のこのこ

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新田樹 Sakhalin

かつて日本統治下において樺太とよばれた大地に今を生きる人の姿を収めた写真集『Sakhalin』。過酷な背景を背負いながらも生きる人々の姿が収められた写真と、被写体にためらいながらもそっと寄り添っていこうとする写真家の言葉が綴られている。 戦争に翻弄され自分が望む大地で生きることが困難だった女性たちの葛藤や怒り、悲しみを思い、自らが日本人であるということを問い返さずにはいられない。たしかにこの写真集に収められた写真は、戦争とその痕跡を明らかにしてくれる。 ただ、展覧会場を見

    • 一人の劇場人の願い

      この期間に色々な舞台作品をオンラインを通じて見ることができた。大好きなミュージカルを何度もみたり、本当に楽しかった。 もう直ぐ劇場がオープンするのかなと思うと、正直怖い。この状況で万全な感染対策ってなんだろう、もし感染者が出たら、自分が家族に移してしまったら、、お客さん、そして従業員の安全は守られるのかな、そんな不安を拭い去ることができず本当に再開することが正しいのかと疑問を投げかけたくなります。 ただ、それでも私は今だからこそ劇場に実際に足を運ぶことの素晴らしさは伝えて

      • 二つの伝統芸能作品 歌舞伎と文楽

        昨年になるが、歌舞伎と文楽の景清物を見た。ほとんど日本の伝統文化に馴染みがないため、勉強の必要性を感じ感激したものだ。詳しいことはわからないが、景清物という平家の武将であった景清という人物をモチーフに作られた狂言を景清物というらし。 簡単にストーリを説明すると、源氏に敗れた平家に遣えてた勇猛な武将である毛撃世はその力を源氏方にも認められ、源氏方につくように要求されるも、自身が遣える平家への忠義を果たすために、自らの目をつぶして孤島に行き生涯を過ごす覚悟のうえ、一人詫びしい場

        • 生きる意味を探って。。劇場から

          なんのために私はいるのだろう。今、私たちにできることは何なんだろうか。この劇場という場所で、私たちが未来のために今を生きる人のためにできることはなんだろう。そして、私自身はなんのために生きているんだろう。そんな疑問がこのコロナの騒動による自粛期間中に何度も脳裏をよぎった。 現在の私は正直、日本の文化政策に対して絶望している。多くの人が知らないところで流れる何億ものお金。一部の利権を持つ人だけが享受できる恩恵、そしてそれらを独占しようとする人々のあり方。これでは日本の文化は衰

        新田樹 Sakhalin