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読了のおっさん6 天は赤い河のほとり(篠原千絵/少コミフラワーコミックス)

今日も、おっさんが全巻読んで面白かった漫画をご紹介です。
個人の感想であり、感じ方はそれぞれなれどご参考に。
概要的なネタバレは含みます。

天は赤い河のほとり
(篠原千絵/少コミフラワーコミックス)
1995年〜2002年 文庫版全16巻

① タイプやテーマなど
 少女漫画、トルコ、世界史、古代史、恋愛、宮廷、戦記、タイムスリップ、ヒッタイト、鋼

② 簡単な内容
 主人公の女子中学生が現代から古代ヒッタイトにタイムスリップするところから始まる。そんな生贄として召喚された彼女と、暗殺対象であったヒッタイトのカイル皇子を中心として、歴史物語が展開していく。
 現代的な感覚や知識によって、時折古代の人々の危機を救ったり、奇跡を起こしたりしながら人々の信頼を集め、カイル皇子と共に、様々な宮廷闘争や隣国との戦争に巻き込まれていく。

③ 読みどころ
 主人公がごく普通の女子中学生という設定で、読者には親近感が増し、物語への没入感があると思う。カイル皇子他、宮廷内外のイケメン達との恋愛模様、主人公自身の生命(もしくは貞操)の危機、当時の民衆らの危機に立ち向かう場面など、ドキワク感や歯切れの良い展開が終始続く。
 現代日本に帰還できるかどうかというタイミングも何度かあり、それがまた物語を弾ませる展開にもなる。
 サクサクというよりも自然とじっくり読んでしまうように思う。人物の絵も綺麗で、歴史物としても非常に楽しめる。

④  雑多な感想
 作者の篠原千絵先生の作品を読むのは今回が初めてであるが、「夢の雫、黄金の鳥籠」など、やはり中近東などの歴史を背景としたラブロマンスを描かれている。少女漫画ともなれば、美しい男性キャラが沢山出てくるのは当然として、危機や苦境と、そこからの脱出の連続は正に「目が離せない展開」である。
 宮廷闘争があるので、男よりも女の存在がよりクローズアップされる。「誰が陛下のご寵愛を賜るか」という価値観は、現代ではなかなか考えられないところではあるが、冷淡に事実としての寵愛を得るか、誠の純愛となるかは様々で、そこもまた非常に面白い。

⑤ その他
 結局一挙に最後まで読んでしまい、デリカシーのないおっさんのようなおっさんが読んでも「これは名作」と思うに至る。案外戦記物の側面もあるが、戦略や戦術、戦闘の描写よりも、恋や奇跡と、それに伴う謀略や人心掌握の様が色濃く描かれている。この点もやはりレディース向けではあるなと思うものの、批判するようなことではなく、そのテイストはおっさん達でも嫌いじゃ無いはずだ
 物語が終了すると、後日譚的な外伝が何話か続く。1話完結の短編ではあるが、歴史で馴染みのあるネームも登場し、本伝を読み終えた後であれば楽しめる。これが2020年代まで細々とではあるが継続しており、色々なメディアで作品が出て続けてもいる。宝塚でも舞台をやっているそうな。一大ブームをもたらしてもそれっきりという作品は多いが、本作は結構長い時代残るのでは無いだろうか。

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