彷徨うおっさん3 病は気からの本質(前編:医者と薬への無用な不信感)

 一生懸命に生きているだけなのに、もがけばもがくほど、望まぬ経験をしてしまう。こんな風に生きたい、こうすれば解決するかもと、色々試しているうちに歳ばかり取る。大概の人はそうして一生を終えるのかもしれない。けれども、その歩みの全てを否定はしない。経験はすべて肥やしだ。自分にとってだけでなく、多くの人にもそうなり得るだろう。そのためにおっさんは今日も筆を執ることにする。

 不健康な状態を好ましく思う人はいないだろう。それが自分のことでも、他人のことでも。世代に関わらず全ての人たちの関心ごとと言って良いだろう。
 しかし、体の不調を訴える人が多い一方で、「何故そうなる」と眉をひそめたくなるような方法で健康を損ない、対処を誤る人達が後を経たない。
 今回はそんな日常の健康維持の話を、おっさんの体験を交えながら考察する。

<医者嫌いの人達>

 医者なんて行かないと突っ張る人が案外多いように思う。何がそんなに嫌なのだろうかと思うのだが、訊いてみると色々な背景があるようだ。

① 医者が傲慢な態度を取って嫌な思いをした
② お金払って医者に行っても何もしてくれない
③ 効果がなかった
④ 検査や施術などの医療行為によって余計調子が悪くなった
⑤ 薬が嫌だ(抵抗がある)
⑥ この程度寝てりゃ治る

 大概これらのパターンが単独または複数働いて、医者嫌いの人になる。加えて家族に「行け行け」言われて悪者扱いされ、尚更意地になってしまったりと、色々心理的な障壁がある。だが「医療の力は必要な時は適切に利用すべき」である。健康を考えるなら、医療への無用な心理的障壁は普段から外しておきたいものである。

 例えば、おっさんが若かりし頃に付き合っていた女性の話をする。
 当時、消化器官に強い不調をきたす菌が某国で流行していた。その国に渡航した彼女が帰国した明くる日、激しい腹痛と下痢に襲われた。某国の衛生管理や感染状況から病院に行くことを勧めたが、彼女は激昂し拒否した。某国渡航前におっさんが怪訝な態度を取っていたこともあったが、逆にそれで意地になってしまい、彼女の母が無事だったことなどを理由に、ついに医者に行かなかった。
 原因の目星はついているのだから、感情は置いて疾病の原因を明らかにし、対処する冷静さが必要と、おっさんは未だに同じ見解でいる。
 ちなみにその人とは、大人ならまだ良いが、子供ができて、そんな理由で感染したら最悪だなと思い、もうダメだなと思って結局破局してしまった。

 また、激しい炎症を起こした場合、最悪の場合は深刻な後遺症が残る危険性もある。上記の例とはまた別の話だが、例えば身近な症状では副鼻腔炎などは、放っておくと脳まで侵食してしまう可能性がある。
 耳鼻科に行けばすぐにわかるようなものだが、素人判断では風邪やアレルギーだと思ってしまう場合も多い。深刻な場合もあるので、色々と後悔する前に、医者は頼った方がいい。

<医薬品を疑い、妙な薬を信奉>

 薬にも抵抗を持っている人達が沢山いる。薬は毒でもあるのだから、なるべく飲まない方が良いのだと。ある程度一理あるとは思うが、なんでも拒否すれば良いというものでもない。
 炎症が後遺症を残す危険があるなら炎症止めは必須。抗生物質でなければ除去できない菌やウイルスもある。身体機能の一部に不調ないし欠損が生じれば、飲み続けなければならない薬もある。
 現にどこも悪くないとか、軽症で自然回復する病気ならば良いが、明らかに飲むべきところで、勝手に判断して飲むのを拒否するのは無謀でしかない。
 
 もし不安であれば、よく調べれば良いのである。医者は忙しいので丁寧に話をしてくれない人や、ちょっと話づらい感じの人もいるかもしれない。でも、薬局の薬剤師は大概親切である。また、ネットで調べれば概ね意味や効用が記されている。医者に腹を立てるのはやめて、冷静に丁寧に対処すれば良いだけだ。

 一方で、そういう人に限って、妙な薬にはご執心だったりするので、困りものである。例えば、癌や認知症予防薬として認証の降りていない薬が出回っているが、果たしてどこまで信用できるものか。また、美容や運動機能の向上、視力や毛髪の回復を謳った薬で、こちらも認証の降りていないものが多数販売されているが、まあどうにも怪しい。しかもすごく高額。もったいない。

 認証が降りた薬というものは、臨床試験など複数のエビデンスに基づいて効力や副作用が試されているもので、大概は大丈夫なものである。「海外では禁止されていて日本だけ認証されていて危険な薬もあるのだ」などとテレビなんかで声高に不安を煽るようなニュースが時々出ることもあるが、そういう薬は滅多にないし滅多に飲まないのだから気にしなくてよろしい。
 また気にして飲めなくなる一方で健康への不安は募り、じゃあ飲める薬は何かと探して「最新の」とか「自然由来の」とか「オーガニック」とか「かの有名な○○氏も愛用」とかどうしようもない商売文句に騙されて買ってしまう人が案外いる。ジェネリックで嘘みたいに安い値段で確実な効果が得られるのに。。。

<理論上は簡単なこと、正しい対処をすればよい>

 知識と経験を持った医師が原因を調べて対処し、多くの臨床試験や治験を踏まえた薬を使えば多くの病気は治せる。当たり前の理屈である。にもかかわらず、その理屈の外の行為に明け暮れる人々が後を絶たない。しかも大枚叩いて。医療以外の方法が必要な程に、あなたは病んでいるとでも言うのだろうか。それとも。。。?

次回に続く



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