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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.27

【ブログの過去記事】

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[35枚目]●エタ・ジェイムス『ザ・ドリーマー』<ヴァーヴ>(11)


私にとって、エタ・ジェイムスは、黒人音楽の魅力に気付かせてくれた恩人の一人だ。ずっと活動を追いかけていた訳ではないが、名前を聞くと、離れている友人の近況に触れるような感じだった。そんな私にとっては思い入れが先行する一枚。同じ気持ちの方も多いだろう。病魔と闘いながらリリースし、結局遺作となってしまった。ジャケット写真のうつむき顔も生気が足りないように見え、妙に胸が痛む。

全体的にゆったり目の曲を歌っているのも、体調と結びつけて考えてしまう。実際所々で、彼女の持ち味であるパワーが十分に発揮出来ていない。それでも静かな感動が伝わるのは、当方の思い入ればかりではなく、彼女の、歌に対する思い入れの深さによるものだろう。

①エディー・フロイド曲「グルーヴ・ミー」は、オリジナルに比べズシンと重たい。第一声の「フゥッ」が呻きにも似て軽く衝撃を受ける。

②⑦のオーティス・レディング曲も、バラード系を選んでいる。⑦は最初の方声嗄れが目立つ。

タイトル曲で、ボビー・ブランド曲③やラストのリトル・ミルトン曲のような“ブルーズン・ソウル”はしっくり来る。

ロック調④⑥やアップ・テンポのブルース⑨は、バンド・サウンドの中のヴォーカリストを意識した感じも。演奏陣がよく守り立てている。

名曲「ミスティー・ブルー」⑤。実にしっとりと歌い上げている。しかし、今まで聴いた「ミスティー・ブルー」の中でもっとも悲しくやるせなくなる。

ジャケット写真は悲壮感が漂うが、インナーでは笑顔を見せている。満ち足りた表情のようで、少し淋しげにも見える。

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Groove Me


Dreamer


Misty Blue


Too Tired


Let Me Down Easy


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