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地方自治体の滞納整理で成果を出せる,2つのポイントについてお話しします

地方自治体の債権管理について,『明日からできる債権回収』をテーマに,過去の研修原稿をもとにして記事を書いています。
※ヘッダー画像は記事内容とは関係ありません。みんなのフォトギャラリーからお気に入りのものを使わせていただいてます。

どうもこんにちは,まっつんです。


今回は,「滞納整理を行うにあたり」と題した第2回目。
滞納整理において,必ず成果につなげられる,重要な2つのポイントについてお話ししたいと思います。

滞納整理を進めていくと,ほとんどの案件で,次の2つの選択肢を迫られる場面がやってきます。迫られるというよりも,どちらを取るか決断しないとけない。と言ったほうがいいかもしれません。この場面を放置したり,逃げたりすると滞納整理の停滞を招き,いたずらに滞納を累積させてしまう結果になってしまいます。

その選択肢は,

『取る』 か 『落とす』

の2つに一つです。

まず,『取る』というのはどいうことかを説明しますね。
これは,滞納者に対して,その所有する財産を差押えすること。
です。
財産の差押えのことを『滞納処分』といいます。
法律でも,差押えしなけれなならない 滞納処分については義務を課されていますから,滞納発生時には,まず差押えをしなければなりません。

換価というのは,差押えした財産を売却するなどの方法で,現金化すること。充当とは,そのお金を滞納税等に入金処理することです。

次に,『落とす』について説明します。

滞納が発生したら,差押えしないといけないといっても,実際には差押え可能な財産が見つからなかったり,生活状況が極めて困窮している人たちもいたりします。そういう状態の人たちに対しては,いわゆる『執行停止』という手続き(処分)を取ります。
正式には,『滞納処分の停止』という呼び方をします。

これも,法律によって要件が規定されているので,それらの要件に該当する場合は,『執行停止』を判断することとなります。
執行停止後,一定期間が経過すると,その滞納者の納税義務も債権者側の徴収権も消滅することとなります。

不納欠損とは,それらの消滅した税金について,帳簿から消すための会計処理のことをいいます(不能欠損ではないので,注意してくださいね💦)。

滞納整理の現場においては,徴収職員の選択肢はこの2通りのみになります。

待つ とか 隠す などという選択肢はありませんので,勘違いしないようにしてくださいね。

待つっていうのはどういうことかというと,滞納額が高額で一度に支払いできない場合は,分割して納めていく方法も受け付けないわけではないのですが,月々の支払額が少額で完納までに何年もかかるような相談を,滞納者のいうがままに受け付けたりしているのが代表的な例です。

「支払いはしているのでいいだろう」
なんて言っている人もいましたが,こういうことすると延滞金がひたすら加算され続けることになるので,絶対にやってはいけません。

また,隠すっていうのは,これはほとんどないとは思いますが,以前にこんな事例がありました。

当時私がいた部署では,納期限が過ぎると,各担当に『整理票』というA5サイズの台帳のようなものが回ってきていたのですが,私が前任から引き継いだときに,デスクの引き出しの奥の方に未処理の整理票がいっぱい溜まっていたことがありました。空いた口が塞がらないような出来事だったんですが,

まさか,今の時代にこんなことはありませんよね……

こんなことは決してしないように,『取る』 か 『落とす』 かをしっかり見極められるように,日々の業務の中でスキルを磨いていってくださいね。


それでは,今日はここまでにしたいと思います。
次回の記事も楽しみにしていてください。


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[引用研修]
令和元年11月29日 須崎県税事務所管内地方税研究会 徴収事務研修会
『徴収事務について』~徴収率UPのための滞納整理の実務~

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