地方自治体の滞納整理をするにあたり,一人前の職員として重要な土台になる,マインドのお話をします
地方自治体の債権管理について,『明日からできる債権回収』をテーマに,過去の研修原稿をもとにして記事を書いています。
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どうもこんにちは,まっつんです。
今回は,「一人前の徴収職員への第一歩」と題して,いろいろと難しいイメージの滞納整理業務ですが,一番の土台となるマインドのお話をしたいと思います。
滞納整理業務を進めていく中で,新人職員(管理職も含む)が陥りやすいのが,滞納者とのやりとりのイメージをネガティブに描いてしまうということがあります。これは,行政経験が多いほど陥りやすい点です。
例えば,一括の支払いを求めたり,財産を差押えしたりした時に,こんなこと言われたららどうしよう,とか,あんなこと言われたらどうしようとか,ネガティブな思考に囚われて,何も出来なくなってしまう,ということがあります。
そして,行動を起こすにしても,ガチガチに理論武装をしてからでないと動けない状態になっているのです。
滞納整理業務に関して深く追求すると,数多い法律が巧みに絡み合っているため,全てを理解してから動こうなんて考えていると,ざっくり言って5年はかかります。そんなに時間が経ったら異動してしまいますよね。
また,そんなことしていたら,滞納はどんどん累積しますし,消滅時効が到来して回収不能になるものも多く出てきます。
それって,まさに『やらない理由』なんですよね。
国税徴収法第47条には,滞納があれば『差押えしなければならない』と規定されています。
どうにかして正当な理由があるかのように繕ったところで,この条文による義務を免れることはできないのです。
確かに,差押えをすれば反発もありますし,窓口で大きな声を出す人もいます。
そのような人たちの言い分を丸呑みしたり,そういう事態を避けたいがために何もしないでいるなんてことを,きちんと納税している人たちが知ったらどう思うでしょうか?
もちろん,『不公平極まりない』と思いますよね。
そして,正直者が損をするというような感覚を抱いてしまい,行政不信を招きかねません。
何もしないうちから,争いが起こることを妄想する時間があったら,速やかに差押えを行なってください。
どうしようかと迷いが生じた際も,差押えを行なってください。
実践を積み重ねていくことで,並行して法的な知識も蓄積されます。
なぜなら,地方自治体の徴収職員は,机上で論じる法律家(学者)ではなくて,『実務』で最前線に立っているのですから。
今回のお話で勘違いしないでいただきたいのは,ただただ差押えをするように進めているのではなくて,滞納者の状況等もしっかり検証することも重要であるということです。
滞納しているとはいえ,その人たちの財産(資産)に踏み込んでいく業務ですので,慎重さは忘れてはなりません。
このマインドを身につけることができれば,一人前の徴収職員として地に足がついた状態になったと言えるでしょう。
そして,徐々に経験を重ねていってください。
それでは,今日はここまでにしたいと思います。
次回の記事も楽しみにしていてください。
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[引用研修]
令和元年11月29日 須崎県税事務所管内地方税研究会 徴収事務研修会
『徴収事務について』~徴収率UPのための滞納整理の実務~
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