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新人職員のための債権管理『超』基礎講座ver.2022 5日目 [滞納処分主要3分類]

ごきげんいかがですか?

まっつんの「明日からできる債権回収」にようこそ。

今回のシリーズは,新人職員のための債権管理『超』基礎講座 です。
これだけは知っておきたい基本中の基本を6回に分けておはなししますので,一緒に勉強していきましょう。

それでは5日目を始めていきましょう。
今日は,滞納処分主要3種類 です。

一人前の徴収職員への第一歩として,まずはこの3種類をマスターしてください。

まず一つ目は,債権の差し押さえです。
対象となる財産は,預貯金,給料,年金,売掛金,賃料などです。
預貯金,給料,年金は説明しなくてもわかりますよね。

売掛金って聞いたことありますか?

これは,色々あるのですが,わかりやすい例を挙げると,お店を経営している人や法人の収入として入ってくる販売代金などのことです。

賃料は家賃や土地代などのことです。

それと,保険を解約したときに戻ってきたりする解約返戻金も債権になります。

2つ目は,不動産です。
これは,あえて説明しなくてもいいと思いますが,土地や建物のことです。
そのほかにも,いろんな権利を参考として書いていますが,ここでは単純に土地と建物と覚えてください。

最後の3つ目は,動産です。
金銭,金券,家財,軽自動車など,と書いていますが,金銭ってのは,現金のことですね。

金券については,商品券やギフト券のようなものを言います。
家財,軽自動車はそのままの意味です。

軽自動車ってことは,普通自動車はどうなるの?

って思うかもしれません。

普通自動車は,ちょっと手続きが違ってくるので,ここには含めていません。
これは,別の機会に説明したいと思っています。

それでは,それぞれの種類ごとにもう少し踏み込んでみましょう。
債権について,どのような手続きで差し押さえをするのでしょうか?
債権の差し押さえの場合には,債権者である市町村と滞納者に加えて,第三債務者,という立場の人たちが登場します。

この人たちは,給料を例に取ると,滞納者に給料を払う立場の人になります。
実務としては,給料を差押したときは,この第三債務者から差押金額が振り込まれてきます。
預貯金であれば,滞納者の口座がある金融機関が第三債務者になります。
債権を差し押さえるときに重要なのは,第三債務者に債権差押通知書が送達されることです。

なぜかというと,第三債務者に送達されたときに,差し押さえの効力か発生するとされているからです。
そのため,書留郵便などを利用することをオススメします。
もちろん,滞納者にも書類は送らないといけませんよ。

差し押さえの効力が発生した後には,その債権を取り立てるという流れになります。
「取り立て」というと,ちょっとバイオレンスなイメージがあるかもしれませんが,これは,第三債務者から債権者に支払してもらうことを指す言葉なので,全然穏便な話なので安心してください。

債権差し押さえをする中で,ゆうちょ銀行の貯金についても差押することが多いです。

それと,郵貯銀行の場合は,証書による払い戻しというちょっと違った手続きになりますので,頭の片隅に記憶しておいてください。

続いて,不動産の差し押さえについて説明していきます。

不動産の場合は,滞納者と登記名義人が同一人物である確認をしたうえで,差し押さえ手続きに入ってください。

不動産の所有については,固定資産税の課税台帳などで確認できるのですが,最終確認は法務局の登記事項証明書,いわゆる登記簿を確認してください。
私だけの経験であればいいのですが,課税台帳はあまりあてにならないという経験がありますので……。

不動産の差し押さえについては,差押書を滞納者に送達することと,法務局に差押登記の嘱託という手続きが必要です。

不動産差し押さえの効力発生については,少し注意が必要です。
不動産差し押さえの場合,差押書の送達と登記嘱託の完了の時の、どちらか早く達成されたときが,差し押さえの効力発生日ということとなります。

しかし,登記嘱託完了前に差押書が送達されている場合,差し押さえは書類上は成立していますが,登記完了までの間に、売買などで所有権が移転してしまうと,公売ができなくなってしまう可能性があります。

これは,民法に規定されている物権変動に関する話なので,ここでは深く触れませんが,不動産の場合は登記が変動してしまうと,その新たな所有者に対抗できないという問題があります。
民法では,対抗問題といったりします。

そのため,私が不動産差押するときは,まず差押登記が完了したことを確認して差押書を送るようにしています。

以前,差押登記の嘱託書を提出したら,すでに売買されていて,所有権移転の手続き中なので,差押嘱託が受付してもらえないってことがありました。
県外案件だったので,ちょっと後手に回ってしまったこともあって,先を越されてしまいました。
今,思い出しても悔しいですね。

無事,差押登記も完了し,差押書も送達されたら,公売という方法で売却します。
不動産の場合は,入札形式のオークションで売却することが多いですね。
随意契約というのは,特例的なやりかたなので今回は省略します。

最後に,動産の差し押さえについてです。
動産については,捜索により自宅等に調査に入って,差し押さえするというのが,基本的手法になります。

捜索により財産を発見したときは,徴税吏員が占有したときに差し押さえの効力が発生します。

「せんゆう」する?

って,よくわかりませんよね。
その対象物を支配できる環境に置いたとき,なんて言ったりもしますが,やっぱりよくわかりませんよね。

実務的な話で言うと,対象物を差押したと言う書類,差押調書を作成して,事務所や保管場所に移動させることで,差し押さえの効力が発生したという取り扱いになります。

また,動産差し押さえ,というか,捜索の実施時には,立会人が必要になります。
立会人になれる人の要件は,色々ありますが,多くの場合は滞納者自身が立ち会いしてくれます。
もし,立ち会いを拒否されたり,捜索時に不在だった場合は,税務職員以外の職員を同行させて,立ち会い人になってもらうこともあります。

差し押さえした財産が,搬出困難な場合などは,滞納者などに保管させることもできます。

たとえば,ピアノなんかだと重さもありますし,移動させるにも専用の台車が必要だったりしますので,その場で保管するように,保管命令という方法をとることがあります。
動産を差し押さえた場合も不動産と同様に,公売により売却します。
動産の場合は,入札方式だけでなく,せり売り方式で売却することもあります。
インターネットの官公庁オークションなんかが有名ですね。

今回お伝えした,債権,不動産,動産,について,差押時に共通することは,差押調書または差押書を作らないといけません。
そして,その書類への記載内容についても共通事項がありますので,確認しておいてください。

差押調書を作成する1番の目的は,差押財産の名称,数量,性質及び所在,を記載することで,差押財産を特定することです。
そうすることで,対象物に対して差し押さえしているとゆう権利を主張することができるからです。
さらに,その権利を第三者に対抗するために,占有したり,差押登記をしたりするのです。

強制徴収債権の滞納整理をするにあたって,滞納処分は,必ずやらなければなりませんので,まずは,今回取り上げた3種類を覚えてくださいね。

今日はココまでになります。
また次回も見てくださいね。

それではみなさん,ごきげんよう。

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