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「各種検定のための語学学習」ってどうなの?

「検定のための勉強」。つまり、英語でいうところのTOEFLやTOEICの点数を上げるための勉強、韓国語で言うところのハングル能力検定やTOPIK合格目的に勉強することってどうなの、というところについて、掘り下げてみたいと思います。




私と語学学習との関係

そもそも「パラレルキャリア」というものは報酬が生じるもののみならず、自分自身の学びやスキルアップといった「自己投資」も含めて、本業と同じくらいのエネルギーを費やしているものも該当します。私にとってのそれが「韓国語学習」
今の私にとって韓国語が医業に必要であるわけでは「当然ございません」し、今後それが収入に繋がるのかどうかも「わかりません」。

けれども、確実に今後の自分の糧になるものだ、と思い、少しずつですが続けています。ありがたいことに、英語がそこそこできるおかげで、韓国語で到達しなきゃいけないレベルがいかほどのものなのかが、わかる。韓国語のお勉強を通じて「英語がなかなかできない」人の気持ちもちょっとわかる。どこで挫折するかも、なんかわかる。


「検定のために勉強」の是非

外国語学習ーーどこから、どうやって始める?』にて、m3編集部からもギモンが飛び出していた外国語学習の「とっかかり」について書かせていただきました際、
研修医しながら、ハングル検定3級受けたらポーンと受かってしまい、よし!この勢いで準2級まで頑張っちゃおうかな!?と「調子づいちゃってた」のですが、
研修医が終わって、ようやく「医学」を煮詰めないといけない段階にきたことと、ハングル検定準2級から、覚えなくてはいけない単語が膨大な量となってしまい、なんかつまらない、と挫折したことから、専門医取得まで韓国語の勉強を中断することとなります。

ここでポイントとなるのは「検定のための勉強」の是非。これ、何が正しいということについては一概には言えませんが、この類いの試験というものについて一つ申し上げるとすれば、

上級に合格しているとしても、その言語がペラペラだとは限らないけれど、
その言語がペラペラの人がこれらの検定を受ければ、勉強や対策をしなくても高得点が取れるようにできている。

ってことは知っておくべきだと思いますね。


日本語能力試験で一番ランクの高いN1レベル、これは日本人でも満点は取れないほど難しいそうなのですが、それに合格した外国人が、いざ日本に来たら、周りがしゃべっている内容がほとんどわからなかった(つまりは自分も話せなかった)、という「証言」もちらほら見かけました。

そう言われてよく考えたら、わからなくもない。だって我々にしても、普段から日本語の教科書に書いてあるような表現で話してはいないじゃないですか。私のこの記事だって、日本語をかなり崩して書いているので、外国の方には相当読みにくいはずです。


私はほぼ未対策でTOEICと大学入試センター試験(今は共通テスト)を受験しましたが、TOEICはぶっつけ本番で850点、英語のセンター試験は満点。韓国語能力試験=TOPIKも、この間、腕試しに初級の過去問(点数に応じて1、2級に振り分け――TOPIKは6級が一番上の級です)を解いてみたら、ほぼ満点が取れました。

が、英検準1級に関しては、ちょっと語彙力が足りなくて、単語を追加で覚えるという「対策」をして臨み、合格できたといえばできたのですが、実際に英語を使用するとき、それら追加で覚えた単語は未だに使いこなせていません。


このように「試験」というものはどうしたって、本来の実力は別にして、ある種のテクニックを駆使できれば受かってしまう側面は、あると思います。

試験を目標にモチベーションを高めるのは良いことだとは思いますが、試験を目標とした勉強の仕方だと、そこで高得点を叩き出せても、果たして「実地で通用するかどうか」は別問題である、ということは頭に入れておいたほうが良さそうです。


ということを、英語勉強の経験からわかっていたので、私は「ハングル検定準2級のための勉強」は、さっさと切り捨てたわけなのでした。


「あえて」テキストから入らない!

私が韓国語を学ぶ理由は、旅先で韓国人と意思疎通をはかりたいから。しかもなるべく韓国語ネイティブの方のような、自然な表現を使うというのが絶対条件。

基礎の基礎こそ、テキストや個人レッスンを頼りましたが、気づいたらハングル検定3級に合格し、TOPIK2級もスラスラ解けるようになった段階から、テキストや韓国語レッスンはいったん「捨て」たわけです。

だって、検定を目標にしない、と決めた以上、テキストから入ったら、絶対途中で嫌になりますよね? 日本の英語教育がまさにそうじゃないでしょうか。韓国語のテキストに書いてある例文だって、This is a penしかり、日常会話や旅行先では、あまり使わないんじゃないかな、っていうフレーズばかりですもん笑。

韓国語レッスンも!? はい。先生方はこちらに合わせてゆっくり、教科書通りの話し方をされるし、いざとなったら日本語が出てきてしまうこともあるので、おおよそ実践的ではありません。少なくともいったんはそう考えました。

なので、ここから先は韓国語のテキストや教科書、じゃなくて、韓国のバラエティー番組、K-POPの歌詞や、ドラマでよく耳にする会話のフレーズを教科書にしてみることにしたのです。

つまり英語でいうところのThis is a pen的なところじゃなくて、“Hi!(おっす!)”“See ya!(じゃあね!)”“What’up?(最近どうなん?)”“Seriously!?( マジか!?)“It’s on me(奢るで。)”といったあたりから入っていく、ということです。

あくまで生身の韓国人が話している内容を理解すべく、動くということ。幸い今はネット配信がどんどん進化しているので、いったん日本語字幕で見たドラマを、2度目は韓国語字幕を出して、あとはひたすら口に出してシャドーイングの日々です。


その後あらためて見直した「テキスト」「レッスン」「検定」

こうしていったんは「捨てた」テキストとレッスンではありましたが、結論から申し上げると、その後、韓国旅行中に本屋さんで延成大学(日本で言うところの早慶みたいなランクの、韓国の大学)が作成したテキストを購入しましたし、週1回、マンツーマンのオンラインレッスンを受けております。

というのも、そのオンラインレッスンの先生から、

『いったんはきちんとした文法を頭に入れてから、ドラマを観たり、会話やシャドーイングなどの“アウトプット”をしたほうが、実力が上がるのが早いですよ』

という「目からウロコ」なアドバイスをいただいたから。

実は私、韓国語教室向けに韓国語学習のコラムを月に1回書き下ろしておりまして、その関係で、お試しレッスンを受けるに至ったわけなのですが、そうでした!「型を知ってこそ初めて型を破れる」以前ブログに書いてたじゃんww
カチッと習ってから会話を崩していくべきでした。
テキスト、検定、レッスン、ドラマ鑑賞…このアドバイスをいただき、これらの関係について、いろいろと腑に落ちました。

そして「検定のための勉強ではなく、生きた韓国語を学びたい」という軸がしっかりした今、なるほどこうして「教えることのプロ」目線のアドバイスをくださる方であれば、レッスンも有益かもしれないと思い直しました。そもそも日本に住んでいるとなかなか韓国語で会話をするチャンスがない中、オンラインまたは対面で、しかも必ずマンツーマンで!「生きた会話」重視でレッスンいただける、ということで、お試し後の通常レッスンを申し込むに至りました。

延成大学のテキストも「教えることのプロ」が書かれているテキストであることが一目でわかったので「即買い」。ドラマやK-popなどの「生きた教材」を見直すのに一役買ってくれそうです。

そもそも、動詞の不規則活用とか、助詞とか、「舌から記憶」させないと、もうこの歳じゃ絶対覚えきれないですからね。そして、ちょっと長いセリフが出てくると、やっぱり基本的な文法は知ってなきゃダメか、と、文法テキストや構文を見直す、というやり方でも全然遅くないかなと思い直す部分もありました。

しかし「テキストが主役」にならないよう注意はしています。あくまで必要最低限をさらっとだけで、じっくり読み込んだり、やたらと法則を覚えて問題を解くことに時間を費やしたり、日本語訳や作文のところを真面目に解くのに必要以上の時間を割いたりはしません。だってそんな時間があったら「生きた会話」をヒアリングしたほうがダンゼン“良き”ですから。

ハングル検定やTOPIKについては「実戦を重ねた結果」気づいたら受かるレベルになっていた、で良いかな、と思っています。

これ、英語や他の言語に置き換えれば、留学を考えられている先生方に、当てはまる部分があるのでは、と思いますがいかがでしょうか。


言語はあくまで「手段の一つ」

結局やっぱりこの考えに戻るんですね。やっぱり韓国語を話せることにしても、検定に合格することにしても、それを目的とするのではなく「手段の一つ」としてとらえること。

私だって、渡韓した時に、日本人が入り込めない、よりディープな世界(主に飲食店。笑)に入り込みたい、そのための「手段」として勉強するわけです。英検やTOEICにしても、たとえばより良い条件で就職するための「手段」としてならば、やはりそのために対策することは大事だと思います。

それにしたって、韓国語にしろ英語にしろ、普段日常で使用する言語ではない場合、モチベーションの維持が難しい。気づいたらレッスンのない日は韓国語に触れずに終わっている…これ、どうしたら良いの?

次回以降はその辺りを深堀りしていこうと思いますよ。お楽しみに!

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