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ヤマタノオロチの伝承の地を巡ろう【島根県雲南市】

今回は前回の山形県天童市からのしりとりで、島根県雲南市とその名物についてご紹介します。


島根県雲南市は島根県の東部に位置し、人口は約3万8千人ほどの街です。
島根県の中では最も新しい市になります。
比較的静かで落ち着いた街ですが、雲南市は誰もが知る有名な日本神話の舞台になっています。

その有名な神話こそがヤマタノオロチ神話。
雲南市はヤマタノオロチ神話の舞台で、街の中のいたるところにヤマタノオロチの神話にそったスポットが多く存在しています。

今回はそのヤマタノオロチ神話に添いながら、雲南市の観光スポットをご紹介していきます。
神話が好きな方は、ぜひとも島根県雲南市に実際に行ってみてヤマタノオロチ神話のスケールの大きさを感じてみてください。
ヤマタノオロチ神話は川の氾濫が元という説や、神話に剣が出てくることから製鉄業と大和国との抗争が元という説もあります。今回は物語になぞらえてスサノオノミコト(須佐之男命)と八首の龍との戦いに沿っていきます。


スサノオノミコト、島根に立つ


スサノオノミコトは天照大御神の弟神で、高天原という天照大御神などの様々な神々が住む天界に住んでいました。
スサノオノミコトは当時とてもヤンチャでした。天界で暴れまくって混乱を招き、結果的に高天原を追い出されて地上に降り立ちます。
その時に降り立った場所が斐伊川の上流にあり、奥出雲町と鳥取県日南町を跨ぐ船通山です。


スサノオノミコト
船通山山頂からの眺め


クシイナダヒメとの出会い


とりあえずそこから上流に向かってみたスサノオノミコトは、一人の娘を囲って泣いている老夫婦に会います。その老夫婦に連れられていたのがクシイナダヒメ(櫛稲田姫命)です。

泣いている理由を尋ねてみるスサノオノミコト。
その老夫婦には元々8人の娘がいたが、毎年現れるヤマタノオロチに一人ずつ食べられてしまい、今ではこのクシイナダヒメだけが残っている。そして今年もヤマタノオロチが現れる時期がきてしまい、最後の娘もこのままだと食べられてしまうと言います。

ヤマタノオロチが住んでいた場所とされるのが、天が淵です。ここには蛇帯と呼ばれる赤と青色の筋がある石があり、これはヤマタノオロチの足跡とも言われています。

その話を聞いたスサノオノミコト。クシイナダヒメとの結婚を条件に、ヤマタノオロチ退治を買って出ます。

ヤマタノオロチは1つの胴体に8つの頭があり尾っぽも8本。目はホオズキのように真っ赤で、体にコケやヒノキやスギが生えています。大きさも8つの谷と8つの丘にまたがるほど巨大。
そのような巨大なヤマタノオロチをスサノオノミコトはどのように退治するのでしょうか。



スサノオノミコトの作戦

スサノオノミコトが立てた作戦はこうです。

①8回繰り返して醸造したとても強いお酒を作る。
②垣根を8つ建て、それぞれにお酒を置いておく。
③ヤマタノオロチに飲ませて酔っ払わせる。
④眠った隙に倒してしまう

思ったよりもセコい作戦な気もしますが、巨大なヤマタノオロチを倒すためなので仕方ないのでしょうか。

その時にお酒を入れていた壺のうちの一つと言われている壺が、雲南市にある八口神社にあります。


いざ決戦!

やってきたヤマタノオロチは、迷うことなく置かれた強いお酒を8つ全部ガブガブと飲み始めます。
そしてまんまと酔っぱらったヤマタノオロチ。酔っぱらったまま草枕山を枕にして寝始めます。

スサノオノミコトは酔っぱらって寝ているヤマタノオロチに駆け寄り、身体中を剣で切り刻みます。正々堂々な戦い方ではないセコい作戦かもしれませんが、山を跨ぐほどの巨体です。スサノオノミコトもさすがに正攻法では勝てなかったのかもしれません。

その時に尻尾を切った際に、一本の剣が出てきます。それがかの有名な天叢雲剣(アマノムラクモノツルギ)です。
天叢雲剣は別名で草薙剣(クサナギノツルギ)と呼ばれ、今では名古屋の熱田神宮に祀られています。
天叢雲剣を尻尾から切り出した場所が、尾留大明神旧社地です。


クシイナダヒメと一緒に暮らすことになったスサノオノミコト

かくしてヤマタノオロチを見事討伐し、クシイナダヒメと共に暮らす事になったヤマタノオロチ。
宮殿を作るために八雲山の麓に至ったところで、「吾此地に来て、我が御心すがすがし」と言ったことから、その辺りには須賀(すが)という地名がつきました。

その須賀に建立された須賀神社にて、
「八雲立つ 出雲八重垣妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」
と歌を一つ詠んだのが、日本で最初の和歌とされています。

スサノオノミコトとクシイナダヒメの間には多くの子孫が誕生し、その中のヤシマジヌミノカミ(八島士奴美神)の子孫が有名なオオクニヌシノミコト(大国主命)です。


雲南市全体と一部周辺を取り囲むように繰り広げられたヤマタノオロチ神話関連の地が、雲南市には多数あります。
ヤマタノオロチ神話を感じながら、雲南市を巡るのもとても楽しい旅になりそうです。
まだまだ紹介しきれていない雲南市の観光スポットはたくさんありますので、ぜひともこちらでチェックしてみてください。


次回は雲南市からのしりとりで、「なん」から始まる市とその名物についてご紹介します。
ここまで読んで頂きありがとうございます。

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