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【HAMT】SLRから動作効率性を予測する-運動機能性評価と立ち上がり-


こんにちは。”くっしー” こと櫛引翔太です。
鍼灸師・認定理学療法士(脳卒中/地域)で
脳血管障害後遺症の記事をまとめています⇩




⇩今回は前回記事の続きになります⇩
運動機能性評価
-SRLから体幹/下肢機能を評価する-

【前回まとめ】
SLRは整形テストの意義に加えて、リハビリ視点では下肢を挙上する方向性や重さを評価を実施し腹斜筋を含めた体幹筋の安定性を評価できる。

↓過去記事を参照↓

第2回「SLRから動作効率性を予測する」

【目的】
SLR(下肢挙上テスト)はリハビリ視点では疼痛以外にも挙上していく運動パターンから、筋活動を把握し、次に実施されるADL動作を予測することが可能です。多角的視点からSLR評価する視点を解説します。

【目標】
1:SLR構成要素「ハムストリングス」の機能解剖
2:SLRから考察する立ち上がりの効率性
3:ハムストリングスの活動性を高める治療の工夫

コロ「前回下肢を上げる時に下肢と体幹機能が重要だとわかりました」
先輩「体幹と下肢の理解が深まると、最終的に立ち上がり動作の予測が出来るようになるんだ。」

今回はハムストリングスの機能解剖をベースに下肢のアライメントの評価を実施し、立ち上がりの動作効率性を理解しよう。

1:ハムストリングスの機能解剖

図1

SLRテスト:ハムストリングスの短縮評価(図1)
セラピストは片手で上前腸骨棘を安定させた状態で、下肢を 80 度以上上げることができない場合は、ハムストリングが固まっていると考えられます。

physiopediaより引用
図2
図3 板場.石井 アナトミートレイン第3版 p82より引用

◾️ハムストリングス
半膜様筋・半腱様筋・大腿二頭筋に複合体で、起始は坐骨結節、停止は脛骨となります。この筋はニ関節であるため、作用は股関節の伸展と膝関節の屈曲に作用します。

図2から分かるように、ハムストリングスの短縮はSLRで下肢が挙上しにくくなるだけでなく、坐骨結節からの連結で骨盤の可動性に作用し前屈動作の阻害因子になる場合があります。

図3でも分かるとおり体幹と下肢の連結はアナトミートレインでも解説されており、筋膜の機能的な連結も認められています。

2:SLRから考察する立ち上がりの効率性

図4

立ち上がり動作は支える場所を殿部から足底へ、体重を前上方に移動させることが条件となります。多くの患者さんで殿部を浮かせることが困難なケースの多くは重心の前方移動の段階で問題が発生しており、離殿時の介助量が増大する場合があります(図4)

コロ「確かにいつも立ち上がりが大変な人に対して、手を引っ張ってばかりでした。」
先輩「当たり前だけど、足に体重が乗っていない状態ではお尻を浮かせることは困難だよね。ここでハムストリングスの作用が重要になるんだよ」

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