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思考の整理学 を読んで 思考について深く思索してみる

ここのところ読書ノートの新ワークフローについての記事が続きました
 

そんな中で、ふと外山滋比古氏の著作を積ん読している のを思い出しました。

氏も、思索、というテーマで何冊か著作を残しています。
その中の一冊を読んでみました。
その書評です。

では、書籍のメタデータを貼っておきますね。

今回も読書ノートからの書評ですので、小理屈野郎の読書ノート・ローカルルールの凡例を以下に示しておきます。

・;キーワード
→;全文から導き出されること
※;引用(引用の背景で示されていることもあります)
☆;小理屈野郎自身が考えたこと


書名 思考の整理学
読書開始日 2022/07/28 11:05
読了日 2022/07/30 11:05

読了後の考察

あとがきでも書いているように、基本的にはハウツー本ではない 。思考、ということに対する哲学的な思索が集まった本である。
学校での教育は、「手引き」があって進むもの。これで今までは問題がなかった。
今後は(現在進行形だが)コンピュータという人間の能力をある面で凌駕するものが出てくるので、それにその面は任せるとした場合に、どのように思索などを行っていく必要があるか、ということをいろいろな事例から学んでいく。
思索は、一直線で進むものではなく、途中で熟成が必要 であること。これは自分がnote記事を執筆するときに非常に感じていること だ。このようなことを個人的に経験してきている、ということは思索の訓練はそれなりにうまくいっているのではないかと考えている。
今後も、この思索の訓練を継続していければと考えた。
さらに、氏の知的情報の整理法は、やはりこちらもZettelKasten法をアレンジしたものである ことがわかった。
結局、知的情報の整理、そしてそこからの「発酵物」としての思索や思考は、このZettelKasten法に収斂してくるのではないか と考えた。個人的な読書ノート作成は、少し手間がかかり時間もかかるが、これをいとわずに丁寧に読書や思索をしていきたい。

キーワードは?(Permanent notes用)

(なるべく少なく、一般の検索で引っかかりにくい言葉、将来もう一度見つけてみたいと考えられる言葉)
グライダー 飛行機
発酵

概略・購入の経緯は?

外山滋比古氏の他の著作を読んだ後に購入していたが積ん読になっていた。
今回、ZettelKasten法を勉強したときに、氏の話が出てきていたため、読んでみることとした。

本の対象読者は?

思考することに興味のある人
思考や知識の蓄積に興味のある人

著者の考えはどのようなものか?

グライダーと飛行機

→グライダー的学習

学校の生徒は、先生と教科書に引っ張られて勉強する自学自習という言葉こそあるけれども、独力で知識を得るのではない。いわばグライダーのようなものだ。自力では飛び上がることはできない。
学校はグライダー人間の訓練所である。
優等生はグライダーとして優秀

☆やらされ感は必ず出てくる。比喩としては非常にわかりやすく、感心した。

→飛行機的学習

自分でものごとを発明、発見する。

☆自発的学習、やらされ感のないもの。

昔の教育

師匠の教えようとしないものを奪い取ろうと心がけた門人は、自分で新しい知識、情報を習得する力を持つようになっている。いつしかグライダーを卒業して、飛行機人間になって免許皆伝を受ける。

☆昔の教育は最初は最初から飛行機的学習を進めるような方法 になっている。
これは表層的に見ると、何も教えない、ということになるので、現在では非常に受けが悪い。おそらく学校教育がスタンダートな手法と考えられているからだろう。
世相も問題なのかもしれない。

思索と発酵

大きな問題なら、むしろ、長い間寝かせておかないと、解決に至らない。(中略)すぐ答えの出るようなものは、たいした問題ではない(中略)本当の大問題は、長い間、心の中で暖めておかないと、形をなさない。

→☆これによい影響を与えているのがポメラ上の「ネタの断片」や「ネタ」としてファイルを作っていることではないだろうか。
中にはかなり放置されているものもあるが、ものになったものも多い。

思索の進め方

新しいことを考えるのに、すべて自分の頭から引っ張りだせると思ってはならない。無から有を生ずるような思考などめったに起こるものではない。すでに存在するものを結びつけることによって、新しいものが生まれる。

→☆「新しい発想とは、既存の発想を組み合わせたもの」 ということを別の言葉でいったということだと考える。
実際、ZettelKasten法を考案した人も、発想をZettelKastenを使って組み合わせることが容易にできた、ということも証左だ。

著者はZettelKasten変法を編み出した?

著者は独自に開発したのだと考えているが、よく見てみるとZettelKasten法の変法、と考えることもできるように思われた。

1.まずはアイデアノートを作る。
思いつくアイデアはすべて書き出しておく。手帳を使っているとのこと。
2.出てきたアイデアを時間というふるいに書る。
アイデアノートの中で筋がよさそう、脈ありそうなものを別のノートに写す。
著者はアイデアノートと同じ手帳を使っているようだ。このとき、関連ある深部にゃ座zっしの切り抜きなどがあれば、貼っておく。
3.さらに寝かせて、何か文章が書そうなら書く。
書くタイミングとしては※何でもよいから、自由にお書きくださいという原稿を頼まれたときなど。
原稿が書たら印をつけておく。これでこのメモの一生は終わり。

さらに、寝かせているネタについてはメタ・ノートを作る
要するに索引でないか 、と考える。
これでコンテクストの変化に対応する、とのこと。

著者は、アイデアをメモしておき、そのアイデアで生きるものだけアイデア帳にスクラップ。それを肥やしていくことによって、思索を行っていたようだ。

ノートやフォルダ(カステン)の作り方などZettelKasten法にかなり似ているように思われる。

☆情報を整理して使えるような形にしよう、という方向で活動すると、結局ZettelKasten法に行き着くのではないか と考えた。
このような方法は、あくまでも個人的なもの、として捉えていたので特にまとまった学問や手法とはなっていなかった、というのがこのような状況になっている原因ではないかと思われました。

思索がしやすい環境

☆思索について

三上

馬上;馬の鞍の上、ということ。現在なら電車に乗っているときに当たるのかもしれない。

枕上;寝ているとき、ということだろう。睡眠をとることによって、思考が収斂したり、まとまったりすることが多い。

厠上;トイレの中、ということ。これは個人的にも感じるし、これをいっている人も多い。

☆文章上達の秘訣三カ条

三多

看多;多くの本を読むこと

倣多;多くの文を作ること

商量多;多く工夫し、推敲すること

☆情報量について

情報過多といわれる社会に生きている。どうしても不必要なものが、頭にたまりやすい。夜のレム睡眠ぐらいでは、処理ができないものが残る。これをそのままにしておけば、だんだん頭の中が混乱し、常時、「忙しい」状態になる。

→☆この時代(1980年少し手前)から情報過多について意識していた、というのは慧眼に値するのではないかと考える。

☆散歩

ヨーロッパの思想家には、散歩学派が少なくない。散歩のよいところは、肉体を一定のリズムの中に起き、それが思考に影響する点

→☆海外の経営者の中では(特にスタートアップ企業の経営者)、散歩しながら経営を考えて、妙案を思いついている人が多いような気がする。
上記を実践しているからだろう。

☆入浴

一般に入浴中は精神も昂揚する(中略)思考にとっても決行を盛んにする入浴が悪いはずはない

→☆時折入浴中に妙案が思いつくことがある。しかしこれの難点はすぐにメモがとりづらい環境 であること。
なんとかとれるような方法を考えたいものだ。

読書と社会人

読書をしないと、ものを考えるのが困難なのは事実だが、忙しい仕事をしている人間が、読書三昧になれる学生などのまねをしてみても、本当の思索は生まれにくい。行動と知的生活とをなじませることができなければ、大人の思考にはなりにくい。

→☆物理的現実を第一次現実、情報によって作り上げられる観念上の世界を第二次現実と定義している。
第二次現実はほとんど文字と読書によって組み立てられた世界であったが、現在は、テレビの影響を受けていびつになっている。最近であればインターネットやVRなども含まれてくるのではないだろうか?
その上でサラリーマンの思考は。第一次的現実に根を下ろしていることが多い と著者は考えている。翻って学生は、本に根がある場合が多く、第二次現実を土壌として咲く花 と定義している。生活に実感がないため第二次現実の上をふわふわしていると考えている。
その上で

仕事をしながら、普通の行動をしながら考えたことを、整理して新しい世界を作る。これが飛行機型人間である

と定義した。社会人こそ実現性のある、そして根のある発想ができる と考えている。
この考え方には非常に納得がいくし、力をもらえる。

収斂的思考と拡散的思考

収斂的思考;

学校教育は、主として収斂生による知識の訓練を行ってきた。

☆基本的に学校では正解を教えてきた 、ということを別の言葉で表している。

拡散的思考;

デマとか風聞、噂といったものは、この拡散か作用の程度が大きくなったときに見られる。

☆自分の考えを(場合によっては)闇雲に乗せていく、ということが拡散的思考。

☆どちらも大事。ある程度拡散的思考をした後で、収斂的思考をすることによって、思索が完成する 、ということ

その上で

収斂的思考は思考の半分に過ぎない。しかも受動的半分である。創造的半分は拡散的思考、つまり、誤解を恐れず、タンジェントの方向に脱出しようとするエネルギーによって生み出される思考である。

としている。

☆拡散的思考は能動的なので、使い方は問題になるかもしれないが忘れては池ないし慎重に使う必要がある、ということだろう。

その考えにどのような印象を持ったか?

どれも、自分のデジタル読書による思考の変遷から考えると納得がいくことが多かった。
発酵させるのに時間をしっかりおく必要があること。そしれそれを恐れないこと、など日頃不安に思っていることをいくつか解決することができた

類書との違いはどこか

思考について哲学的思索を行っているところ。
ノウハウについてはほぼ述べず、原則論について終始しているところ

キーワードは?(読書ノート用)

(1~2個と少なめで。もう一度見つけたい、検索して引っかかりにくい言葉を考える)

思索環境

文章上達のコツ

まとめ

文章の調子が少し堅かったので、読むのに時間と労力がかかったが、非常に示唆的な文章だと感じた。


いろいろな人の知的生活に関する著書を読んできましたが、根底には明示があるかないかにかかわらずZettelKasten法が頭を持ち上げてくるようです。

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