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季節の美しさは天からの魔法だと思う

ハロウィンが終わり、街の中にクリスマスの気配が増えてきました。
まるで悪魔たちが去り、聖なるものたちが舞い降りてくるかのよう。

子供の頃は春が好きでした。
春は心の奥の方がムズムズするような、新しいことが始まる期待のような、色で例えると薄いエメラルドグリーンのような気持ちになっていました。
でも小学生になり学年が上がっていくにつれて、その「始まる」感じが嫌になり、春は毎年ドキドキに押しつぶされそうになりながらも春を嫌いになれず、複雑な気持ちを抱えて過ごしていました。
そんな私だったので、夏が始まるとようやく安心したことを覚えています。
もうこの先大きな変化はないという安心感があり、暑さはそこまで苦痛ではありませんでした。
むしろ太陽が真上にある時間を目掛けて外に出て、ひたすら歩いていたこともありました。
清々しく暑さに汗をかいていると、夏を体じゅうで満喫しているようで、それが大好きでした。

そして最近、私は秋が好きになっていることに気が付きました。
昔は秋といえば寂しい気持ちを可視化したような季節だと思っていました。
まるで日曜日の夕方のような物悲しさを持ち、さらにどんどん暗く寒くなることがどうにも耐え難く、苦手な季節でした。
それがどうしたことか、最近突然目が覚めたように好きだと気が付いたのです。
物悲しさは確かにまだそこにありますが、それ以上に空気が日々浄化されていく様子が気持ち良く感じられるようになりました。
移り変わりの美しさを感じられるようになったからかもしれません。
「陰が極まっていく」のが手に取るように分かり、もっとも神聖な季節だったのだとようやく気付くことができました。
だからこの季節は極力外に出るようにしています。
秋の空気を体と心にたっぷりと取り込んで、澄んだ太陽の光をまっすぐに受けていると、溜まった邪気が元の場所に返っていくのを感じます。

そして、私も空気も街も、真っ白な冬を迎える準備を整えるのです。

クリスマスの時期は子供の頃から変わらずに大好きな季節です。
今年もだんだん街が赤と緑に彩られてきました。
私も11月初旬からクリスマスツリーを出し、寝る時はクリスマスソングを流しています。
理由もなくドキドキするのは春と似ていますが、この季節のドキドキには不思議な安心感ときらめきがあります。
それはきっと、子供の頃に体験した素敵の思い出を覚えているから。
良い思い出も苦い思い出もあったはずなのに、大人になると良い思い出しか残っていないのは、クリスマスの魔法かもしれません。

さあ、今年も魔法の季節が始まります。

それでは、皆さま、良い夢を。

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