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君に贈る 最後の【ショートショートnote杯】

待ち合わせの場所につくと、遅いと言わんばかりに手が差し出された。
苦笑しながら持ってきた花束を置き、横柄な要求にエスコートで応じる。
ダンスはいつも、彼女から始まるのだ。

ともあれ、せめて花を受け取ってからにしてほしい。
抗議はいたずらっぽい笑顔で黙殺された。

せっかくの広い空間だ、LODダンスマナーは気にしない。
奔放な彼女の動きに振りまわされるがままに任せる。リードなど知ったことか。

夜闇の中だが、やたらと明るい月が彼女の姿を際立たせる。
足もとに不安は無く、彼女の動きが手にとるようにわかる。

元々ダンスなど、やったこともなかったというのに慣れてきたものだ。
はじめのうちはよく、引っ込めそこねた足を踏み抜かれたものだった。

曲が終わり、手が離れる。
気づけば一度も足を踏まれずに終えた。はじめてのことだ。
足を踏まれるのは男側が悪いの、とよく笑われたものだ。
私が上手くなったということなら、良かったのだけれど。
一言呟いて、彼女のお墓に背を向けた。

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以上410字。幽霊には足が無いのだわ!

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