依頼者を幸せにする力「自分がされて嬉しいことを提供する」

 弁護士法人ダーウィン法律事務所の理念は、社会のインフラである法律を守り、挑戦する人を支えるところにあります。
詳細は、【ダーウィン法律事務所が大事にしていること】をご参照ください。
 この理念を実践するため、私自身の仕事感や、アソシエイト弁護士に対して、どのようなことを指導しているかをお伝えします。また、アソシエイト弁護士にも個性がありますから、押し付けるのではなく、私や他のパートナーの仕事感に触れて自分なりマイルールをカスタマイズしてほしいと願っています。

目の前の人を幸せにすること、お客様は神様か?

 弁護士の仕事では、いわゆる勝ち筋の案件もあれば、負け筋の案件もあります。また、勝ち負けではなく企業法務などの予防法務案件もおります。いずれにも共通するのが、一件一件には、例外なく【クライアント】がいます。
 したがって、クライアントという、目の前の人に対して最善の結果(目の前の人を幸せにする)を出すことがビジネスとしての弁護士業の基本と考えております。これは、マクドナルド、ディズニーランド、高級ホテルであっても、同じで、来てくれたお客様を幸せにすることがビジネスの基本ではないでしょうか。

 ここで勘違いしてはいけないのが、クライアントに対して「媚びる必要はない」ということです。依頼者とはどちらが上という関係性ではなく、対等であり、それぞれが尊重し合う関係です。ですので、クライアントから、難しい要求があった場合には、「無理」・「無理筋だが最大限やってみましょう」と答えることが法律の専門家たる弁護士に必要な力です(新人弁護士のうちは、この「無理」という答えができずに精神的に辛くなる人が多いと思います)。

 また、クライアントは、どこまでいけるのかもわからないため弁護士に相談しているとこもあるため、クライアントの無理な要求に対しては、プロとして、その気持ちを汲んで真摯に答えてあげるべきです。ほとんどの方は、法的には難しいことは理解していただけます。

自分がされて嬉しいことを提供する

 クライアントを幸せにする力の一つは、私は「自分がやられてうれしいことを相手にも行えば良い」と考えて行動すること、と考えています。具体的には「もし自分が依頼者だったら、自分の行動の評価は何点だろうか?」と自問自答することです。
 例えば・・・

  • 依頼したのに●週間も連絡無い・・・・(弁護士としては、資料取るのに時間かかっているだけで報告する価値がなくても、その進捗を報告することでで自分だったら、「あっ。きちんと自分の案件を処理してくれているんだ。丁寧な人だな。」と安心感につながると思いませんか?)

  • 相談したら冷たい対応で、無理と言われた・・・・(弁護士として法的に正しくても、クライアントはその状況に悩んでいるはずです。可能な限り代替手段の提案や難しいなら気持ちを汲んで説明を尽くすと信頼感につながると思いませんか?)

  • 折り返すと言われたのに折り返しがない・・・(自分が依頼者なら、あれ?と思いますよね。もし当日中にできない場合は、秘書を通じて今日はできないが明日の何時頃なら、と一言連絡の指示はできるはずです。)

 このような「自分がされて嬉しいことを提供する」力は、ひいては、アソシエイト弁護士が個人で顧客を開拓し、特に企業顧問契約を獲得できる場面、または、人間づきあいの場面でも、相手に思いを馳せることが、関係性構築の鍵にもなると感じています。

依頼者を幸せにする力を分解する

 以上のように仕事を取り組む姿勢から逆算して考えると案件処理とは、以下のように分解できると考えます。

「目の前のクライアントを幸せにする」という命題がある上で、

相談時に適切な弁護方針の説明、処理期間の目安、弁護士費用の説明

ご依頼・契約・リサーチ

進捗報告(工数管理、タスク管理)

依頼者への進捗報告

事案終了

 特に、新人アソシエイト弁護士のうちは、弁護方針、処理期間、弁護士費用、工数管理、タスク管理がわからないことや自信がないことも多いと思います。このようなものは、パートナー弁護士と仕事をすることで身につけていくことになろうと思います。

 一方で、法解釈については、最近の司法修習生は優秀だと感じます。不足しているのはその「活用力」、すなわち、依頼者を幸せにする力であって、こういった力は、パートナー弁護士や自分の努力などで磨かなければならない力です。

 また、コミュ力が高い人のみ会得できるのではなく、きちんと、分解して冷静に考える力があれば必ずし会得できる力と考えています。

 したがって依頼者を幸せにする力を分解すると

  • 適切な弁護方針を伝える力

  • 適切な弁護士費用を伝える力

  • 処理期間の目安を伝える力

  • 進捗報告を行う力

と考えています。

採用の際のポイントと指導の際の視座


 そのため、アソシエイトの採用を検討する際にコミュ力だけを重視するのではなく、物事を細かく分解でき、説明できる力があるのかを重視しています。

 また、アソシエイト弁護士に対して、指導する際は、事案方針ももちろん大事ですが、ここは、過誤にならない範囲で自由にやらせてあげたいと思っていますので、依頼者を幸せにする力について指導することがほとんどです。
 依頼者を幸せにする力は、上記通り、属人化せず、きちんと言語化、システム化が可能です。この力を発揮する上で特に必要となる進捗管理(工数管理や進捗管理)の工夫については、また別の機会にお話ししたいと思います。

弁護士法人ダーウィン法律事務所
弁護士荒川香遥

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