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達観 / 自閉症のブルー episode2

自閉症のブルーは話すことができない。
そんなブルーに時々
乱暴な声をかける人もいる。
「おい!ブルー!」と。

彼らは
自分の弱さを認めているようなものだと
私は思う。
何も言えないブルーに対して
自分の力を誇示しているかのように見えるから。

そういうときブルーは
一瞬ふと立ち止まって耳を傾けたあと
何事もなかったかのように
自分の日常に戻る。

私は
飄々と淡々としているあの子を
とても素敵だと思う。
おこがましくも
我が子か弟妹のようにかわいく思えるブルーを
誇らしく感じる。

それが果たして
自閉症という障がいの影響なのか
ブルーのパーソナリティなのかはわからないけど
別にどちらでもいい。

沈黙は強い。
何も言わずにただただ
相手の真の姿をうつすだけ。
たとえば水が濁っていたら
美しい海の中は見えない。
その人の素顔が水面にうつるだけ。
あの乱暴な人は
海の中が見えないのだ。
写し出された自分の顔を見て
苛立ちを覚えているのだ。

と私は思い知る。

次の瞬間
ブルーはチャーミングに
また私に語りかける。
何事もなかったかのように。







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