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 N分の1の罠、この世界を生き抜く。

  冬場、家時間が多いと床屋へいくのも面倒になり、大学卒業以来になるが、髪を伸ばし続けている。ついに結べるようになった。しかし。どんなスタイルにしたいのか全く落としどころが分からない。
夏場は暑いので切るつもりだ。エアコンなしで生活しているので、そうしないと頭が腐る。

   遙か昔1970年初頭、私が中3の時だ。
私は髪を伸ばすことにした。これは映画イージーライダーの影響だ。耳にかかる程度だったが、学校では完璧に不良と見られていた。
何故、こんなに長髪に風当たりが強かったのか、あの時代の雰囲気を知らないとその説明は難しい。
がさつな大人が沢山いた。今でもいるが、たまにネットでつるし上げされている。
そんな生活指導のヤクザみたいな体育教師に脅される。
「あまえ、明日までに髪の毛を切ってこい!」
「そうしないと坊主にするぞ!」
それでも切らずに私は卒業した。これは部活、サッカー部をきちんと部長としてコントロールしていたからだ。先生にも幾人か味方がいた。

 その後、高校と浪人時代は長髪だった。競技としてモトクロスをするようになるとヘルメットで髪の毛が潰れるので、パーマをかけるようになった。
それでも当時のリーゼントやパンチ、テクノカットは興味がなかった。
おそらく似合わない、それが一番の理由だろう。

  そして今、60才を過ぎると、髪の毛が消えた同級生もチラホラいる。
運良く髪の毛があるのなら、久しぶりに伸ばしてみるかと、そんな気まぐで伸ばしている。でも段々面倒くさくなってきた。

  ようやく本題、面白い式がある「1/N」
「1/nのnを無限にした時の、無限級数の和は発散する。このことを証明しろ。これは数学だ」
ここではNは実際の数として大文字としておこう。
N分の1 ちなみにN=相当大きな数字、100以上だとする。大きくなればなるほどゼロに近づく。つまり「1/N」の出来事は稀な事となる。

 最近見た動画において投資アナリストの山崎元さんという方が言っていた言葉が、頭に残っている。私は投資に興味はない、山崎元さん、名前だけは知っている。その程度だ。
「N分の1の成功の話など投資に何の意味もない」

 この話、たとえ確立が1000分の1でも、個人的には2分の1だと詭弁を言う人がいる。成功物語ではそれが通用するけど、実人生においては無理があると思う。
それは結果がでてからの話で、計画時にそれを言ったら、世の中全てギャンブル。統計学も経済学も不要となる。
「やってみなければ分からない、チャレンジ!」
捨て駒、噛ませ犬、色々表現はあるが、999人は討ち死にする。

 山崎元さんは食道ガンの闘病の末、今年のお正月に亡くなっている。だから本音を言っているとも思えた。
彼は癌の治療において、このN分の1の治療法にすがりたくなるという。でも経済学者として、それは全く意味のないことだと考えた。
これは同意しかない。

 あるかないかの話、そんなものに人生をかけることは出来ない。予想と数字を積み上げて「勝機があり」と思うことに注力する。そして、常に最悪のリスクを念頭においておく。
才能も運もないただの人。そんな私には、それしかメソッドはなかった。

私の暦
 私の学歴、都立の工業高校卒だ。2浪で日大の理工学部へなんとか滑り込んだ。学歴としてはタックル大学と馬鹿にする人が多くいる。
高校時代はクラスの半分が暴走族だった。それでも高卒の同級生はごく普通に結婚して、子供を大学に入れている。皆家持ちだ。
1/Nの運・才能なんかない。彼らは普通に地味に生き抜いた。

 私は3人の子育てと家のローン、教育費(中高一貫校、大学)、子供の突然の難病、癌になった親の介護、実家の土地問題の民事裁判、それらの全てを終えた。その間、40才過ぎでの退職と新会社の設立。また趣味(トライアスロンを30年現役)、アウトドアも遊び倒していた。

 たまにぎりぎりの事もあったが、常に正攻法。タスクを立てて長期工程表を作り、数字(金)と時間(納期)で判断してきた。また軌道修正の多い子供達の能力とか仕事の収入、各種パラメータ(危険値)は常に数字を変えて、軌道修正していた。

仕事
 仕事は米つきバッタみたいに頭を下げ、仕事を貰って、このクレームの多い世の中に信頼を築いていった。どんなに素晴らしい提案でもそれを実行する人間がクズだとまったく意味がない、さらに金だけで判断する入札は相当のリスクがある。
適正価格で信頼出来る人間と仕事をする。それが一番リスクのない選択。
それが自分の選択だった。

寿命
 自分の寿命も病気も、家系から予想していた。
親父、弟、心筋梗塞、狭心症を患っている。私も急性心筋梗塞になって倒れた。65才の誕生日の2週間前だった。
2日間ICUで生死を彷徨。これは先の2分の1の確立だ。結果として生きるか死ぬかの2択しかない。

 なんとか生き残り復活した。
これは体のトレーニングを永遠と続けていたおかげだ。貯金と同じで毎日の地味な積み上げが、いざと言う時の差となった。

瞬間風速
 N分の1の成功者をうらやんでも意味がない。
一方、その成功を続けていくには人生は長すぎる。会社を作って、その会社を10、20年と続ける。それにはかなりの努力が必要だ。私はこれまで色々な社会の繁栄と衰退を見ている。年収1千万超え。これが瞬間風速であることは多い。

 毎日のほんの少しの努力(正しい努力)をするしかない。
ステロイドで鍛えた見栄えのいいマッチョより、何時間も走り、歩き続けるアスリートを目指す。

 トライアスロンを30年以上やってみて分かったことがある。
強い選手は見た目が普通の人が多い。凄いバイクやウエア、筋肉自慢では勝てない。地味な毎日の積み重ねで勝負がつく。そんなスポーツがトライアスロンだ。
それが魅力で30年続けていた。

こんな話であるが、これも1/Nの話だってことかぁ、迷宮だね。

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