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インタラクション~強い手や運だけが勝者を決めないという事~

挨拶

(この記事はBoardGameアドベントカレンダー11日目の記事となります。
いつもより初対面の方も多いと思うので一応自己紹介をしておきます)

初めまして。古瀬和人(コセカズヒト)と申します。
 普段は #ゲームデザインに関する問 あたりのハッシュタグでゲーム(主にボードゲーム中心)について考えたり、noteで記事を書いています。また、年1個ペースでゲームを試作しております。

 今回の記事も含め、ご意見ご感想ありましたら、twitterかnoteのコメントにお願いいたします。

導入 「ボタンを押すだけゲーム」

 導入として超単純な架空のゲーム(?)”ボタンを押すだけゲーム”を使って話をしていきます。

 まず、このゲームはあなたを含む4人(仮に、あなた、A君、B君、C君)でプレイします。プレーヤーの元にはボタンが一個ずつ配られます。プレーヤーは手番が来たら持っているボタンを押す。ただそれだけです。
 まずはデフォルトの状態。押すと1点を手に入るというボタンを4人に配ってゲームをしてみましょう。結果は…もちろん引き分けになりますね。
 では、軽い気持ちで1分間、思いつくだけ列挙してみてください。
 問題:ボタンの効果をどう変更すればあなたが勝つゲームになりますか?

・ボタンの個数は1人1個。4つが同じ効果である必要はない
・ボタンの効果以外は変更不可
・4つのボタンのうち複数個を変更してもよい
・面白さは考えなくていいです。

↑細かい事を聞きたい人はここを見よ。


<シンキングタイムが終わったら 以下を見てください。>



 いくつ思いつきましたでしょうか? 
まずは比較的思いつきやすい答え2つを記載していきます。

①自分のボタンだけ押すと2点入るボタンにする
 この記事のタイトルでいう”強い手”を打って勝つ方法ですね。説明も特にいらないでしょう。

②A~C君のボタンを点数が入らないボタンにする
 
①を逆にしたものですね。相手に弱い手を打たせる事で、相対的に自分の手が強くなっていますね。

では、ここからが本題なのですが
自分のボタンはそのままで 相手に結構強いボタンを渡して勝つ方法はないのでしょうか?


例えばこんなのはどうでしょう?
③A~C君のボタンを
押した人に3点手に入るが”あなた”にも1点入る」ボタンにする
(※以下このボタンを説明上、コバンザメボタンと呼ぶ)

コバンザメボタンを押したA~C君は3点
A~C君がコバンザメボタンを押したので1点×3回=3点があなたに入ります
さらに、自分のボタンを押して+1点であなたは合計4点
あなたの勝ちですね。

 4人でゲームをする時”強い1手を打つ事”は確かに重要です。でもゲームによってはそれと同じくらい”相手の打った手に味方される事”もまた、勝利への道筋となり得ます。
 プレーヤーには勝利を目指すための思惑があり、それに合わせてゲーム内での(純粋に勝ち負けを巡る)関係性を持ちます。

 本日はそんな”関係性”についてどういうものがあるか、どう実装していくのか順番に見ていきましょう。

関係性の区分

 私はプレーヤーの関係性を以下の2つのパラメータで4つに分けて考えています。
①積極的に流れを作りに行く動きか 消極的、受け身的な動きか
②協調的か敵対的か?

同盟/寄生(積極的 協調)

衝突(積極的 敵対的)

衝突回避/停戦(受け身 協調)

上位への攻撃(受け身 敵対)
   ※1位を落とすための同盟はこちらとする

衝突と衝突回避/停戦は同時に話をしたいため、今回の記事では
同盟/寄生 、 衝突とその回避 、上位への攻撃 の3つに分けて考えていきます。

※通常インタラクションという場合にはこれに加え、読みあいの要素も範囲に含まれるかと思います。
今回の記事では話がぼやけてしまうため範囲外とさせていただきます。

1-同盟と寄生

 対戦ゲームにおいて勝者は1人のみであり、プレーヤーはそれを目指しています。そのため、2人戦においては協力関係を構築する事はできません。
 しかし、プレーヤーが3人戦以上になると、(同盟外のプレーヤーの勝率を下げて)お互いの勝率を上げられる余地があるために協力関係が発生する可能性があります。

 プレーヤーはお互いに”勝ちにつながるヴィジョン”を持っています。それを理解し、共通部分に関して限定的に協力を提案していく事が重要です。

 提案できる協力は大きく以下の4つに分類できるかと思います。
(他に思いつく方がいればご意見お願いいたします。)

 ①アクション(≒手番)を疑似的に共有しませんか?
 ②ゲーム環境を自分達の有利なものに変えませんか?
 ③プレーヤーに属さないゲームの要素(都市、会社)を共同で育てませんか?
 
 ④足りない資源の交換をしませんか?

 これらの提案に対して同盟(互いに協力)寄生(一方的に利益を享受)の状態があり得ます。最初は同盟であっても得点差等の理由により途中から寄生へと変化する事もありえます。

この4つを順にみていきます

1-1アクションの共有

 アクションを共有しお互いに利益を得る同盟です。
 具体的には相手にも利益があるアクションをお互いに打ち合う同盟相手が戦略上打つであろうアクションに自分の利益を乗せる寄生がこれに該当します。

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<例 コンコルディア(寄生の例)>

 寄生の例としてコンコルディアについて説明します。
 このゲームには「マップから地域を1つ選ぶ。その地域に立っている全ての建物が資源を生産する。(自分以外も含む)」という選択肢があります。
(※カード「長官」。厳密には他にも効果がつきますが、わかりやすさのため省略します。)

 相手がこの選択肢で指定してきそうな地域(そのプレーヤーの家が多くある、貴重な資源を生み出せる)に建物を1軒建てておくと相手のアクションで資源を手に入れる事ができます。

<例 ワイルドキャッターズ(同盟の例)>

 上で説明したコンコルディアでは1度選ばれた地域はしばらく選べないようになっています。このようなルールが無い場合、お互いに同程度の家を1つの地域に建てたうえでお互いに資源の生産をしあう同盟関係を構築する事ができます。

 このような事ができるゲームとしてワイルドキャッターズがあります。
下の写真において赤い四角で囲まれた地域(アジア東部)を見てください。緑のプレーヤーが3つ、青のプレーヤーが2つ自分の(色)の『掘削機』(石油を算出できる建物)を建てています。(駒ではなく丸いチットの方です)
 この状態で「アジア東部の地域の石油を産出し、輸送する」というアクションをお互いに行う事で効率よく動くことができます。

 このような同盟は非常に強力で、これだけしていれば(少なくとも資源産出においては)良い状態になってゲームが単調になってしまいます。
 同ゲームの場合、一つの油田からは3回までしか石油が取れないようにする(チットの上に石油駒を3つ置いて表現)事で一回の同盟だけでゲームを乗り切れないように工夫されています。

1-2 ゲーム環境に関する同盟

 ゲームの終了タイミング、ゲーム終了時の得点計算方法等のゲーム環境をお互いの有利な方へ動かす同盟です。
 伝わりづらいと思うので今回の記事では、最も多いパターンである終了タイミングに関する同盟を重点的に解説します

<前提の説明 終了タイミングはそんなに大事なのか?>

 まず、大前提として拡大再生産性のあるボードゲームにおいて勝因は3通りあるという話をします。(わかる方は飛ばしてよいです)

 終了タイミングは地味な要素ではありますが、ゲームにおいてかなり重要な要素です。終了タイミングを知らず(あるいは意識せず)にゲームをプレイする事は何m走か知らずに長距離のレースを走っているぐらい負けに直結する行為です。
 長距離走に勝つには①足の速さだけでなく ②的確なペース配分も必要です。上記2つの勝因を拡大再生産要素のあるボドゲに置き換えれば、以下のようなグラフで表すことができます

① 単純に足がが速い人が勝った

 上の図では勝者は全てのターンで敗者以上の得点を取っています。まぁ、当然勝ちますね。


勝因2 ペース配分が適格な人が勝った

 拡大再生産の場合、スタミナ配分ではなく「どこまでが自分を強化するターンでどこから点数を本格的に取りに行くのか?」が鍵となります。

 上の図では敗者(青)のプレーヤーは序盤から点数を取りに行く事を選んで序盤は点数でリードしています。しかし序盤をと拡大に費やした勝者(赤)のプレーヤーに逆転を許してしまっています。


ここからが本題なのですがゲームによってはもう1個勝因が存在します。グラフにすると以下のようになります。

勝因3 終了タイミングをずらしたことによる勝利

良い図が書けなかったため、文章で説明します。
 最初、ゲーム終了タイミングは細い黄緑の位置(4ラウンド目)にありました。ここで勝負が決していれば赤と青の点数は互いに40点で同点でした。
 しかし、勝者のプレーヤーが終了のタイミングを太い緑の位置にずらしたため赤のプレーヤーの勝利となりました

<終了タイミングを巡る同盟 説明>

 上記のように 終了タイミングの決定権はその変更の幅によっては非常に大きな権力です。終了ラウンドが決まっていないタイプのゲーム(の中のいくつか)ではこの終了タイミングを巡って毎ターン少しずつ自分の思う方向に向かって綱引きをする事となります。

<例 ディープ・ブルー>


 例としてディープ・ブルーを取り上げます。

このゲームは海底での宝探しをテーマにしたゲームで、「カードを購入してデッキを強くする」、「未開の海で探検をして点数を稼ぐ(ここで手札にあるカードを使い得点を多くする)」という要素があります。
(※他にも要素はありますが省略しています)

 このゲームの終了条件は4つの海底都市が公開される事です
海底都市は海(=ボード上に置かれた正方形のカード)のうちスタート地点(右下)から遠い8つの中に紛れています。
 そのため、このゲームは何ターンで終わるのかは人の思惑と運によります。プレーヤーが「カードを買ってデッキを強化する」、「絶対に海底都市の無い海で探索する」というアクションを選べば、ゲームの終了には近づきませんし、逆に「海底都市がある可能性がある海域で探索」を選べば終了へと近づく可能性があります。

  このようなゲームを4人で行った場合を考えます。ここで最も悪いのは思惑が残り3人と異なる状態になる事です。例えば、あなた1人だけが「序盤から海底都市を探す」と思っていて、他3人が「ゆっくりとデッキを強くしてから満を持して探検しよう」と思っていた場合、ゲームはなかなか終わらないでしょう。そしてあなたは強くなったデッキの力を前に逆転され、敗れてしまうでしょう。

 このような状態をさけるため、同盟相手を1人用意して戦う事となります。(少なくとも同盟相手との得点差があまりない間は)自分のゲームの終了を近づけながら点数を取るために海底都市を積極的に探していく事になります。

※ディープブルー 補足
・できる限りルールが難しくない
・比較的最近のゲームで現在も買える
・場所が近い相手との「1-1アクションの共有」の要素もある
・同盟の要素が十分あるが、運でも勝てる

という点で選びました。
コロナ後のゲームなんであまりプレイされていない印象ですが、同盟関係を気にしながら遊びやすいと思います。

1-3ゲームの要素の成長に関する同盟

 プレーヤーの所有物ではない要素を成長させる(あるいは衰退させる)同盟です。成長させるものには 数値のみの変化(株価等のトレンドの操作) からプレーヤーのようにアクションをするもの(インペリアルの国家 や鉄道ゲームの鉄道会社など等)まで様々なものがあります。

1-4リソースの交換

 多種ある資源のうちお互いにとって足りない者同士を交換する協力関係です。他の提案と違い、1回限りの事も多いのが特徴です。

 1位になると交渉が難しくなるため、資源を生産できるように成長する(カタンでいう港などプレーヤーを介さない変換する手段を含む)、生産できる資源だけで勝ち切るプランを作る、等が中盤以降は他人に依存しない手段も必要となります

衝突とその回避

 所謂漁夫の利問題と言われる問題のため、3人以上のゲームにおいて他人とは衝突しないで済む方が有難い。

<漁夫の利問題の説明 わかる人は飛ばしていいよ>
 あなた、A君、B君の3人でゲームをしている状態を考えよう。
 あなたはA君に「資金1を払い、2ダメージを与える」というアクションを使ったとする。さて、最も得をしたのは一体誰だろうか?
 A君は2ダメージを受けた。あなたは資金を消費した(失った)。
よってB君が最も得をしている

 それを踏まえてなお、人が衝突するように以下のような単純攻撃でないルールが採用されます。

 ・最も早く動いたものだけが得られる
   例)早取りの得点、
     排他的なアクション(狭義のワーカープレースメント)。
 ・最も多くコストを割いたものだけが得られる
   例)競り
     エリアマジョリティー
 ・(集め始めると)たくさん欲しいが数が限られている
   例)セットコレクション

 上記に共通するのは、(相手の点数を下げる事を意識しなくても)自分の点数を上げるために衝突が起こるという点です。

衝突回避について

 既に人が狙っている所や 相対的に点数が高い所を避ける事で衝突を回避する事ができます。単純な点数以外で言えば、以下の記事で書いた袋小路のような移動上の自由が少なくなる場所も不人気ゆえに衝突を回避できる場所となりえます。

1位叩き(非協力)

 結託して1位のプレーヤーを攻撃したり、そこまでいかなくても今まであった同盟関係を切ったりします。

 個人攻撃的な要素を)工夫無く強く入れてしまうと、常に出る杭が打たれ、平均した状態でゲームが進んでいき、最後の一歩を運よく進めた人間が勝つだけのゲームになってしまいます。

そうならないための方法として以下のようなものがあります
 
 ・攻撃によるダメージの上限の設定
  例)カタンの盗賊で止まる土地は一か所等

 ・攻撃アクションの制限
  例)Mapで隣接している人しか攻撃できない
   攻撃カードの枚数が少ない等

最近の動向について

 昨今のゲームは1990年代のドイツゲームに比べ、2010年代以降はインタラクションが薄い物が主流となっている。(個人の感覚になるが、衝突やその回避は未だに勝敗に大きくかかわる要素、見えやすい要素として十分にある。しかし、同盟や個人攻撃の要素は目に見えて影響度が薄くなっている)これは何故だろうか? 
 できるだけ客観的に他の要素との対比をしながら私の見解を話していきます。

<前提 勝敗を分ける3要素>

 ゲームにおいて勝者と敗者を分けるものは大きく以下の3つに分類されます。

①(対ゲーム)攻略能力(強い手/効率の良い手順 を打てるか?)
 ・強い選択肢を選ぶ能力があるか(≒カード評価を事前に知っておく)   ・効率の良い動きができるか(≒定石を知る。揮発性の権利を逃さない)

インタラクション (立ち回りが巧いか)
 対戦相手に合わせた動きができるか?
    (大きく 読み、関係性構築)


 ・ダイス等のランダム要素が味方するか?
 ・(指運)=偶然、正しい動きができたか?

<3要素の客観的な長所短所>

 この3つはそれぞれ異なる傾向を持ちます。
 ①(対ゲーム)攻略能力は事前の努力(定石や強カードの研究)によって勝利を手繰り寄せられる要素です。それ故にやりこむ事を奨励する事ができます。
 逆にこの要素が不必要に多い場合、実力差があると毎回同じ人が勝つ、プレーヤーが意図的に新しい事を試さない場合、同じ展開になりやすいという弱点を持ちます。

 ③に関してはおおよそ逆の傾向を持ちます。 プレーヤーの判断より後にランダムな結果を発表する事で実力差が埋まる可能性を出したり、プレーヤーの判断前にランダムな状況を提示する事で展開を強制的に変える働きを持ちます。  逆にこの要素が多すぎる場合、事前の努力や深い思考を台無しにしかねません。

 そして今回取り上げた”インタラクション”は良くも悪くも作者とプレーヤーに理解(あるいは無理解への許容)を求めるところがあります。雑に言えばこの理解が想定以上であれば、上記2つの良い所に似た性質が出て、想定以下であれば、悪い所が出ます。

<運との比較>

 例えば、あなたが”運や実力の多寡で抜きんでた1人”を他の3人で協力して抑えるという意図で個人攻撃の要素をゲームに盛り込んだとします。

 プレーヤーがその意図を組んで1位を攻撃すれば、このルールはゲーム終盤まで勝機を見出せる希望となり得ます。運の要素では誰に味方するかわからないため、ここまでうまくはいきません。(上位のプレーヤーとの差が運によってさらに広がる可能性もある という事です)
 逆に理解してもらえず「なんかこの人嫌い」と1位でもないのに攻撃するようであれば、被害者は運が悪い以上に理不尽さを感じるでしょう。

<攻略能力との比較>

 攻略能力を問う要素は努力を奨励し、研究した者を勝者を近づけますが、経験者と未経験者の間に溝を作る原因にもなりかねません。研究しがいがあるという長所は「研究してまでやる熱量が無いので」、「邪魔すると悪いから」という敬遠の原因にもなり得ます。
 それに対して暫定2位のプレーヤーが3番手以降と(自分が3位以下に落ちる危険性がある事を受け入れた上で)同盟を結ぶという展開はゲームの結果(や展開)にプレーヤーの巧さを反映した上で3番手以降にも1位への希望を持たせることができます。1位の人間にとっても勝利の確定した退屈な時間が減る事となります。

 一方で同盟関係を誘うような手を打っても相手が理解してくれなくてはどうにもなりません。さらにいえば現状、非常に教えづらい要素であると言わざるを得ないものです。

 思考プロセスがどんなに難しくとも「このカード強いから使うといいよ」という勝者の考え(結論)は(望むならば)簡単に聞く事が出来ます。なんなら勝者が使った手段の強さを自分で気づくことも比較的容易です。

 しかし、同盟の場合、まず、その存在に気づきにくくなっています。例えば「終了タイミングに関する同盟」等はそもそもゲームの目的とは「たくさん点を取る事」ではなく「相手より1点高い状態でゲームを終わりを迎える事」だという認識を持たなければ自分から気づける可能性は0です。結果、「長期戦を狙う同盟に誘って一緒に1位を目指そう」というお互いの得になる話を提案したのに実らなかった。という不満(最悪の場合、ゲームが短期で終わる動きをしたというさらなる不満)につながりかねません。

<ようするに人の変化という事>

 上記のようにインタラクションも他の要素も良い部分と悪い部分があります。 ただ、現状はよく言えばボードゲームはゲーマーだけがやるものではなくなったという状態です。(逆に個人的に残念な点で言えば、その上でその存在や魅力や危険さを皆で共有するという事ができていないという状態にも見えます。)
 その環境に対応した結果として、

・1位たたきの要素よりも運や”下位を押し上げるルール”でバランスを取る
・同盟締結の器量よりもカードや定石等の理解で決着がつく
・インタラクションはわかりやすく、個人攻撃ではない衝突に限定する

 というゲームが増えているのだと思います。

筆者の個人的な好みの話

 本来記事はここまでの予定でした。ただ、ここで終わると長く説明した上で割とネガティブな情報で終わってしまうため、かなり個人的な好みの話になりますが魅力の話をしていきたいと思います。

①出題者としての楽しさ と 盤上の会話
 インタラクションが完全に0というという状態とはどういう状態でしょうか? スマブラで言えば「攻撃してはいけない。ステージギミックのダメージだけでどちらかが倒れるまでやる。」というハウスルールでゲームをしている状態がこれに当たると思っています。
 このルールは極端としても、私にとって攻略能力にフォーカスしたゲームは「ステージギミックが派手で必要以上に(対戦相手ではなく)桜井さんと戦っているような気になってしまう」ものです。

 私のポリシーにおいて対戦ゲームのプレーヤーとは(クイズプレーヤーやパズルをする方と違い)単に解答者ではなく出題者でもある存在です。プレーヤーは問題を解くだけでなく、インタラクションを介して他プレーヤーに出題をします。例えば、「私はあなたと〇〇な点に関して同盟の意思があります。乗りますか?」、「〇〇のエリアマジョリティーを狙います。争いますか?」といった具合です。仮に無言でボードゲームをしているのであっても盤上で会話(出題と回答)をしているのです。
 
 インタラクションの強さと言うのはつまりゲーム内容に対する”プレーヤーに与えられた裁量の大きさ”を表します。裁量が大きく、自覚的である方が対戦相手と向き合っているという感覚がするので私は好きです。

②創発性
 上記のような盤上の会話の中で創発的に様々な展開を見せます。

※「創発」とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない特性が、全体として現れること。

 自分の思惑と他人の思惑(上記注釈で言う "部分”)が混ざり合い、ゲームの局面(上記注釈で言う”全体”)で想像以上の展開をしてくれることがあります。ルール上説明されていた事だけで(ある種の説得力を伴って) 意外な方向へと展開していく様(物語で言えば伏線回収のような局面?)が好きです。

③”わかっている”相手を倒したという達成感
 TCG界隈の用語で言えば、MTGのサイコグラフィックスで言うスパイク的な要素です。単純に勝った(負けた)という事実より相手も強かったけど勝った(から負けた)という体験の方が私の個人的な満足度を高くしているという事です。

※スパイクの説明は↑こちら

終わりのあいさつ

 ここまで読んでいただいてありがとうございました。
 わかりづらい部分や反論等あれば、コメント、Twitter等で質問よろしくお願いいたします。
 (デジタルゲーム関係者に対して話す機会もそこそこあるのでボードゲームをあまりしない人からの感想もすごく助かります)

 アドベントカレンダー 明日(12日)の担当は符亀さんです。
もしよければ他の方の記事も読んでみてください。私も記事を書き終えたのでこれから順番に読んでいきます。





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