
3.11。
あの大震災の日から8年。
僕は今、宮城県女川町でサッカーをしている。
ひと昔前の僕は、女川町でサッカーをしているとは思っていなかっただろう。
女川町に来て2年。
まだたった2年。
僕のサッカー人生でたくさんの経験をさせてくれた。
そして、たくさんの方々の支えがあって今サッカーをできていると感じている。
僕は仙台で震災を経験した。
色々な事が起こった。
あの時の気持ちは言葉にできないものだった。
そして、今コバルトーレ女川に所属している。
それはサッカーというスポーツが女川町と結びつけてくれた。
『地域と共に。』
このチームに来てからこの言葉を聞く。
サッカーさえ出来てればいい。
これは僕の高校の時の考えだ。
だけど、今こうしてサッカーをできているという事は、
チームを作ってくれた人。
チームを支えてくれた人。
チームを代表して戦ってくれた人。
応援してくれる人。
そんな人たちがいるおかげで今の僕が存在する事が出来ている。
僕にそれを気づかせてくれたのは大学を卒業してから所属させて頂いたヴァンラーレ八戸とコバルトーレ女川という2チームのおかげだ。
1人でなにかしようと思ってもできない事でもたくさんの人が協力してくれれば出来る事は沢山ある。
僕はあの震災の時に気付かされた。
自分の無力さに。
自分の力のなさ。
自分だけで精一杯。
自分だけでいいや。
そんな気持ちが先に来てしまい、僕は全てを諦めていた。
だけど、コバルトーレ女川を応援してくれる人たちは違った。
去年、JFLで最下位で1年で降格となった。
普通なら誰しもが怒り僕らに文句を言うだろう。
だが、僕らが降格が決まったならでんフィールドには
「コバルトーレ!」
その声援が響きわたっていた。
もし、自分がサポーターなら絶対にできない。
負けるのが悔しいから絶対に文句を言ってしまう。
なのに、ずっと誰もなにも言わず「コバルトーレ」という声しか聞こえない。
他の試合でもそうだった。
感謝しなくてはならない。
あんなに暖かい応援は初めてだった。
そんなチームおそらくコバルトーレ女川の応援団しかない。
僕はそう思う。
だからといって甘えてはならない。
やらなきゃいけない。
女川に来て、まだ2年の人間が女川について語るのは本当に嫌だと思うが、どうしてもそれは伝えたかったことだった。
あんなに悔しい笛の合図は今までもこれからもあの笛だけだろう。
仕事の面、サッカーの面、大変な事はこれから先もたくさんある。
だけど、あの悔しさを思い返せばなんだって苦じゃない。
常に前を向き歩いていく。
「人生はknockdown方式じゃない」
先日、僕らのメインスポンサーである「高政」の代表取締役社長の高橋正樹さんから頂いた言葉がとても心に刺さった。
「どんなに負けても、どんなに損をしても最後に勝てばいい。人生はトーナメントのknockdown方式じゃない。」
この言葉にはとても共感した。
何回ダウンしても何回でも立ち上がる。
一回負けても、また挑めばいい。
勝てるまで挑み続ける。
僕は、何回も何回もKO寸前まで叩きのめされている。
もうだめだ、もう無理だ。
何回も思った。
だけど、その度に色々な人が肩を貸してくれてまた立ち上がらせてくれる。
今の僕には、難しいが今度は自分が肩を貸せるようにならないといけない。
そうなる為には、まだまだ「力」が足りない。
小学生の時に、初めてサッカーボールを蹴った時。
中学生の時に、誰も知らないところにサッカーをしに行った事。
その時に、初めて仲良くなった時のこと。
高校で怪我で8ヶ月サッカーをできなかった事。
大学で多くの先輩、後輩、多くの仲間の人たちと出会えた事。
そして、サッカーで出会った多くの方々。
今考えると全てに意味があってそれがなければ今の僕はない。
意味のない事はない。
今できること。
僕らが、唯一できる事。
女川町と共に戦う事。
J1やJ2のような大きなチームにもできない事。
それが町と一緒に戦うこと。
どのチームにも言えるが、スポーツチームはその地域と共に戦っている。
そんなスポーツで少しでも明るい、嬉しい気持ちになってもらえれば良いな、と思っている。
そして、この町の名前を背負いプレーしているというのは僕の中でも大きな誇りだ。
チームのエンブレムをつけている以上、そのチームに全力を尽くす。
それが僕らができる大きな責任だ。
次の人に、サッカーというスポーツの楽しさや魅力を伝えるのも僕らの役目だ。
サッカーをしている事が偉いわけじゃない。
仕事をしている事が偉いわけじゃない。
なにをしようと答えというのは見当たらない。
なにをできるか僕自身わからない。
ただ8年前よりなにかできる。
そう思っている。
上書き保存。
「あの辛い思いは消える事はない。
だったら新しい楽しい思い出に上書き保存していこう。」
そんな言葉を聞いた。
1つでも多くできる事をする。
それが今僕らにできること。
あの大きな声援をもう一度ピッチで聞く。
どんな時も前向きに。
楽しい事で埋め尽くせるように。
今できる事を、全力で。
橋本光晟
※写真はインターネットから引用させて頂いたものもあります。
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