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地方自治体の強制徴収債権の回収について,その『権限』と『義務』に関するお話をします。

地方自治体の債権管理について,『明日からできる債権回収』をテーマに,過去の研修原稿をもとにして記事を書いています。
※ヘッダー画像は記事内容とは関係ありません。みんなのフォトギャラリーからお気に入りのものを使わせていただいてます。

どうもこんにちは,まっつんです。


今回は,地方自治体の債権について,強制徴収債権と呼ばれるものについてお話ししたいと思います。

一般的に強制的に債権を回収する場合は,裁判所に申立てをして,預貯金や給与の差押命令を出してもらう必要があります。
この手続きは,差押命令の前段の手続きも必要で,最終的に差押えをするまでには結構な日数がかかります。
回収に着手してから,早くても,3ヶ月から4ヶ月くらいはかかります。

一方で,税金や介護保険料などは,滞納が発生した場合,裁判所を経由しなくても徴収職員が直接財産を差押えることができます。

この権限を,『自力執行権』といいます。

また,この権限を与えられている職員のことを,『徴税吏員』とか『滞納処分執行職員』といいます。
これらの職員には,市町村の首長からその権限を委任する旨の辞令が交付されています。

『徴税吏員を命じる』

と,辞令書に記載されていますので,確認してみてください。

そして,この辞令を受けた以上,滞納が発生した場合には・

『差押えをしなければならない』

という義務も課されていることを強く認識する必要があります。

税金については,『地方税法』に規定されておりますし,その他の強制徴収債権については,『地方自治法』や各種法律に規定されております。
税金以外については,『地方税滞納処分の例』などといった記載になっており,結果としては,税金の滞納処分規定を準用することとなっております。

さらに,税金の滞納処分規定は,地方税法にはその詳細が規定されておらず,『国税徴収法』の第5章に規定されております。

『国税徴収法』第5章は,強制徴収に関する手続きのイロハについて定められている法律とも言えます。

地方税,例えば固定資産税の滞納に関して,財産調査や差押えのために,金融機関や会社に訪問したり,書類を送ったりすると,

『地方税なのにどうして国税の法律が根拠になっているの?』

と聞かれることがあります。

その際には,「徴収に関する手続きは国税徴収法を準用することとなっています」と答えれば足りますので,突発的な質問を受けてもアタフタしない様にしてくださいね。

こうやってみてみると,一般的な債権回収よりも税金をはじめとする地方自治体の再建に関しては,強力な権限が与えられていると思いませんが?
そして,その権限の裏側には果たすべき義務が課せられていることも忘れてはなりません。


それでは,今日はここまでにしたいと思います。
次回の記事も楽しみにしていてください。


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[引用研修]
令和元年11月29日 須崎県税事務所管内地方税研究会 徴収事務研修会
『徴収事務について』~徴収率UPのための滞納整理の実務~

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