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「子供は大人よりも正義を知っている」という話

正義とは何か?そういったテーマは哲学でよく議論されています。「正義の反対にはもうひとつの正義がある」なんて話もありますね。
世界は善悪二元論で分けられるほど単純ではありません。
今回はアニメのヒーローに見る正義の話をしたいと思います。

正義のかっこよさとは何か
正義のヒーローと言えば、アンパンマン、悟空、ルフィ、ナルト、仮面ライダー、プリキュア等、日本のヒーローから、アベンジャーズ等の海外のヒーローまで数多くいますね。
彼らヒーローがピンチの時に助けてくれる姿はとてもかっこいいものです。正義のヒーローはかっこいい。しかし、ヒーローのかっこよさ、正義のかっこよさとは何でしょうか?
正義(のかっこよさ)について考えさせられるきっかけになった話があります。
それはアンパンマンの話です。


アンパンマンというといつも見ている可愛らしい姿を思い浮かべてしまいますが、今回取り上げるのは現在のアンパンマン(3代目)ではなく初代と2代目のアンパンマンです。

初代と2代目のアンパンマンはカッコ悪いのか
初代アンパンマンは現在の可愛らしい姿をしたアンパンマンとは全然違います。その姿はこちら。

(http://deco-pon.org/index.php/page/anpanmanより)

とても現在の可愛らしいアンパンマンの姿からは想像ができないような姿をしています。
お世辞にもかっこいいとは言えない、中年太りのおっさんの様な姿です。
初代アンパンマンは不格好なヒーローが子ども達にアンパンを配るという物語でしたが、戦争や飢餓など暗いテーマが多かったこともあり、あまり話題になりませんでした。
その後、出版社から「アンパンマンを子ども向けの絵本にしてみないか」と企画が持ち込まれ、作者である、やなせたかしさんは子供向けに2代目アンパンマンを生み出します。

2代目アンパンマン

(http://deco-pon.org/index.php/page/anpanmanより)

しかし、この2代目アンパンマンは大人達からは評判が悪く、「マントがボロボロでダサい」「不格好なヒーローが子供達にアンパンを配る話なんて読者にウケない 」「顔のアンパンをちぎって配るなんてグロい」 など散々な言われようでした。
当時は、「ヒーローとは見た目がかっこよく、悪者を倒してこそ正義のヒーローだ」という価値観でした。
きっと、「アンパンマンは痛快に悪者を倒さないし、見た目もかっこよくない、だから正義のヒーローではない」と思った大人が多かったのでしょう。
しかし、子ども達は違いました。
意外にも、子供達には不格好なヒーローがアンパンを配る話がウケたのです。
「お腹を空かせて困っている子供達にアンパンを配る不格好なアンパンマンの優しさ」が子供達には、かっこいい正義のヒーローに見えたのでしょう。

まとめ
大人は「見た目」や「敵を倒すという成果」にばかりこだわってしまい、アンパンマンは正義(のヒーロー)ではないと考えてしまいました。
成果や見た目は大事ですが、それに囚われすぎるのも考えものです。
今回、伝えたかったことは「敵を倒す(という成果)よりも誰か困っている人を助けたい、たとえ不格好な姿であっても」という内面的なものに正義を感じる子供達の方が大人よりも正義を知っているのかもしれないということです。

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