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投資銀行の内情(各社特色・給料・採用・働き方)

最近職務経歴書なるものを書く機会があり、社会人生活を振り返る機会があったので、記事にしてみようと思う。

投資銀行に入るまで

僕は就活にそこまで意欲的でなかったため、外銀や外コンについてはまともに受けていない。たまたま、夏休みか冬休みか忘れたけど、募集していた日系投資銀行のインターンに応募したら通ったので参加してみた。

当時はどの証券会社も同じだと思うけど、割り振られた企業がM&Aをするならどの企業にするかといった課題に対して1グループ5~6人で提案を考えるというもの。各班の様子を見張るためにアソシエイトクラスのメンターを何人か現場から出して、各人のパフォーマンスを見ている。一応このメンターに関しては採用の最終決定権はないものの、どの学生のパフォーマンスが良かったから採用したいなどの推薦を出すことはできるらしい。ちなみに課題がM&AなのにECMやDCMの現場からもメンターを出すので、メンター自体も課題に対してちんぷんかんぷんということも珍しくない(笑)

インターンが終わったら、パフォーマンスが良かった学生に対して囲い込みを始める。だいたい僕は5~6回ランチに誘われた。ちなみに僕はそうでなかったけど、評価されるのは学生時代にきちんと金融について勉強していてDCF法やコンプスを用いてエクセルで企業価値評価ができる人はどこでも選考の遡上に乗る。時間がある大学生であればコーポレートファイナンスくらいなら勉強する時間は充分あるのできちんと対応してから臨もう。

囲い込みをされつつ、就活解禁日前に現場の社員や人事と面談を5~6回することになる。質問内容はあくまで一般的なもの。志望動機や学生時代頑張ったこと、どのプロダクトに興味があるのかとか。
ちなみに志望動機で「金融を通じて日本経済の活性化に貢献したい」「金融のダイナミズムを感じたい」とか言っても刺さる社員はほとんどいないと思う(笑)。そんなことをしながらこの仕事をしている人は東京には数えるくらいしかいないので、結局はこの人と働きたいかというキャラクターを新卒採用の時は見ているんだと思う。

ちなみに先日当時採用人事をしていた人と飲む機会があったから聞いたけど、インターンの段階で学生をランク付けしていてどの学生を採用したいかの目星は既につけているらしい。僕は3段階評価の中の2番目で、一番上のランクを取っていたのはバイリンガルで学生時代起業していた男の子と、東大の美女。その他、色んな話を聞いたけど採用段階(入社後の評価においても?)における女性優遇は確実にあるみたい。最近はダイバーシティが謡われているけど、そこまでして女性を持ち上げるのには個人的に少し違和感が。。。

内定が出てから

内定が出てからは同じ業界に入社予定の同級生とIBのみとかやっていたなぁ。今考えれば、たまたま運が良くて就活が上手くいっただけなのに皆イキっていたなぁと思う(笑)
当時は日系・外資合わせて全体で新卒採用を200人くらいしかしていなかったので、狭き門であることは確かだけど、その後の奴隷のような扱いをされることやそれが嫌になって辞める人が続出することを考えると、イキれるうちに存分にイキっといたほうが良かったのかも(笑)
今でも新人が入って来る度に尖っていてかわいいなぁと思う。

各社の特色

業界に入ってからどの社とも仕事をしたことがあるけど、個人的な印象は以下の通り。
野村:業界最強。組織としての強みは他を追随しない
大和:給料安い。ワークライフバランスはいいらしい
日興:特定専門職になると給料はいいらしい。但し、何故か変な人が多い
みずほ:専門職になると給料はいいらしい。野村に次ぐ人材輩出企業
三菱:野村に次ぐ体育会系のイメージ。モルスタ側にも行けるらしいけど給料は7掛けくらいらしい

各社の給料のイメージは個人的に日興>三菱=みずほ>野村>>大和って感じ。そうはいっても各社IBコースのプロパーかリテール出身か、転職者かで同じ仕事内容でも給料が2~3倍違うことはざらにある。

野村はネームバリューや案件数、その後のキャリアを考えるとそこまでサラリーを払わなくてもいいイメージ。僕が今就活生だとすれば、第一志望GS、第二志望野村だと思う。

一度業界内で転職活動をしたことがあり、欧州系ファームからオファーをもらったことがあるが、給料がそこまで高くないことと社内できることが限られているので断ったことがあった。個人的には今就活をするのであれば米系外資・野村>日系大手>欧州系の序列で志望すると思う。まぁ、その人が何を求めるかによるけど。

入社後(アナリスト時代)

どのファームも3年間はアナリストとして奴隷のように働かされる。1~2年目に関しては本当に雑務ばっかりで、メールの転送や資料の印刷、電話の取次ぎなど事務のおばさんでもできる仕事ばかり。当初思い描いていた華やかな投資銀行生活とかけ離れていることに嫌気がさして転職する動機も多い。僕の同期は1年目で2~3割辞めた。(これは他の年代と比べても特に多い)

ちなみに誰でもできそうな仕事内容ではあるけど、評価に差は出る。ポイントは正確性とスピード。特に誤字脱字が多い、データが間違いだらけだと、上司からしたら自分でやった方が早いとなり、仕事を依頼されなくなる。

僕もこの時期に転職を考え、実際に転職の面接を受けたこともあるけど、まともな企業は根性の無い若者だと思われてほとんど相手にしてくれない。この時期に転職した同期はほとんど人手不足のベンチャー企業に流れているので、連絡は取っていないけど今は苦労している人が多いと思う。僕はせめて3~4年は我慢して続けることをお勧めする。

アソシエイト時代

アソシエイトになると必然的に顧客を持つようになる。それまでの脳死状態でもできる作業をこなしていれば何とかなるという状態から、如何に顧客に刺さる提案をするのか、顧客の懐に入ることができるのかということを考えなければいけない。投資銀行というと専門性がうんたらとか言う人が多いけど、最終的には営業である。実際お客さんからも各社提案内容にはほとんど差はないけど、日ごろのリレーションで主幹事をあげたというフィードバックはよく耳にする。

さて、気になる労働時間についてはアナリスト時代よりも圧倒的に長くなる。理由としては思考する時間がアナリスト時代と比較すると格段に長くなるからだ。働き方改革の影響で本来は36協定を守らないといけないはずだが、各社色んな抜け穴を見つけて働いているらしい。

また、精神的なプレッシャーを感じ始めるのもこの時から。データ集計ばかりやっていたアナリスト時代から、目の前の案件を取るためには何をすれば良いのかということを常に考え続けなければいけなくなるので、仕事を造ろうと思えばいくらでも自分で創れてしまい土日も働いてしまう。僕が月200時間残業×3か月、70連勤をした時もこの時。

ちなみに世の中的に定性評価が重要となってきているとはいえ、自身の取れた案件数やシェアはチーム全体に公開される。自分がどんなに頑張っていても他社の優秀なバンカーも同様に頑張っているし、営業はセンスによるところが大きく向き不向きが明確に表れるので、この頃には同期の半分以上が退職している。ちなみにプレッシャーに押しつぶされて休職する人も少なくない。

そうは言ってもその分サラリーは払ってくれるようになる。どの社も今は専門職のようなものを設けているが、それが適応されるのは基本的にはアソシエイトからである。20代半ばから1,500万円ちかくの年俸をもらえるのは破格の待遇と言わざるを得ない。僕が色々と悩みながらも今までこの仕事を続けることができたのは給料の良さによるところが大きい。

ヴァイスプレジデント時代

体力的疲労や精神的なプレッシャーに耐えながらも働いていれば、基本的にはヴァイスプレジデントには上がれる。僕はまだ上がったばかりなのでアソシエイト後半と比較して業務内容に大きな違いはない。

但し、周りを見ているとディレクターに上がれるかどうかは結構大きな壁があるように思われる。要因は色々あって、圧倒的な成績や知識、キャラクター、役員・部長から気に入られているか等。サラリーマン全体に言えることだが、出世に関しては能力ではない個人の好き嫌いや運の要素が多分にあることは留意した方が良い。

その後のキャリア・モテとか

ちなみにこの頃になってくると、キャリアの考え方はさまざま。今の仕事が好きで会社に残りたい人、起業してある程度成功している人、PEファンドに行く人、Youtubeで生計を立てている人など色々いる。

あとは、投資銀行の人はみんな結婚がかなり早い。体感的に3~4年目には7割くらいの人が結婚しているんじゃないかな。僕以外はお金があればやっぱりモテるのかな(笑)

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