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しらふで生きる 大酒飲みの決断を読んで お酒を断って人生を見つめ直す著者の視点を見る

今度の書評は、著作として非常に興味深かったのでアップしようと思います。
そして読書ノートとしては、最新のものを使ってできたノートとしてご覧いただけると幸いです。
新しいフォーマットでは著作に関する質問が追加されたので、それが呼び水になって感想などを引き出しやすくなったと思います。
因みにノートを書いたのは読書後すぐでした。
あと、本文中で文頭に記号が付いているものがあります。これは私だけの暗号みたいになっています。
凡例は以下の通りです

  • ※;本文からの抜き書き

  • →;要するに

  • ☆;自分の考えたこと

としています。このあたりはご自身ででカスタマイズすれば良いと思います。最初は自分でもどれをどんな記号にしたかが分からなくなることがあると思いますのでメモに凡例として書いておき、しばらくノートをつけていると自然に憶えてしまいます


読書ノート

書名 しらふで生きる 大酒飲みの決断
読書開始日 2022/01/05 17:43
読了日 2022/01/06 16:44

感想

概略

倉下氏の著作の中で出てきた本。大酒飲みの作家が禁酒をしようとした話、とのことだったので興味があり購読した。

読了後の考察

単に禁酒の本ではなく、非常に哲学的な話でもあったと思う。
今回は下戸と酒飲みの間の揺れ動きの話だったが、これは犯罪者と一般市民等にも当てはめられるのではないか?
つまり正気と狂気というのも紙一重、ということだろう。
著者は禁酒した理由をはっきりとは書いていないが、禁酒したときに考えたことに2/3ぐらいの紙幅をさいている。
その後に、禁酒したからよかったなと思ったこと、そして悪かったと思うこと、さらに変わらなかったことを列挙している。
禁酒の理由を詳しく書いていないところにかえって読者に思考の隙を与えていると思う。これはすごいレトリックだと思った。
禁酒をしていて耐えていることを描写している部分は、かなり哲学的な話になってくる。禁酒をしただけでここまで深く考えているというのはやはりすごいと思う。だからこそ書籍になっているのだろう(もちろん著者の文筆力もあるが)

酒でいろいろなことを忘れるのも悪くはないがそれで損をしていることもあるのだと言うことを明記しておきたい

質問1 購入の経緯は?

倉下氏の著作の中で出てきた本。大酒飲みの作家が禁酒をしようとした話、とのことだったので興味があり購読した。

質問2 本の対象読者は?

酒豪、下戸で飲酒にいい意味でも悪い意味でも興味のある人。
正気、狂気の境目について考えてみたい人。
等が対象者になると思う。

質問3 著者の考えはどのようなものか?

酒を飲んでも一瞬の幸せしかない。その後の二日酔いなどでしんどい。
幸せというのは偶然現れるもの。そして不幸の裏側。そして相対的価値のもの。常に追い求めていればどんどん肥大してしまう。淡泊に生活するほうがよいのではないか?
お酒をやめられたからと行ってエラいのではない、いつでも元に戻る心配がある。

禁酒をできた自分は優れているのではない。優れた、という風に考えるのは他人と比べているから。このような姿勢が一番いけない。このような姿勢にならないようにいつも人と比較しないようにしなければならない。
ちょっとアホぐらいと考え得ておくのが一番よい。
禁酒したと言うことは個人的なこと。それを誇る必要も無いし宣伝する必要も無い。

人生というのは寂しいもの。楽しいものではない。ごく一部の人が楽しんでいるのだろうが、それを皆がまねをする必要は無い。最初から寂しいもの、と思っているといろいろなものが幸せに見えてくる(→☆幸せとは相対的基準から生まれるものだから)

「自信の情緒は、本来、防塁で固めて、決して敵前にさらしてはならない部分であるが、怒っている人は、これを無防備にさらけ出してしまっている」
☆感情を表に出すことはあまりしない方がよい。
→感情を表に出す指導者は避けるべき。

・感情をコントロールするには
→著者のアプローチは「自分を普通以下のアホ」と認識改造をすること。
☆なるほど。普通の哲学書だったらこのあたりの著述を抽象化して書いているのですごく理解がしにくいのだと思う。これはドストレートでよく分かる。
この姿勢をもっておれば、学ぶ姿勢にもなり、多くの学びも得られる。→ただし自分自身の切り下げはほどほどに。
「他人に比べてあまりにも安くなりすぎないように周囲の動向をよく見極め、あまりにも安くなりすぎたな、と思ったらその時点で自分自身を切り上げるような措置を講じるべき」「極端に自分をアホにしないこと

「自分がアホであるか賢児であるか。自分が内面的に豊かであるか貧しいか。それと他人とは関係が無い」
→☆結構忘れやすいところ。自分も結構忘れているときがあるのではないかと思う。あくまでも自分の中での評価にとどめる。強いて比べるなら過去の自分だろう。

  • 禁酒の利得
    1.ダイエット効果
    2.睡眠の質の向上
    3.経済的な効果(費用を浮かせることができる)
    4.脳の機能の向上(頭がすっきりすることによる作業効率の向上など)
    5.(作者はあげていなかったが)精神的なゆとりが出てくる→そこに意外な喜びや驚きがあると気づいた。

禁酒期間が長くなれば長くなるほど脳の機能が上がるように感じている。

・禁酒をしても人生の寂しさは変わらない。
※「禁酒をしたその際、禁酒を前渡しあるいは正とし、飲酒を悪としあるいは邪として、酒徒を論難したり排撃したりするのはやめて欲しい」
→☆あくまで個人的なこと。それと正気と狂気の定義の問題でもあるだろう。それを端的に示していると思う。

酒を飲むと賢い人がアホになる、そしてアホはもっとアホになる(後書きより)
なるほど(笑)

質問4 その考えにどのような印象を持ったか?

筆者の著述を見るとお酒を恒常的に飲んでいるときより、禁酒後の方がリラックスしていてなんだかかえって幸せそうには見える。
元々しっかりと思考ができる人だったのだろう。非常に理路整然としていると感じた。

質問5 印象に残ったフレーズやセンテンスは何か?

質問3の※印参照。

質問6 類書との違いはどこか

単に酒をやめた、やめられなかったという浅層な話ではなく、自分の状態を冷静に理論的に、哲学的に考え抜いているところがこの本の大きな特徴と思う。

まとめ

読書開始時と読了時の印象が全く違った非常に興味深い本だった。
新幹線通勤でせんべろを実践している小理屈野郎としてはちょっと立ち止まって考える必要がありそうな内容だった。


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