離れてみると余計わかる、確実にカモられている医師の特徴
メディア連載という形で、医師としてのキャリアとブロガー&毒舌コラムニストとしてのキャリアについて、毒を交えながら展開しております。
今年2月上旬、正式には3月いっぱいまで有休消化していましたが実際はもう2月あたまから「毎週◯曜日」という働き方を一切取りやめ、主に週末に“日雇い”スポットで医師として勤務し、平日を中心に月5日~10日は海外(だいたい韓国)、残りを東京の自宅で過ごす、という生活となりました。
で、いざフタを開けてみてとりあえず2ヶ月、今のところ「なんだ、これだったらもうちょっと早くこうしてもよかったと思っています」というところまでが前回(とうとう「医師は副業」実現!? 「もっと早く“医者”やめておけばよかった」)でした。
まだ日雇いで「医業」を続けてこそいますが、自分にとってはもうすっかり「お小遣い稼ぎ」「副業」となり、「医師は同業」という自覚はほとんどなくなって「ちょっと離れたところから俯瞰して拝見させていただく対象」となった、ということも書かせていただきました。
そんな背景もあり、今回から数回にわたり、今の私が把握している範囲で「医師にとって“痛い真実”」を見つめていきたいと思います。
今、この立場になって学んだのは、
医師に圧倒的に足りないもの
ズバリ「医学以外の分野が弱すぎる」。
そう言ってしまっては元も子もないのですがw 話を進めるにあたり、もうちょっと絞ってはいきますよ、いきますけど、でも本当に、やっぱりそうじゃないかな、と。
フリーランス初期の頃の今より圧倒的に無知だった自分を振り返って、また、Web稼業において医師である自分に興味を持つ企業さんをいろいろ相手にしてきて、さらに、医師のクライアントさんを持つようになって、そう実感することが本当に多いのです。
まあもうすでに、医師といえば「税金対策のマンションの営業電話などで、悪徳な業者にカモられている」といったイメージがみなさんのなかにもあるかもしれないですが、実はもう悪徳業者のみならず、一般のあくどい企業からも、足元を見られているんですよ。
実際私にも「なめてんのか、オイ」と言いたくなるようなオファーが、たくさん来ますw が、平然と彼らは言うんですよ。「この条件でお仕事を受けてくださる医師、たくさんいるので」と。
逆に「お仕事を受けたはいいが、報酬を踏み倒されて……」という医師のお話も耳にしました。いや、それは確かに、個人事業主あるあるなんですが、ちゃんと交渉して防ぐ方法が、あるんですよ……。それなのになぜこうなるのか。
私の周囲のWeb業界界隈でも医師がどんどん「買い叩かれ」はじめていて、あらゆるところでナメられているのを目にします。しかもご自身が被害に遭っている、カモにされているというご自覚すらないのでは?――そんなふうにも感じる事態があちらこちらで、起こってきているようです。
見慣れない単語を聞くともう「他人事」それがダメなのよw
「Web業界って、私には関係ないし」と思ってしまいますかね?
しかし、開業されたらホームページを立ち上げるでしょうし、SNSも運用するかもしれない。
Webメディアの取材を受ける可能性はゼロですか? 医療系記事の監修はどうですか?
私の記事、ではなくて、もうちょっと下手くそな人の記事を読んで(笑)、「これだったら私もメディアで書けるかもしれない」と思ったことはないですか?
こうした業界で業者にぼったくられ、報酬は買い叩かれ、時に報酬を踏み倒されたりしてる医師がたーくさんいるのですよ。私も医師のクライアントさん相手に「あらぬ感情」が芽生えてしまうことが決してない、とは言い切れません(笑)。
なぜなら、
「交渉力」「マーケティングの知識」が圧倒的に足りないから
「正確には“交渉力”もマーケティングの一部では」という説もありますが。
マーケティングとは、一言でいうと「売れる仕組みを作ること」です。「顧客に売りたいものの価値を伝えること」「顧客からニーズを引き出すこと」。
Webマーケティングがその一端を担い、ホームページやSNSはWebマーケティング手段の一つ、という位置付けですね。
マーケティングの知識をつけることの醍醐味とは「うまくいけばセールスする必要がなくなる」ということ。自分から「買ってください」ってお願いしなくても、「売ってください」というオファーが止まらない状態になる、ということですね。そのための手っ取り早い手段の一つがホームページやSNS、というわけですよ。
マーケティングについて語るときに、どうしても一般的には「売れる」とか「顧客」という言葉がメインになるから、医師の先生方にとっては他人事になりがちなわけです。
が、しかし、売りこむのは「医師である自分」、顧客とは患者さんのみならず、医局の同僚や上司、勤務先のスタッフやSNSの自身のフォロワーさん、となれば、途端に当事者意識が芽生えませんか? 「自分の能力や独自のサービスが売れる仕組み」というのは、この延長上にあるんですよ。
報酬の交渉力なくして、どちらでどういう条件で働くつもりですか?
あら、「就職はしません。開業される」と? であればなおさら“マーケティングの知識ゼロ”じゃダメなのです。
「士業」と同じ感覚ではいかんのです!
本当だったら“マーケティングの知識”に法律、税金の知識も付け足したいところですが、このあたりはお金を払って「丸投げ」でも、まだ安心なんです。というのも、彼らもそれなりの知識を持ち、かつ医師と同じく一般の人以上に法に縛られている人間ですので、それなりの常識や良心を持ち合わせていらっしゃいますし、もちろん法律から派手に逸脱した行為はできませんから、まだ安全性は高いのです。
しかし、交渉力とマーケティングの知識については、これはもうね、お金で誰かにまるっと任せるのは危険なのですよ。
なぜなら、士業と違って国の法律にそれほど縛られていない業務を「お金で誰かに任せる」段階で、相応の知識がないと、その時点からもう、カモられてしまうからです。
医学だけでは太刀打ちできない
医師に限らず、もうどの職業でも「マーケティング、マーケティング」と、ここを通らずにはいられないご時世になってきています。ボーッとしていると条件のいい仕事や「きちんとした」取引先は、どんどん人に取られていくし、最悪、その事態に気づかず終わるということにもなりかねません。まあ、知らないままでいられるのは幸せ、かもわかりませんけれども。
実際に医療機関の外で、医師が各企業に「買い叩かれている」のを目の当たりにしているこの状況について、次回以降は、より具体的な部分に触れてみようと思います。お楽しみに!
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