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図書館のエコシステム

最近、地域のまちづくりに関わる若手コミュニティ団体との協働で、図書館のリソース(場、職員、資料)を利用して、地域の人口減少問題を考えるワークショップや、中高生の未来応援イベントなどを実施している。
そうしたところ、このコミュニティのメンバーから、図書館の雑誌スポンサーになってくれる人達が出てきた。
コミュニティとの協働によって、雑誌スポンサーの獲得という思わぬ副産物が発生したという感じがした。

雑誌スポンサーとは、一年間の雑誌購読料相当額を支援することで、特定の雑誌のスポンサーとして雑誌の最新号のカバーや雑誌の棚に、企業等の広告を表示することができる制度(自治体によって多少の違いはある)のことである。地方財政の縮小に伴う資料費の減少を補うために、取り組む図書館も増えてきている。

図書館が個人や団体のエンパワーメントをしていたら、サービス対象者が雑誌スポンサーとして図書館の運営を支えるという、エコシステムが生まれているのだ。

ちなみにエコシステムとは、もともと生態系を指す言葉だが、最近では様々な分野でも相互に共存共栄していく仕組みとして、この言葉が用いられるようになっている。

雑誌スポンサー絡みでは、他にもこんなことがあった。
地域に開業したばかりの歯科医院が、図書館の雑誌スポンサーになってくれた。すると図書館の職員がその歯科医院に患者として行き、「図書館の広告を見て来ましたと言ってきた」というのだ。それも複数の職員が。さらに図書館のボランティアまでもが「私も図書館で広告を見たと言ってきた」と自らサクラをかって出ていたことが分かった。

本人たちにしてみれば、たまたま歯科医院に行く機会があって、「どうせならスポンサーになってくれた新しい歯医者さんに行ってみよう」と思ったのかもしれないが、サクラの効果があったのか、その歯科医院はさらに分館の雑誌のスポンサーにもなってくれた。

すっかり遅れを取った私も、先日その歯科医院に行ってきた。
「何かご覧になって来院されたのですか」と聞かれたので「はい、図書館で。てか、図書館の者です。」と身分を明かして雑誌スポンサーのお礼を述べてきた。ついでに5年ぶりに歯科検診とホワイトニングもやってもらった。

地域で支え合ってみんなで幸せになったらいいじゃないかと思った出来事だった。

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